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赤い悪魔視点 怪物娘に恐怖を感じました

 俺は帝国の最凶四天王の1人、人呼んで赤い悪魔のアーベル・バルヒェット公爵だ。


 元々俺は伯爵家当主だったのが、10年前の政変で現皇帝、その当時の皇弟殿下の息子の皇子殿下について、皇弟殿下の帝位継承に功を上げた。

 我ら四天王の力は圧倒的に強かったが、皇弟殿下が帝位に就けたのは皇子殿下が悪巧みに長けていたからだった。皇子殿下は本当に悪辣で卑怯だった。

 あの時は本当にいろんな事をやらされた。戦いでは圧倒的に強かったが、汚れ仕事も多くさせられた。まあ、帝位継承の時のゴタゴタはいつの時代も変わらないが、ヴィクトールは徹底していた。前皇帝の子孫を根絶やしにして、逆らった貴族達は一族を抹殺、俺が継いでいるバルヒェット公爵家は一族を抹殺された家だった。


 そんな中で唯一残したのが、銀髪の女の子だった。

 俺の前に現れた男が強大な力を持っていたというのもある。

 その男相手に俺でも勝てるかどうか判らなかった。

 それに小さい女の子を殺すのは俺の矜持に反した。

 それまで散々その矜持に反することをしていて今更かと言われたが、面と向かって男にその子の命を助けて欲しい。嫌ならば死力を尽くしてやると言外に言われて、戦う気にはなれなかったのだ。

 別にそんなガキ、残してもどうということはないだろうと思ったのもある。


「アーベル。貴様その子に情けを残したのか」

 帰って報告した俺に当時皇太子だったヴィクトールが白い目で俺を見てきた。

「すまん。死の間際のクラウディア様とルードルフに頼まれたら、断れなかった」

 俺は頭を下げた。

「ふんっ、赤い悪魔の鬼のバルヒェットも焼きが回ったのか」

 ヴィクトールは不機嫌そうに鼻を鳴らした。

「他のものにさせれば良かったか?」

 そう呟いてくれたが、ハンブルク王国でハンブルク王国の騎士団長と戦う訳にも行かなかった。俺からしたらその子が大きくなって脅威になったらそれから叩き潰せば良いと思ったのだ。小さい子供の命を奪うことに若干の良心の呵責もあった。



 それから10年の月日が経った。

 俺は不機嫌な皇帝から呼び出された。

「バルヒェット、貴様が施した情けのにお陰で面倒な事になったぞ」

 皇帝は怒って書面を俺に投げつけてきた。


 影からの報告によるとハンブルク王国の完全属国化を目指した帝国と教会の動きに対して、ハンブルクのホフマン公爵家を中心とした勢力に逆襲されて、企てを悉く潰されたそうだ。

 挙げ句の果てには帝国の駒だった皇弟の娘のツェツィーリアに謹慎処分を下さざるを得なくなったそうだ。

「その娘が本当に帝国にとって仇かどうか確認するために、帝国の学園に召喚する」

 ヴィクトールが宣言してくれた。

「どのみち、粋がったガキが正義感を振り回したところでどうなるものではないと思うが、迎えには責任を取って貴様に行ってもらう」


 俺は皇帝の命によってホフマン公爵家に向かった。

 その娘はクラウディア様にとても似ていた。

 ルードルフの4兄妹はとても奔放に育っているみたいで、田舎者にありがちで帝国の恐ろしさをよく判っていないようだった。


 ここはそれを教えてやる必要があろうと俺はその長兄のアルトマイアーと戦った。

 アルトマイアーは父のルードルフと同じで負けても負けても立ち上ってきた。

 面倒になったので、俺は斬ることにした。

 なあに、死なない程度に抑えてだ。


 俺はアルトマイアーの胴を斬った。

 思った以上に血潮が吹き出したが、問題ないはずだった。

 ここで殺してしまうと、ルードルフと死の戦闘が待っている。それだけは避けたかった。


 しかしだ。俺はそこに決死の覚悟をしたユリアーナが飛んでくるとは思っていなかった。

 そして、その瞬間だ。屋敷の中でもとても巨大な力を感じたのだ。

 誰だ? これは? 俺でも絶対に敵わない!


 ユリアーナの攻撃はルードルフが防いでくれたが、この家は絶対におかしい。

 アルトマイアーにしてもその次の兄にしてもユリアーナにしてもとても強力な魔力を持っている。

 その上俺と同格のルードルフがいる。更にもう一人、超強力な魔力の塊を感じた。

 俺達四天王がやり合っても勝てるかどうかだと思った。

 それにアルトマイアーとその下とユリアーナは育ち盛りだ。これからどんどん強くなっていくだろう。

 息子達と比べてもその力は強大だった。敵対するのは危険だと俺の本能が言っていた。



「陛下、ホフマン家の連中は危険です。敵対されるのは止めた方が宜しかろうと」

「ほう、アーベルからそのような報告を聞くことになるとはの。その方ももう年か」

 呆れたようにヴィクトールが俺を見てきた。

「本当ですな。まさか赤い悪魔からそのような言葉が漏れてくるとは思いませんでした」

 ヴィクトールの横に黒い死神のクレーメンス・ビアホフがいた。かやつは俺を馬鹿にしたように見下してくれた。


「まあ良い。何故かユリアーナと共にその4兄姉が一緒に留学してくれるそうじゃ。もし帝国にとって災いとなるのならば一緒に処分すれば良いのじゃ」

 そう言うと皇帝ヴィクトールは大きな口を開けて笑ってくれたのだ。

 皇帝がそう決めたのなら仕方がないだろう。この皇帝は人を殺すことをなんとも思っていない。これまでどれだけ多くの王族と貴族の血が流れたことか。それが新たに一人増えたところでどうなるものでもなかった。 

 俺は今までいろんな悪辣なことをしてきた手前反論は出来なかったが、クラウディアの娘のために無事でいられることを心の片隅で祈った。


ここまで読んで頂いてありがとうございます

赤い悪魔視点 ここに記載です。

皇帝に目をつけられたユリアーナ。

ユリアーナは皇帝から無事でいられるのか?


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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