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皇子の側近が言いつけてくれたので、翌朝マイヤー先生に呼ばれて叱責されました

 ボブと皇子達がフェンスに叩きつけられた瞬間、皆、口を開けていた。


 フェンスが大きく揺れる。

 ボブも含めて皆泡を吹いて気絶していた。


「嘘っ!」

「あの娘ボブを吹っ飛ばしたぞ!」

「すげええええ!」

「「「ウォーーーーー」」」

 大歓声が上がった。


「凄いぞ、一年生!」

「ユリアーナちゃん素敵!」

 皆私に声援を送ってくれた。


「ユリア、凄いじゃない!」

 私はベティ達にもみくちゃにされた。

「ユリア様は凄いんですね。ここまで凄いとは思っていませんでした。さすが、ホフマン公爵家のご令嬢ですね」

 グレゴールも賞賛の目を見せてくれた。


「皆、応援ありがとう!」

 私が手を振ると

「ウォーーーー」

 皆が手を振ってくれた。

 これって、王立学園の決勝の前みたいだ。前世病弱だった私はこんな風に皆に応援してもらったことはなかったので、とても気持ちが良かった。

 調子に乗ってこれを二回位して、お兄様の顰蹙を買っていたけれど……


 お兄様は私がお兄様の代わりに戦ってボブに勝ったのが気に入らないみたいだ。

「ユリア、帰るぞ」

 私が3回目に手を振った時に、さすがにキレたのか私を抱き上げてくれたのだ。


「ええええ!」

「そこの男、ユリアーナちゃんに何をする」

「変態!」

「消えろ!」

 男の人達からブーイングが起こったが、お兄様はむっとしたまま私を抱き上げて、歩き始めたのだ。

「じゃあ、またね」

 私が皆に愛想を振りまいている間に、お兄様はずんずん馬車に向かって行ったのだ。


 馬車には既に皆が揃っていた。


「お兄様、決闘はどうだったの?」

 馬車に乗るとお姉様が聞いてきた。

「勝ったわよ、私が」

 私がVサインをした。

「えっ、どういうこと?」

「帝国の馬鹿皇子がユリアに決闘を申し込んで、ボブに代わりやがったんだ」

 お兄様はとても不機嫌そうだった。


「何なの、それ? そもそも男が女に決闘を申し込むっておかしいんじゃないの?」

 お姉様が言うのももっともだ。

「本当にあの皇子は最低だった。ユリアが叩き潰してくれて俺も拍手喝采したぞ」

 フランツお兄様が横から賞賛してくれた。

「フランツお兄様も見てくれていたんだ」

「当然だろう。ユリアがやらなかったら俺がやってやるところだった」

 フランツお兄様は愛しのベティの婚約者が皇子だから皇子には何か一物持っているみたいだった。

「じゃあ、フランツお兄様に代ってあげれば良かったかも。あのボブなら、フランツお兄様でも勝てたかもしれないわ」

「いや、あれはユリアが見た目で油断させたからだろう。普通にやっていればもっと強いはずだ」

 お兄様が横から否定してくれるけれど、

「でも、フランツお兄様も見た目より強いはずよ。特にベティのためなら、死ぬ気で出来たんじゃないの」

「それはそうだが、ここは妹に華を持たしてやったんだよ」

 フランツお兄様がそう主張するけれど、

「でも、フランツお兄様。ベティを狙うなら、あそこは俺がやるって出てきた方が絶対に格好良かったと思うわよ」

「まあ、そうだけど、君子危うきに近寄らずと言うことわざもあるからな」

 フランツお兄様はそう言って笑ってくれたけれど、そこまでベティに気がある訳ではないんだろうか?

 私にはよく判らなかった。



 そして、翌朝だ。

 元気に私は学園に行ったのだ。

 付くや否や、エックお兄様やフランツお兄様とお姉様がさっさと馬車から降りて、私も降りようとしたらお兄様が離してくれなかった。


「えっ、お兄様。私も降りるから」

「まあ、待て!」

 私を制して、お兄様は私を抱えたまま、降りてくれたのだ。


「アルトマイアー様」

「素敵!」

「誰よ、あの女は!」

「何かむかつくわ」

 お兄様への歓声がブーイングに変わった。

 だからお兄様に抱き上げられて降りるのは嫌なのだ。

 お兄様のファンの皆から白い目で見られるし……


「ユリアーナちゃん!」

「ユリア様!」

 昨日の件もあったらか私への歓声も少しあって私は嬉しかった。

「なんだあの男は!」

「消えろ、アルトマイアー」 

「邪魔だ!」

 男達からもブーイングが上がる。


 その中お兄様が不機嫌そうに歩いてくれた。


 でも、お兄様が数歩歩いたところでいきなり止まってくれた。

 そこには怒髪天のマイヤー先生が立っていたのだ。


「ユリアーナさん。何を喜んで手を振っているのですか? すぐに職員室の私の所に来なさい」

 私はお兄様からマイヤー先生にエスコート役が代って職員室に連行されてしまったのだ。

 さすがのお兄様もマイヤー先生の所に行くのは嫌みたいで、私はあっさりと見捨てられたのだ。


「ユリアーナさん。あなた、昨日、ブルクハルト殿下に対して暴力を振るったというのは本当ですか?」

「えっ、先生。私がボブさんを吹っ飛ばしたらたまたまそこに殿下達がいらっしゃっただけですわ」

 私はたまたまという所を強調したのだ。

「何を言っているのです。あなたなら狙って出来るでしょう。学園の剣術競技でも何度もやって見せてくれたではないですか。クラウス殿下を吹き飛ばして王妃様を直撃した件は本当に王妃様から嫌みを散々言われたのですからね」

 むっとしてマイヤー先生は指摘してくれるけれど、クラウスを弾き飛ばしたらたまたま王妃様の所に飛んで行っただけで、私はあの時は決して狙った訳ではないのだ。

 後は全部狙ったけれど……

 というか、何故マイヤー先生に知られたんだろう?

 不思議に思ったら皇子の側近が先生に言いつけてくれたみたいだ。


 自分で戦わずに、他の奴に戦わせるわ、先生に言いつけるわ、本当に最低の皇子だ。

 私の中でそんなに高くなかった皇子の位置が水平線の下にまで落ち込んだ瞬間だった。


「ユリアーナさん。ブルクハルト殿下はハンブルク王国の王子殿下ではありません。帝国の皇帝陛下のご子息なのです。その皇子殿下を巻き込むなどどういう事なのですか?」

「だって、皇子殿下が私に決闘を申し込まれたのです。私では断りようがありませんでした」

 私はマイヤー先生に反論した。

「はあっ」

 マイヤー先生は大きくため息をついた。

「私は何度も言っていますよね。皇帝陛下はお厳しい方だと。政変の時に大幅な粛正があったのは知っていますよね、ユリアーナさんも! 私の知り合いで命を亡くした者も多いのです。その陛下のご子息の皇子殿下を巻き込むなど、どういうつもりなのですか? 私が庇うにも限界がありますよ」

 マイヤー先生が怖いことを言ってくれたんだけど。

 これは相当まずいことをしたようだ。


「申し訳ありません」

 私は取りあえず頭を下げた。

「まあ、やってしまった事は仕方がありません。これから気をつけるのですよ」

 私はそうマイヤー先生に注意されて帰されたのだ。

 こんなに早くマイヤー先生の叱責が終わるのは初めてだった。

 私は返ってとても悪いことをしたような気にさせられたのだ。

 そういう効果をマイヤー先生が狙ったんだろうか?

 絶対にそんなことはないと思うんだけど。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

明日からの3連休はアルプスを歩いている予定です。

電波状況がとても悪いので、更新は不定期になる予定です。

できる限り更新するようにしますので、よろしくお願いします

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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