表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

145/230

皇子が決闘を申し込んできたので仕方ないから受けてあげたら、何と自ら戦わずに厳つい代理の者をたててきたんですけど……

 今日二回目のマイヤー先生の説教だ。

 最悪だった。

 何故一日二回も説教を受けなくてはいけないのだろう?


 それにハンブルク王国とは違って、ここは私に取って敵地の帝国の学園だ。ツェツィーリアを謹慎させた私は睨まれているはずだ。

 私の周りには、私に好意的でない学園長を始め、皆白い目で見てくれた。唯一、私が昔から知っているマイヤー先生は激怒しているし……

「マイヤー君。聖女様を雷撃で攻撃するなど、由緒ある帝国の学園始まって以来の事なのだよ。どうしてくれるんだ」

 学園長はとても激怒していた。

「学園長、初代皇帝陛下は聖女様と喧嘩したときに、聖女様に雷撃されたと歴史書に載っておりますが」

 マイヤー先生が指摘した。

「何を言っておる。それは聖女様が攻撃された例で、逆だろう。今回は崇高たる聖女様が攻撃されたのだぞ」

「崇高たる皇帝陛下が攻撃されたのは同じです」

 激昂する学園長にも平然と言い返すマイヤー先生はさすがだった。


「いや、まあ、それはそうだが、剣術の先生を気絶させるわ、聖女様を気絶させるわ、その女は問題だらけではないか? どう責任を取ってくれるのだ?」

 学園長は怒り狂っていた。

「文句ならばユリアーナさんを召還された陛下におっしゃってください」

「……」

 マイヤー先生の言葉にさすがの学園長も黙ってしまった。


「そもそも、生徒に一撃でやられる教師もどうかと思いますが」

 マイヤー先生はじろりと復活してきたドレーゼ先生を睨み付けた。

「いや、私は油断しただけで」

「油断したただけで、やられるものですか? 私は先生がユリアーナさんを担当する時にお話ししたはずです。この子は強いですよと」

「いや、まさかこれほど強いとは思っていなかったのです」

「ユリアーナさんは、三歳にして、武のホフマン公爵家の試練を乗り越えているのです。下手したら、いずれは帝国の四天王と同程度の力を持つようになるかもしれません」

「はああああ? 何を言っているのです。そんなわけはないでしょう」

 ドレーゼ先生は反論したが、

「では、何でもない生徒に先生は一撃で倒されたのですか?」

「……」

 マイヤー先生の言葉にドレース先生は口を開いたり閉じたりしたが言い返せなかった。


 私はアウェーの雰囲気の中、唯一の味方であるはずのマイヤー先生に延々と怒られたのだ。


 先生の叱責が終わった時は、6時間目の授業の終了のベルがなった時だった。


 私は疲れきって、職員室を出た。



「ユリア、大丈夫だった?」

 疲れきって教室に帰ると、ベティがグレゴールと待ってくれていた。

「全然大丈夫じゃないわよ! 延々とマイヤー先生に怒られるし、学園長には睨まれるし、もう最悪よ」

 私は疲れきっていたので、自分の椅子に倒れ込むように座ったのだ。

「ごめんね。ユリア、私のために」

「何言っているのよ。自分のためにやっただけだから」

「でも、私のために、聖女と殿下に水をかけてくれたんでしょ」

「だから、あれは私じゃないって!」

「本当に? でも、殿下にあんなことができるなんて、ユリア以外に考えられないんだけど」

「いや、私は違うから」

 ベティはそう言ってくれるけど、私が犯人じゃないから!

「それよりも、ユリアーナ様は訓練場に行かなくて良いのですか? アルトマイアー様が、決闘されるのではないのですか?」

「そうだった。忘れていた」

 私は慌てて、お兄様の所に行こうと教室を出たのだ。


「こんなところにいたか、転校生!」

 私がベティ達と連れだって、訓練場に向かうと、そこに怒り狂った、第三皇子が側近達を引き連れて待ち構えていたのだ。

「ハンブルクからの転校生、よくも私が愛しく思っているパウリーネを傷つけてくれたな」

 この皇子、婚約者のベティの前で何を言ってくれるのだ。私は呆れた。

 ベティが沈んだ顔をする。


「よって貴様と決闘を申し込む」

 ええええ!、私、帝国の皇子様から決闘を申し込まれたんだけど、これはひょっとして、不味くない? 帝国とはできる限り問題を起こすなと言われていたのに!

 でも、私の友人の為にもこのどうしようもない皇子を許す訳にはいかなかった。

 ベティの悲しそうな顔を見るのはもう嫌だ。


 仕方がない。ベティの為に、戦うことに決めたのだ。

「良いわよ。二度と立ち上がれないように叩きのめしてあげるわ」

 私は自らやる気満々だった。


「よし、じゃあ、こちらに来い!」

 皇子が偉そうに先頭に立って歩き出した。

「ちょっとユリア、決闘なんて、私のために戦ってくれなくていいわよ」

 ベティが止めようとしてくれたが、

「ベティ大丈夫よ。二度と他の女に手が出せないように叩き潰してあげるわ。女の敵は叩き潰すべきよ」

 私は自らの考えを伝えた。

「いや、でも、ユリア、あなたが危険だわ」

「何言っているのよ? 私はあんなひ弱そうな皇子には例えお日様が西から昇っても負けないから」

 私はドンと胸を叩いて、言い切ったのだ。


 訓練場ではお兄様とボブが戦いの前の準備体操をしていた。

 そして、既に多くの見物客が来ていたのだ。


「ボブ!」

 皇子が何故かボブを呼んだのだ。

 場所を空けろって言うんだろうか?

 私はお兄様とボブっていう本日のメインイベント後で良いんだけれど。あまり多いと無様に負ける皇子が可哀相だと私は親心を見せようとした。

 後でまた、お姉様とかエックお兄様にぼろくそ怒られるのは確実だけど、私は友人に悲しそうな顔をさせる皇子を許すつもりは毛頭なかった。


「はい。何ですか、殿下」

 ボブは慌てて飛んで来た。さすが四天王の息子。皇族に良く飼い慣らされているように見えた。


「俺は聖女パウリーネを雷撃したこの転校生を許せないと決闘を申し込んだ。俺の代わりに戦え!」

 呆れたことに皇子はボブにそう命じていたのだ。


「えっ?」

 私は一瞬皇子が何を言ったか理解出来なかった。

 ええええ! 決闘は皇子自ら私に申し込んできたのに!

 この皇子、自分で戦うんじゃなくて、自分の代わりにこんなクマみたいながたいのデカイ奴を、見た目が華奢でか弱い私にぶつけようというの?

 一体どのような皇子教育を受けているのよ?

 私はあきれ果ててしまったのだ。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

次はキレるユリアです。

お楽しみに

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://ncode.syosetu.com/n4848kz/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



最新の短編作品はこちら

『婚約破棄されやけ酒飲んでると軽い男が声かけてきたので張り倒したら、何故か執着されました』https://ncode.syosetu.com/n2191kg/

このお話の前の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/

新作

『恋に破れた転生王女はツアコンを目指します』https://ncode.syosetu.com/n7707kp/


この前の作品はこちら

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ