表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/230

上級生に絡まれているクラスメートを助けようとしたらいきなりお兄様が現れました

 結局その日は怒り狂っているお兄様を家に連れて帰ったのだ。

 怒り狂ったお兄様を抑えるのが本当に大変だったのよ。



 何故か二人しかいないのにお兄様の膝の上に乗せられてお兄様はブツブツ文句を言っているんだけど……

「まあ、お兄様、そう怒らないで。ピンク頭も王太子殿下にも雷撃を浴びせておいたから」

「それはそうだが、あのホイットニーのやろう、何か言われなかったか」

「何かって別に私は別室で待機していただけだから何も言われていないわよ」

 私のことを凶暴な魔物に例えていたなんて余計な事は怒り狂ったお兄様に言わない方が良いだろう。下手したらとって返して首を取るとか言いそうだし……


「まあ、でも、ユリアが無事で良かった」

 そう言うとお兄様は私を馬車の中でぎゅっと抱きしめてくれたのだ。

「心配してくれてありがとう」

 私はお兄様に親愛のキスをほっぺにしてあげたのだ。 

 お兄様は大きく目を見開いて何故か真っ赤になってくれたんだけれど……

 まあ、おとなしくなってくれたからよしとしよう。

 お兄様は帰るまで昔のように私の頭をなでなでしてくれたのだ。




「私が注意しようとしたのに、ユリアが勝手に雷撃したんじゃない!」

 屋敷に帰ったら帰ったで、今度はお姉様はととてもお冠だった。

「だってピンク頭が私の胸がないって言うんだもの!」

 私はむっとしてお姉様に言い返した。

「ユリアは胸について気にしすぎよ。あなたに胸があろうがなかろうが関係無いでしょ」

 お姉様は他人事だと思ってめちゃくちゃな事を言ってくれた。

「酷い、お姉様! 自分が少し胸があるからって自慢してくれて」

 私が怒って言い返すと、

「何言っているのよ。あなた胸が無くても好きにやっているだけなのに、とても人気があるじゃない!」

 お姉様も怒って言ってくるんだけど。

 好きにやっているって事は無いと思う。私は人に好かれる為にお姉様と違って毎日とても努力しているのよ! 

 そう言いたかった。もっともそんなこと言ったら後が怖いからあんまり言えなかったけど……


 お姉様は最後までいやがったけれど、結局、お父様からも陛下に苦情を言ってもらうことになったのだ。王家と教会に!

 この国のトップの大司教にも文句を言うとお父様はとても息巻いていた。



 そして、翌日になった。

 私は今日こそ、友達を作ろうと張り切っていた。相も変わらず、お姉様の化粧が遅くてまたギリギリになってしまって、朝はマリアンネと話せなかった。


 四時間目が終わってお昼休みだ。私は学園開始から2日連続で学食の食事が出来ずに、マイヤー先生のところにお呼び出しを喰らっているという面目ない記録を作っていたので、今日こそは静かにしていようと思った。


 また今度は地理の先生の授業の後片付けを手伝わされていたので、食堂に行くのが遅れてしまった。


 列に並ぼうとしたら、その当のマリアンネが上級生の男に絡まれているのが見えた。


 私は慌てて近付いた。


「フルート子爵令嬢。どうだろう? そろそろ諦めて俺の婚約者になってくれても良いだろう」

 男は嫌がらせをしているのかと思いきや、思いっきり求婚していた。

 こんな学園の皆の前でやるなよ! 私は思わずそう突っ込みそうになった。

 でも、言われた方のマリアンネは嫌がっているようだった。


「だからその話はお断りしたはずです」

 凜としてマリアンネが断っていた。


「おい、いい加減にしろよ。このボーケナ商会の跡継ぎでボーケナ伯爵家の令息のアダム様がここまで譲歩してやっているんだぞ。普通は二つ返事で頷くところだろう」

 男が強制しようとしているみたいだ。ボーケナ商会は私も聞いたことがある。我が家とは付き合いはなかったが、最近王都にも進出してきた今伸びている商会だ。少し強引なところもあるとなじみの商会からは聞いたことがある。ボーケナ伯爵家は王都から離れた東部の片田舎にある伯爵領だ。田舎では領主の息子として崇められるかもしれないが、ここは王都だ。伯爵令息なんて掃いて捨てるほどいるんだけど……

 マリアンネも嫌がっているみたいだし、あんまり問題を起こすなと言われているけれど、ここは助けても良いわよね。


「ちょっと、私のクラスメイトが嫌がっているじゃない! 止めてくれない」

「な、何だと! 小娘、貴様は……公爵家の……」

 アダムは一瞬、私を入学式で見たことを思いだしたみたいだ。

 片田舎の伯爵令息にしてはよく見ている。しかし、その後が良くなかった。


「はああああ! 貴様はたまたま公爵家に養子に入れてもらっただけで、元々は平民だと父上からは聞いているぞ。俺は由緒正しきボーケナ伯爵家の嫡男だ。言葉には気をつけろ!」

 私はそんなことを言われるなんて思ってもいなかった。

 一瞬張り倒してやろうかと思ったが、それでは昨日の二の舞だ。

 

 危ない、危ない!

 ここは我慢だ。

 

 遠くに、また、クラウスがピンク頭に抱きつかれているのが見えた。お姉様は何しているんだろう?

 お父様が王宮で陛下に苦情を言っているのは今日だと思うし……

 まあ、丁度良いや。こういう権威主義のやつは王太子くらいを呼べば良いだろう。


「キャーーーー、痴漢よ!」

 私は大声を出したのだ。

「えっ?」

 さすがの俺様男も私の言葉にぎょっとしたみたいだ。


 私は近くにクラウスがいたから飛んで来てくれると思ったのだ。

 王太子が出てくればいくらアダムが馬鹿でもひくだろう。

 しかし、次の瞬間、私はがっちりと抱きしめられていたのだ。


「お、お兄様!」

 驚いたことに私はお兄様に抱きしめられていた。

 どこから来たんだろう? 近くに見えなかったけれど……

 と言うか、これはやばい! 伯爵令息風情に難癖つけられたくらい自分でなんとかしろと説教される未来しか見えなかった。


「ギャーーーー」

 そして、当のアダムは現れたお兄様に踏み台にされていた。

「貴様か? 俺のユリアに手を出したのは」

 そこには氷のように冷たいお兄様の声が響いたのだ。

「いえ、手など出しておりません」

 お兄様に更に踏みつけられてアダムは悲鳴を上げていた。


 ふんっ、いい気味だ。

 私が少しそう思った時だ。


「何をしているのです!」

 そこに怒髪天のマイヤー先生が立っていたのだ。

「また、貴方たちですか?」

 先生は私とお兄様を睨み付けてくれた。


「取りあえず、職員室に来なさい」

 マイヤー先生の冷たい声が響き渡った。


「えっ、先生、私はまだ食事が」

「食事どころではありません」

 私は三日連続で食事が食べられなかったのだ。

 こんなんだったら、あっさりとアダムを張り倒しておけば良かった。

 私は後悔したのだった。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

三日連続食事抜きのユリアです。マリアンネと仲良くなれるのか?

続きは今夜です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://ncode.syosetu.com/n4848kz/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



最新の短編作品はこちら

『婚約破棄されやけ酒飲んでると軽い男が声かけてきたので張り倒したら、何故か執着されました』https://ncode.syosetu.com/n2191kg/

このお話の前の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/

新作

『恋に破れた転生王女はツアコンを目指します』https://ncode.syosetu.com/n7707kp/


この前の作品はこちら

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ