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黒い死神は教師を辞めて去っていったので、クラスの面々と喜びました

「ユリア、逃げなさい!」

 誰かが、叫んでいた。

 私の知らない人だった。

 でも、とても懐かしい感じだった。

 銀髪のとても優しそうな人だった。その女の人は傷ついて、血まみれだった。

 でも、必死に私を逃そうとしてくれるのが判った。


「嫌だ!」

 私は叫んでいた。

 私はその人を残して行きたくなかった。


「良いから行きなさい!」

 その女の人が私を無理やり押しだしたのだ。

「ユリア、行って! 頼むから。行きなさい!」

 その女の人は懇願してきた。


「ユリア、頼むから生き伸びて!

 ホフマン公爵の所に逃げ込みなさい!

 彼なら絶対にあなたを助けてくれるわ」

 私はその女の人の叱責するような声に押されて、仕方なしに駆け出したのだ。

 泣きながら、死にもの狂いで。


「キャーーーー」

 女の人の悲鳴が後ろから聞こえたような聞がした。私は振り返る事ができなかった。

 私は泣きながら走った。


 そのまま、走っていたら、後ろから音がした。後ろを振り返ると、真っ赤になった血まみれの赤い化け物が追ってきた。

 私は必死に走った。でも、化け物は私をどんどん追いかけてきた。私は逃げられないと思った。

「キャッ」

 私は盛大に転んでしまった。

 悪魔が剣を振り上げてくれた。

 もう終わりだ。

 私が諦めた時だ。


 その私の前に、いきなり、白い鎧に身を固めた騎士が転移してきたのだ。

 白い騎士は悪魔の剣を自らの剣で受けてくれたのだ。

 昔良く読んでもらった。騎士様みたいだった。

「大丈夫か?」

 その騎士様が尋ねてくれた。

「うん!」

 私はその男をじっと見た。その男はお父様そっくりな騎士だった。


 赤い化け物がお父様に斬りかかったのだ


「お父様!」

 私が叫んだときだ。


 私の前に、お兄様がいるのが判った。


 お兄様は私がお父様と呼んだのを知ってとても嫌そうな顔をしていた。


「ええええ! 私がユリアーナの癒しをやるの?」

 私の耳元でピンク頭のキンキン声が聞こえた。

「文句を言わずにさっさとやれ!」

 お兄様の怒り声が聞こえた。

 私は何か憎々しげな光を浴びたんだけど……


「貴様何をしている?」

「ギャーー」

 お兄様の怒り声とピンク頭の怒り声がきこえた。

 私は折角寝ていたのに、なんなのよ!

 私は二人のやり取りで完全に目が覚めた。


 何かメチャクチャ目覚めが悪かった。


「お兄様、帰ろう!」

 私は起き上がるやお兄様をそう誘った。

「ちょっとユリアーナ、あなたに癒し魔術をかけた私にお礼はないの?」

 目をつり上げてピンク頭が文句を言ってきたけど、

「あんたは私に呪いの魔術をかけただけでしょ」

 私はとても機嫌が悪かったのだ。

「な、なんですって!」

「お兄様。私強くなりたい! だから、強くなるように、手伝ってほしいの!」

 私はピンク頭を無視して頼んだ。


「そうか、判った。じゃあ帰ったら、訓練するか?」

「ちょっと兄上、ユリアは、今意識戻ったところだよ!」

 フランツお兄様が注意してきた。

「そうよ。お兄様、無茶よ」

 お姉様もそう反対してくれた。

「しかし、せっかくユリアがやる気になったんだ」

「ユリアはいつもやる気だよ」

「そうよ、お兄様、無茶したら、ユリアが潰れるわよ!」

「しかし、黒い死神には我ら四兄妹、揃って負けてしまった。このままでは不味い! 早急に力を付けないと」

「でも、ユリアはお兄様立ちと違って、女の子よ!」

「でも、私は二度と諦めたくないの! あの赤い悪魔にお兄様が斬られた時みたいに絶望をしたくないのよ!」

 私はお姉さまとフランツお兄様を見た。

「あんた、なに言ってるのよ! その瞬間赤い悪魔に斬り込んだじゃない!」

 お姉さまが指摘してくれたが、あのままやっていても、勝てなかった。

 そして、今日も黒い死神には箸にも棒にもかからなかった。全然敵わなかったのだ。


 こんなのは嫌だ。


「よし、訓練するか!」

「えっ、エックお兄様、なにお兄様みたいなこと言っているのよ」

「そうだよ。変だよ、兄上みたいじゃないか!」

 お姉様とフランツお兄様が眉を上げて、反対してくれたけど、私たちは帰ってから訓練したのだ。


 翌日、私は剣術の前にクラスの男達を集めて、作戦を練ったのだ。

 黒い死神の右膝を狙う者と、大上段からおもいっきり打ち込むものとに分けたのだ。


 私はその日は右膝を庇おうとする黒い死神の大上段から渾身の力を込めて打ち込んだのだ。


 バシン!

 頭は避けられて肩になったが、思いっきり撃ち込めて満足だった。


 もっともその後ボコボコにされたけど、私は少しだけ満足したのだ。

 このように続けて行けば、必ずいつか、黒い死神に勝てるようになると思っていたんだけど……

 翌週、いきなり、黒い死神から、剣術の教師は代わっていた。

 契約が終わったからだと、マイヤー先生は言ってくれたけど、絶対に私達が嫌で逃げ出したに違いないと、クラスの奴らは噂してくれたんだけど。

 私としては、まだまだ全く黒い死神には敵わなかったから、逃げたしたことはないと思ったけれど……

 クラスの皆は黒い死神に勝ったぞ!

 と勝手に喜んでいたので、剣術大会に向けて士気が上がるのは良いことだと、一緒に騒いでいた。

 そんな甘いわけはなかったのに!




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