完全にキレた私は皇子と聖女を張り倒していました
ベティはそれからやきもきしてグレゴールの帰りを待っていた。
私はそのあまりの焦燥具合に、ベティを慰めようとしたが、「大丈夫よ」
ベティはそう答えるのみだった。
私もベティがあまりにも心配しているから、とても心配しだした。
そして、やっと四時間目が終わった時だ。
晴れ晴れとした顔でグレゴールは帰ってきた。
私はその顔を見て大したことはないと思った。
でも、それは大きな間違いだった。
「ベティーナ様。今回の責任を取って私はこの学園を退学することにしました」
食堂の端の席に座った途端、淡々とグレゴールは結果を述べてくれた。
「えっ、グレゴール、それは本当なの?」
ベティが絶句していた。
「申し訳ありません。ベティーナ様、このようなことになりまして」
「でも、グレゴール、何もあなたが辞める必要はないでしょ」
頭を下げるグレゴールにベティはすがりつくような視線を送った。
「申し訳ありません。このようなことになってしまって。しかし、皇子殿下と聖女様に不敬にも水魔術をぶっかけてしまったのは事実です。皇家にこのようなことをしてしまった以上、学園に留まる訳にも行きません」
「でも、グレゴール、何も辞めないでも」
「私が自主退学すれば辺境伯家の管理責任は取らないと学園長からは確約を得ました。今まで、長い間私を使っていただいてありがとうございました」
グレゴールはベティに頭を下げていた。
「ちょっと、待ってよ。グレゴール。あなた辺境伯家まで辞めるつもりなの?」
ベティは悲鳴の様な声を出した。
「これ以上辺境伯家にご迷惑をおかけする訳にはいきません」
「そんな……」
ベティは必死に泣かないように我慢して居るみたいだった。
女を泣かす男は最低だ。
私がキレだした時だ。
「何だ、ベティーナとグレゴールではないか? グレゴールベティーナに別れの挨拶でもしているのか? 健気な者だな」
そこに皇子が現れたのだ。
「はっはっはっは。見たか、ユリアーナ、皇子である俺様に逆らうとこうなるのだ。謝るなら今のうちだぞ」
皇子は忠告してきた。
「最初から俺様に逆らうからこうなるのだ。あのいつも強気のベティーナが泣いているではないか。本当に愉快だ」
皇子は胸を反らせて笑ってくれたのだ。
最低だった。皇子というより人間としてどうかというレベルだ。
「本当に。グレゴールも馬鹿ですわ。田舎者のユリアーナの真似して粋がるからこうなるのです。殿下に逆らうとどうなるか、ユリアーナもよく見ておきなさい」
そう言うと聖女も高笑いしてくれた。
人が悲しんでいる時にその相手に塩を塗るような真似をする奴らを私は許すことは出来なかった。
今まで十二分に我慢したと思う。
でも、我慢も限界だった。
お兄様にはいつも言われていた。勝てないと思っても自分が正しいと思ったらやれと。
グレゴールはベティの従者だ。でも、ベティがこんなにも依存しているのに、いきなり辞めて居なくなるなんて許せる訳はなかった。
「そこの田舎者のユリアーナよ。いい加減に俺様に謝れ。でないと退学になるぞ」
「そうよ。田舎の暴力娘もいい加減に殿下のお力の前にひれ伏した方が良いわよ」
皇子と緑頭が何か言っていた。
「殿下、本来殿下と呼ばれる者は臣民の心を気にかけて日々暮らしていく者の事を言うのです。でも、今の殿下の発言は到底皇子とは思えない最低な言葉です。人間としてもどうかと思いますよ」
「な、何だとユリアーナ。貴様それが皇子に対する言葉か」
「はああああ! それ以前にさっきの殿下の発言が臣民に対する発言ですか? 私がクラウスから言われたら張り倒していましたよ」
「な、何だと!」
「それに緑頭。何なのその言葉は? 聖女ならもっと清らかな発言しないよ。娼婦顔負けな格好して婚約者のいる男達に自分のでかい胸押しつけて婚約者から取るなんて聖女と言うよりも人間として最低ね」
「何ですって!」
「それとグレゴール。あなた、何勝手に学園辞めているのよ。ベティがあなたを必要としているのよ。土下座しても学園に居られるように学園長に頼み込みなさいよ」
「しかし、ユリアーナ様」
「しかしも、へったくれもないわ。もう私は許さない」
私はきっとして3人を睨み付けた。
「な、何をしようとするのだ。俺様は帝国の第三皇子だぞ」
「ちょっと、あなた私は聖女様なのよ」
「それがどうしたのよ。悪い奴にはお仕置きしないと駄目よ」
必死に言い募る皇子と緑頭に私はニタリと笑ったのだ。
一人目はグレゴールだ。
パシーン
私はグレゴールを張り倒した。
そのまま皇子の側近達を巻き込んで飛んで行った。
緑頭はそれを見て唖然としていた。
「あなたそんなことして許されると……」
パシーン
「ギャーーーー」
そう叫ぶ緑頭を張り倒していた。
取り巻きの男達を巻き込んで飛んで行った。
次は皇子だ。
なんか皇子の前に黒い者が次々に飛んで来たが、それを次々に地面に叩きつけた。
怒り狂った私の前に現れないで!
「き、貴様、俺は帝国の第三、ギャーーーー」
パシーン
皇子も思いっきり張り倒していた。
そのまま皇子は残った取り巻き達を巻き込んで吹っ飛んでいったのだ。
私は帝国の皇子達を退治したのだった。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
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でも、帝国の皇子に手を出してただで済むのか?
続きは明朝です
お楽しみに!








