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お兄様は帝国四天王の息子に決闘を申し込まれました

 私は早速犯人捜しに躍起になった。


 帰りの馬車で、お兄様達に不満をぶちまけたのだ。

「どう思う? 私は皇子にはまだ何もしていなかったのよ。なのに、マイヤー先生ったら私が犯人だって言うんだから、失礼しちゃうわ」

「そらあ、あなた、あれだけクラウス様に対してやっていたら普通はあなたが犯人だと思うわよ」

 私の愚痴にお姉様が真っ先に反論してくれた。

「そんな、やっていないのよ。今回は!」

 私が強調すると

「まあ、ユリアには実績があるからな。俺だってあの場にいたらユリアを真っ先に疑うぞ」

 エックお兄様までそう言ってくれるんだけど……

「少なくともユリアはやろうとしたんだろう?」

「……」

 エックお兄様の言葉に私は何も返せなかった。


「でも、やっていないのに!」

 私が更に言うと、

「でも皇族を魔術攻撃するなんて、普通はユリア以外には考えられないわよ」

 お姉様に言われてしまった。確かにあのブルの態度を見ていると如何に甘やかされているかよく判った。皆、皇族を慮って、誰も悪いことをしても悪いと注意していないのだ。

 皇子を攻撃する勇気のある奴は確かに私しかいないのかもしれなかった。

 でも、私はやっていないから少なくとも一人はそんな勇気のある奴がいるはずだ。

 もっとも私に濡れ衣を着せてくれたことは許せないけれど!


「まあ、リーゼ、そう言ってやるな、ユリアはやっていないんだろう?」

 お兄様が私を庇ってくれた。

「そうよ。やっていないわよ」

 私はお兄様を振り返った。


「仕方が無い。俺も犯人を捜してやろう」

「えっ、お兄様も手伝ってくれるの?」

 私は喜んだ。お兄様も手伝ってくれたら鬼に金棒だ。


「えっ、でも、ユリアだけでも最悪なのに、お兄様が組めば心配事が倍になりそうよ。ねえ、エックお兄様」

 お姉様が何か言っている。

「そうは言っても兄上が言いだしたら聞かないだろう」

 エックお兄様が肩をすくめてくれた。

「ユリア、お兄様、くれぐれも帝国ともめ事はしないでよ」

「判ったわ」

 お姉様の言葉に私は頷いたのだ。

 最も責任は取れなかったけれど……

 そして、お姉様の不吉な予感は早速当たってしまうのだ。

 そんな中、私はいつもはすぐに私に余計な事を言ってくるフランツお兄様が、何一言話していないことに気付かなかった。



 翌日から、私は学園で皇族に魔術を放ちそうな者を探そうと思ったのだ。

 でも、学園に着くと早速女達の黄色い悲鳴に包まれたのだ。


「キャーーーー、あれはアトルマイアー様よ」

「えっ、昨日の剣術の授業で四天王の息子のアヒム様を一撃で下されたっていう」

「凄いわ。それにお顔も凜々しいわ」

 帝国の貴族令嬢共が騒いでいた。

 そうそう、お兄様は強いし凜々しいのだ。

 早速帝国と問題を起こしているがそこは良いんだろうか?

 まあ、剣術勝負と思えば良いか?

 その父には歯が立たなかったが、子供なんてお兄様の敵では無いはずだ。


「で、その横にいるお子ちゃまは誰?」

「なんか胸が寂しそうだけど」

「妹さんじゃないの、入学前の……」

 女達が好きに言ってくれた。

 誰が胸が寂しいよ! 誰が入学前よ!

 本当に失礼しちゃうわ!

 私はむっとした。

 だから格好良いお兄様の横を歩くのは嫌なのだ。


「どうした、ユリア? 不機嫌そうな顔をして」

「何でも無いわ」

 お兄様のせいだとは言えない。

「機嫌を直せ。お前に濡れ衣を着せた奴は必ず俺が見つけてやるから」

 そうお兄様が私の耳元で囁いてくれた。


「ちょっと何よ、あの女」

「アルトマイアー様の恋人気取りなの?」

「嫌だから妹だって」

 女達のブーイングが響く。遠くから見たら恋人に囁いているように見えたんだろうか?


「貴様か、アルトマイアーという田舎者は!」

 いきなり私達の目の前に巨大な大男が現れた。

 身長は2メートル以上はあるそれに体中筋肉の塊みたいな男だった。その後ろに男達を10人くらい連れている。


「貴様は誰だ?」

 お兄様が聞いていた。

「何だと、貴様、帝国四天王のクレーメンス・ビアホフ様の嫡男のボブ様を知らないのか」

 横の取り巻きの脳筋らしき一人がお兄様に叫んでいた。

「知らん」

 お兄様は即答した。良い度胸だ。


「おのれ、幾らアヒムに勝ったくらいでいい気になりおって、早速可愛い女連れで学園内を闊歩しているとは許さん!」

 大男が私をチラリと見て言ってくれたんだけど……ええええっ、この大男、私を可愛いって言ってくれた?

 私は少し気分が良くなった。お子ちゃまとか胸無いとか言う女達にも言って欲しい。


「何を言っているやら。貴様のその減らず口を聞けなくしてやろうか」

 お兄様がボブを睨み付けていた。

 でも、このボブはお兄様に睨まれてもびくともしていなかった。

 ボブの対応もハンブルク王国の学園では考えられなかった。

 皆不機嫌なお兄様を見た瞬間、逃げ出すのだ。


「今日の16時。訓練場で決闘だ」

ボブがお兄様に指を突きつけて言いだした。

「ふんっ、良かろう。生意気な貴様を地面に這いつくばしてやる」

お兄様が言い放ってくれた。

「ふんっ、同じ言葉を返してやるわ」

大男とお兄様がにらみ合ったのだ。

さすが四天王の息子だ。

お兄様のひと睨みにも動じていなかった。

「逃げるなよ」

そう言うと大男は去って行ったのだ。


「聞いた? アルトマイアー様が筋肉男のボブと決闘ですって」

「今日の夕方よね。絶対に場所取りしないと」

「アルトマイアー様の立会人は私を選んでくれないかしら」

「何言っているのよ。私よ」

「私に決まっているでしょ」

女達は争いだした。


「お兄様良かったの? 早速決闘なんて受けて。お姉様が知ったら怒りそうよ」

「ふんっ、仕方があるまい。彼奴から申し込んできたのだ。武のホフマン家の男たるもの決闘から逃げるという道はない」

お兄様の言葉にブレは無かった。

このままいったら学園の全ての生徒達を倒して支配下に置きそうなんですけど……

お父様の髪の毛がまた少なくなるかもしれないかな。

私はお父様が聞いたら怒り出しそうなことを平然と考えていた。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

続きは明朝です。

お楽しみに!

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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