表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/230

友人を怒らせてしまって唖然としていたら地元の友人と聖女が留学してきました

 結局、マイヤー先生は授業時間中、私の必死に書かされた皇帝よいしょ作文を生徒達に交替で読ませてくれた……

 私はその間中、恥辱のあまり頭を抱えてのたうち回っていた。

 その公開処刑の時間を終えた後、私はふ抜けたように力を失っていた……


「ユリア、どうしたの? あんな作文書いて」

 ベティが私を白い目で見てきた。

 いや、それ以上に何か怒りに満ちていた……

「エックお兄様にひたすら皇帝ヨイショ作文を書けって強制されたのよ」

 私が仕方が無かったというと、

「でも、あそこまで書く必要は無かったんじゃないの! 私の家の事まで書いて!」

 まなじりを決してベティが叫ぶように言ってきた。

「えっ、いや、それは……」

 そう言えば私は反省文の中で題材が無くなったので、粛正された家のことも書いたのだ。

 前々皇帝派であったベティの家のことまで書いていた……

 政敵を倒すたるには政敵の味方だった貴族に罪を与えて、辺境の地に飛ばすのは素晴らしい考えです……みたいなことをオブラートに包んで書いていた。まさかマイヤー先生が、それをクラスメイトを前にして読んでくれるとは思ってもいなかった……私はそれ以上言い訳できなかった。


「あなたは友達だと思っていたわ。でも、間違いだった。じゃあ」

「ちょっと、ベティ!」

 私の言葉を振り切ってベティは外に飛び出していったのだ。


「ベティーナ様!」

 それを慌てて退学が取り消しになったグレゴールが追いかけていった。


「ああ、怒って行っちゃったわね」

 私の後ろから聞き慣れた声がした。

「マリア!」

 私はその声に慌てて振り返った。

 そこには王国の時の友人のマリアンネ・フルート子爵家令嬢がいた。


「良かった。留学してくれたんだ」

「本当に留学手続きが大変だったけれど、やっと申請が通ったのよ」

 少し顔をゆがめてマリアが遅れて留学してきた理由を説明してくれた。

 なんでも、書面審査でハンブルクからの留学生が多すぎると引っかかってしまったのだとか。

 それを王立学園の学園長がコネを使いまくってなんとかしてくれたらしい。

「本当に大変だったんだから」

 マリアの言葉には実感がこもっていた。


「最ももう一人いるけれどね」

 嫌そうにマリアは横を見た。

「あああら、さすが悪役令嬢のユリアーナね。悲劇の辺境伯令嬢をあそこまで貶めるなんて!」

 そこにはピンク頭がいたのだ。

「何故、あなたがいるのよ?」

 私は驚いてピンク頭を見た。


「何故って決まっているじゃない。帝国に偽聖女が出たって言うから、真の聖女様の力を見せつける為に来たのよ。帝国の民に本当の聖女の力を見せつけてやるわ。今まで偽聖女の力に騙されていた帝国の民は真の聖女様の力を見て私の前にひれ伏すのよ。あはあは、はっはっはっは」

 大口を開けて笑い出したんだけど……


「ちょっと、マリア、何でこんなの連れてきたのよ」

「私が連れてきたんじゃ無いわよ。教皇猊下に呼ばれてみたいよ」

「何で帝国に聖女がいるのに、教皇が新たな聖女を呼ぶのよ」

「そんなの知らないわよ」

 私達が勝手に笑っているピンク頭を無視して小声で話し合っていると、

「ちょっと貴方たち、人の話聞きなさいよ」

 ピンク頭がまなじりを決して叫んだ時だ。


「人の話を聞いてほしいのは私だが」

 教壇から怒った声がした。


「「「えっ?」」」

 そちらを見ると次の歴史のベルツ先生が来ていたのだ。他の生徒達はとっくに席に着いていた。ちょっと、誰か教えてよ!

 私は前のベティの席を見たらベティは席に戻っていなかった。


「さっさと席に着きなさい」

「「「はいっ」」」

 私達は慌てて席に着いた。

 それからの1時間はベルツ先生に徹底的に歴史についてしごかれたのだった。


 結局午前中、ベティは帰ってこなかった。

「そらあ、友達だと思っていたユリアにあんな酷いこと書かれたら、ベティーナ様も怒るわよ」

 当然の如くマリアに呆れられた。

「私も余裕なかったのよ。何しろ100枚も皇帝ヨイショ作文書かないといけないから。本当に何一つ褒めることしていないんだから、あの皇帝は」

「しっ、ユリア声が大きい」

 私はマリアに注意されてしまった。

 慌てて周りを見るが皆食事に夢中だし、私の周りには誰もいなかった。

 そう、遠巻きにされていた私に付いてくれたベティも今はいないし。


「いくらなんでも、ベティーナ様の家のことを書くのはまずかったんじゃないの」

「でも、書くまではデザート食べさせてくれないってエックお兄様とお姉様に取り上げられたのよ」

 私がむっとして言うと、

「あなたのお兄様に泣き込めば良かったじゃない」

「そんなこと言ったって『この件は兄上は黙っていてください』ってエックお兄様とお姉様がお兄様を近付けなかったのよ。お兄様もこういうことが得意なのは二人だって判っているから任せきりだし……」

 やっと書いた後はお兄様の膝の上でデザートをお兄様の分まで食べさせてくれたけれど、書くまでが大変だったのだ。

「本当にあなたって食い意地しか無いのね」

「そんなこと無いわよ」

「そう言いながら人の二倍くらい食べているけれど」

 私の大盛りのお皿を見ながらマリアが呆れてくれた。

 私のお皿には何度もお代わりするのも悪かろうと食堂のおばちゃんがいつも山盛りに食べ物を入れてくれていた。


「マリア、なんとかならないから」

「そう簡単になる訳無いでしょ。授業もサボったんだからベティーナ様は相当怒っているわよ」

「そうよね」

私は落ち込んだ。

まあ、自業自得だ……


「まあ、やれるだけやってみるわ」

「ありがとう、マリア!」

私はマリアの声を聞いてマリアに抱きついた。

「もう、痛い、痛いから」

私の腕を引き剥がすとマリアがハアハア言っていた。

「でも、そんなに期待しないでね」

「ううん、もうマリアだけが頼りだから、お願いね」

私が目をうるうるしてマリアに近付くと

「判った、やるから、馬鹿力で抱きつかないで!」

マリアは必死に叫んできた。


後はマリアに任せようと私はマリアの働きに期待した。



ここまで読んで頂いてありがとうございました

すみません。剣術授業に行きませんでした。

次こそいきます

お楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://ncode.syosetu.com/n4848kz/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



最新の短編作品はこちら

『婚約破棄されやけ酒飲んでると軽い男が声かけてきたので張り倒したら、何故か執着されました』https://ncode.syosetu.com/n2191kg/

このお話の前の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/

新作

『恋に破れた転生王女はツアコンを目指します』https://ncode.syosetu.com/n7707kp/


この前の作品はこちら

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ