表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

152/230

友人の従者が退学の危機に陥いり泣きだした友人を慰めました

 ええええ!

 何で、何で、皇子達がずぶ濡れなの?

 フランツお兄様はここに居ないし、遠隔魔術で攻撃なんて出来るだろうか?

 いや、あり得ない。ここまでピンポイントには絶対に出来ないはずだ。


「ユリアーナさん。説明しなさい!」

「説明しろって言われも、私も何が何だか判らないんですけど」

 私は正直にマイヤー先生に話した。

「何を言っているんだ。また貴様が俺達に水魔術をぶっ放しただけだろう」

「お言葉ですが、私はしておりません」

 皇子の言葉に私はいつものようにはっきり否定したのだ。

 今まで認められたこと無かったけれど……


 でも、ここにはフランツお兄様が居ない。

 ということはフランツお兄様以外にも皇子相手に魔術をぶっ放す者がいるという事?

 まあ、この馬鹿皇子では恨まれても仕方が無いと思うけれど……

 帝国の皇子がこんな馬鹿で良いのか?

 私が前から思っていたことだ。


「私がやりました」

 私はその声を聞いて目を見開いた。


「グレゴール!」

 私はベティの悲鳴を聞いた。

「嘘でしょう! 嘘だと言って!」

「お嬢様、事実です」

 取り乱したベティにグレゴールは首を振ったのだ。

「そんな、あなた、なんでそんなことをしたの?」

「ベティ様を蔑ろにされる殿下に我慢できなかったのです」

 ベティにグレゴールは目を怒らせて皇子を睨んだ。

「何だと、貴様、その睨み付けるような視線は何だ。皇子である俺様にこんな事をしても許されると思うのか? 貴様、ベティの取り巻きだな! ベティにそうするように示唆されたのか?」

「いいえ、私の一存です。そもそも皇子殿下であらせられる殿下こそ、婚約者を蔑ろにされるのは外聞に悪かろうと思われます」

 二人はにらみ合ったのだ。


「二人ともおやめなさい。殿下、パウリーネさん、グレゴールさん、貴方たちは職員室に来なさい」

 マイヤー先生は三人を連れて職員室に行った。

 私は生まれて初めて、マイヤー先生に呼ばれないで済んで本当にほっとした。

 こんな日が来るなんて……少し感動こそしていた。


 でも、ベティが暗い顔をしていた。

 礼儀作法の授業は補講になったので、出されたプリントを適当にやり上げて私はベティを慰めるために二人で中庭のガゼボに行ったのだ。


「ユリア、どうしよう?」

 ベティが目を赤くして私に相談してきた。

「ベティ、落ち着いて。ガミガミ言われている時間が苦痛だけれど、マイヤー先生の叱責なんて右から左に流せばすぐよ」

 いつも怒られ慣れている私はその極意をベティに教えた。

「後は反省文だけだし、そんなの適当に謝罪とマイヤー先生が如何に素晴らしいか適当に混ぜてかいておけば、通るわよ」

 私は自信を持って言い切った。

「あの、ユリア、普通の生徒は職員室に呼び出される事なんて無いのよ」

 私を諭すような口調でベティが教えてくれた。

「まあ、一学年に付き1回位よね」

「普通はゼロ回よ」

「でも、コローナ達も親同伴で呼ばれたじゃ無い」

 あれは2回になるんだろうか?

 でも反省文は1回だったからやはり一回か。

 私の回数にはまだまだ足りないけれど、でも、ちょっと待てよ。

 私は考えたのだ。

 そう言えば皇子は私と同じくらい呼ばれているはずだ。このまま行けば下手したら最高記録は皇子が更新してくれる?

 皇子は馬鹿だから何かやってくれそうだし……そうか今度はコローナを焚きつけて皇子と一緒にいる聖女に水魔術をぶっかけるように示唆したらどうだろう?

 私が下らないことを考えていた。


「彼女らのは、まだ、遅刻したとか授業態度が悪いとか普通の叱責だから問題はないけれど、グレゴールは殿下に対して水魔術で攻撃したのよ。完全に不敬だし、下手したら反逆罪に問われるわよ」

「ええええ! 水魔術くらいで?」

私は驚いた。だって散々皇子と緑頭には水魔術で攻撃したと濡れ衣かけられていたのだ。

「じゃあ、私も反逆罪に取られるの?」

「あなたはマイヤー先生のお気に入りだし、ハンブルク王国の侯爵家令嬢じゃない」

「はああああ? ユリアナに言っているのよ! 私がマイヤー先生のお気に入りな訳無いでしょう? 最近毎日職員室で叱責されて反省文を書かされているのよ」

私がベティに反論すると、

「昔からの付き合いあるかも知れないけれど、あなたを見守るマイヤー先生は時たまとても優しい視線であなたを見ているのを知らないでしょう?」

「私じゃ無くて殿下を見ているんじゃないの?」

私はお姉様と違ってマイヤー先生に優しくされたことなど無いのだ。

マイヤー先生は王族の居る各クラスと我が兄弟の居る5クラスを担当しているんだけど、いつも私に対するあたりだけがきついのだ。

「グレゴールは下手したら退学になると思うわ」

「ええええ! 高々水魔術ぶっ放したくらいで退学になるの?」

私なんてハンブルク王国の時に何回クラウスを攻撃したことか……でも、そんな話一度も聞いたことが無かった。学園長とかお父様がもみ消してくれたんだろうか?

というか、こんな事で退学になれるなら私は退学になりたい。元々好きで来た学園じゃないし……


「ユリア、私、グレゴールがいたからここまで頑張って来れたの。グレゴールがいなくなったらどうやって学園でやって行けばいいの?」

泣きだしたベティに

「大丈夫よ。こんな事で退学になんてならないわ。いざとなったら私が抗議してあげるから」

私はベティを抱きしめて慰めたのだ。


もし、グレゴールが退学になるのなら私も同罪だと言い張る気満々だった。

こんな帝国の学園なんてさっさと辞めてハンブルクに帰ってやるのだ。





ここまで読んで頂いてありがとうございます。

ユリアの希望通り退学になれるのか?

続きは今夜です

お楽しみに

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://ncode.syosetu.com/n4848kz/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



最新の短編作品はこちら

『婚約破棄されやけ酒飲んでると軽い男が声かけてきたので張り倒したら、何故か執着されました』https://ncode.syosetu.com/n2191kg/

このお話の前の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/

新作

『恋に破れた転生王女はツアコンを目指します』https://ncode.syosetu.com/n7707kp/


この前の作品はこちら

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ