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卑怯者の皇子諸共、四天王の息子を弾き飛ばしました

「あの、殿下、さっき、私に決闘を申し込まれましたよね?」

 私は再度確認した。

「普通は決闘とは本人がやるべきものでしょう?」

「何を言っている。帝国の皇子たる俺が自ら剣を取る訳はなかろう。当然配下の者にやらすに決まっている」

 何かふざけた事をこの能天気皇子はほざいてくれるたんだけど……

「はああああ! 良い加減にして欲しいんですけど、どこの世界に自ら決闘申し込んで、負けそうだからって強い奴に代わるなんて事をするのです? あなたそれでも、帝国の皇子なのですか? 恥ずかしくないの?」

 私は思いっきり蔑んだ目で皇子を見た。

 もう私にはこの皇子は虫けら以下の存在に落ちていた。

 さすがに私の蔑みの視線はこたえたみたいだが、

「何を言う、何度も言うように皇子たる者剣など握る訳は無いだろう」

「じゃあ、私に決闘なんて申し込まないで。恥ずかしい。決闘を申し込んでおきながら代わるなんて動物でもしないわよ」

 私が言い切った。

「当たり前でしょう! 動物にそんな高度な事ができる訳ないでしょう!」

 と後でお姉様に馬鹿にされたけれど、ピーちゃんくらいの竜なら出来るかもしれないじゃない!

 私の言葉を聞いて「ピーーーー」とピーちゃんも怒っていた。他の者に決闘させるなんて恥ずかしいことはピーちゃんでもしないらしい。ピーちゃん以下ってどういう事?

 そう呟いたらピーちゃんが怒っていた。


「いつから帝国の皇子はそんな軟弱になったの。自ら申し込んだ限り、自ら剣を握って私にかかってらっしゃいよ。本当に恥ずかしいわね。二度と私に偉そうに話さないでくれます? 女の私が恐ろしいから強そうな先輩に代ってもらいますって、どこの幼児なのよ。それでもあなた男なの? 明日から女装したら」

「な、何を言うのだ。皇子が剣を持つ訳は無いだろう」

「そうだ」

「殿下が剣を自ら持つ訳ないだろう」

 どうしようもない側近が言っているけれど


「どう見てもか弱い女の私が怖いってどれだけ軟弱なの? これから軟弱卑怯者殿下って呼んであげるわ」

「な、な、何を言う」

 皇子は怒りだしたが、私は本当にがっかりだ。そこまで軟弱だとは思わなかった。

「女。そこまでだ。殿下を悪し様に言うな!」

「へええええ、ボブ先輩は、じゃあ見た目のか弱い私に決闘を申し込んで、怖いからお父様に代ってもらうんですか?」

「そのようなことをする訳は無かろう」

 私の言葉に即座にボブは否定した。


「そうでしょう。普通帝国の皇子たるもの、皆の模範になるように剣技を磨いて、何か事が起これば自ら先頭に立って戦うのが仕事なのに、見た目か弱い私が怖いから、四天王の息子に代わるって同じ事じゃないですか? めちゃくちゃ恥ずかしい事だと思うんですけど……ボブ先輩はそう思われないんですか?」

「お前もアルトマイアーに代われば良かろう」

「そうだ。ユリア。元々俺とボブが戦う予定だったのだ。お前が代わると言えば丁度良いだろう」

 お兄様まで言ってくれるんだけど。私はそれは嫌だった。


「何を言っているの、お兄様? 私はそこのブル皇子殿下から直接決闘を申し込まれたのよ。私は軟弱な帝国の皇子じゃないわ。ホフマン公爵家の試練をくぐり抜けた現役の騎士なのよ。皇子がか弱い私を見て怖いと逃げ出したからって、私まで同じ狢にしないで!」

 私はそう言うと、皇子に模擬剣を投げたのだ。

「ギャッ」

 皇子はそれをもろに腹に受けて転けていた。

「何をするんだ」

 ボブが叫ぶが無視だ。

「殿下、自ら決闘を申し込んだんでしょう。自ら剣を取りなさいよ」

「貴様、態度が不敬だぞ」

 ボブがそう横から言ってくれたが、私はムカムカしていた。


「何なの? その軟弱な態度は。それなら余程ホフマン王国の王子の方がましじゃない! 少なくともクラウス殿下は人に任せずに自ら剣を握って私に向かって来たわよ。あなたはそれ以下ってことで良いのね」

 私は第三皇子を完全に見下したのだ。

「ええい、不敬だぞ」

「不敬不敬って煩いわね。そんなに女の私が怖い訳?」

「いや、そんなことは無いぞ」

「じゃあ、剣を握りなさいよ」

「だから皇子は自ら剣を握ることは無いのだ。」

「自分で軟弱卑怯者殿下だと認めるのね」

「おい、まて、転校生、俺はそうは言っていないぞ」

「皆、見て、第三皇子殿下は自ら私に決闘だと大口叩いたのに、か弱い私にこんな厳つい男を対戦させようというのよ。おかしくない?」

「いや、確かに」

「おい、あの可愛い子は誰だ?」

「ユリアーナちゃんだ。ハンブルクの留学生の」

「俺なら、そのまま対戦するぞ」

「そうだそうだ」

 一部の軽い男達が叫び出した。


「ええい! 煩い! 小娘。これ以上殿下に不敬な言葉を働くな」

 ボブがずいっと前に出てきた。


「きゃっ、殿下が逃げ出しして、こんな厳つい先輩を代わりに向けてくるなんて、最低よね!」

「そうだそうだ」

「最低だぞ」

「本当に最低軟弱卑怯者皇子よね」

 私が吐き捨てるように言うと、

「もう良い。殿下の悪口はそこまでだ。貴様も口が過ぎるぞ」

 ボブは私を制しようとした。

「おい、ユリア、ボブの相手は俺なんだぞ」

 お兄様が横から言ってくるが、

「文句は軟弱皇子に言ってよね」

 私がお兄様に言うと、

「小娘。いい加減にしろ」

「誰が小娘よ」

 私はボブを睨み付けた。

「貴様、生意気な。本当にやるのか?」

「ユリアーナちゃん頑張れ」

「ボブなんかに負けるな」

「卑怯だぞ、ボブ」

「さっさとユリアーナちゃんに負けろ」

 男達が私を応援してくれた。


「私が勝ったら二度と婚約者以外の女を傍に寄らせないこと。良いわね」

「その代わり、負けたら俺の奴隷になれ」

 皇子がふざけた事を言い出した。

「な、何ですと」

 お兄様が剣に手をかけた。

「あなた自分が戦わないのに、条件を付け加えるんじゃないわよ」

 私は皇子にビシッと指を突きつけたのだ。

「それ以上言うと私のピーちゃんの奴隷にするわよ」

「何だ? ピーちゃんとは」

「私のペットよ。私こんな軟弱な男の奴隷もいらないから、私のペットの奴隷にしてあげるわ」

 うーん、ピーちゃんの飼育係としてなら価値があるのかもしれない。

「殿下」

 ボブが首を振った。お兄様が今にも抜剣しそうだし、軟弱皇子は余計な言葉を引っ込めれば良いのだ。

「まあ、良かろう。貴様が負けたらパウリーネに謝るのだぞ」

「判ったわ。私が勝ったら、ベティに謝りなさいよ」

「よかろう」

 条件は揃ったのだ。


「おい、ユリア、本気でやるのか?」

「だって私が申し込まれたんだもの」

「でも、相手は相手が代わったのだから俺に代われ」

「嫌よ。お兄様。私に卑怯な第三皇子と同じ事をしろというの?」

 私はお兄様に首を振ると模擬剣を持って中央に進み出たのだ。


 立ち会いは最上級生の生徒会長がしてくれた。

「小娘、本当に良いのか?」

「ええ、仕方がないわ」

 私が頷いた。


 皆固唾を飲んで私達を見ていた。

「おい、どう見てもボブの勝ちだろう」

「あの子絶対に負けるわ」

「なんか酷い」

「あの子絶対に可哀相」

 観客席から私に同情が集まった。

 そんな中、ボブはとてもやりにくそうだ。

 私は一撃必殺を狙っていた。

 やる気のないうちに倒すのだ。

 それには弱いふりをするのが一番良い。

 私は卑怯な手を使った皇子達を許す気はなかった。


「小娘、行くぞ」

 手加減しただろうボブの打ち込みを私は躱した。そして、皇子との一直線上に並んだ瞬間だ。

 私は身体強化をした。そして私の一閃がボブに襲いかかったのだ。


「えっ」

 ボブが目を見開いた。

 遅い!

 ダンッ!

「ギャッ!」

 次の瞬間、油断しきったポフの脇腹に私の横殴りの剣が襲いかかったのだ。

 ボブは吹っ飛んでいた。



次の瞬間 皇子達のいるところにボブの巨体が飛んで行ったのだ。

「「「ギャーーーー」」」

そのまま3人を巻き込んでボブはフェンスまで飛んで行ったのだ。

4人はフェンスに叩きつけられて意識を失っていたのだ。


卑怯な手を使った皇子(ユリア視点)をユリアは許しませんでした。

ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾


でも、皇子を虚仮にされた帝国は黙っているのか?

続きは今夜です。


3連休中は山ごもりしますので更新が不定期になるかも……

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
毎更新楽しく読ませてもらってます! 留学の話が出てからユリアはフラストレーション溜まることばかりで、これがユリアじゃなかったら結構悲惨だし可哀想だなぁと割とハラハラしてたのですが、やってやりましたね!…
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