マイヤー先生に逆らった生意気な令嬢達は激怒した先生に号泣させられていました
「ユリアーナさん。何故あなたは遅刻しているのですか?」
私が教室に入いった瞬間、怒髪天のマイヤー先生の罵声が響いた。
えっ? 何故ここにマイヤー先生がいるの?
私は唖然とした。
ここにいるということは一年E組の担任がマイヤー先生ということだ。
私は青くなった。
そんな、礼儀作法の授業の担当だけでなく、担任までマイヤー先生なんてもう最悪だ!
私は頭を抱えたくなった。
さっきのコローナ達の話を総合すると、一学期は優しい平民の先生が担任だったみたいだ。
そのまま先生が続けてくれていれば、マイヤー先生が担任になることはなかったのだ。なっても学年主任くらいだったはずだ。
なのにあのネジの少し歪んだ令嬢達がその優しい先生に貴族の地位を盾に逆らったのだ。
そして学級崩壊。
先生は責任を取って辞任させられたか、精神を病んだかだ。
私がその時にこのクラスにいれば力ずくでこの馬鹿な生徒達を従わせて続けさせたのに!
一人担任がいなくなったところに厳しくて有名なマイヤー先生が学園に就任。
丁度問題児の私が留学してきたことだし、マイヤー先生に任せれば良いだろうと学園長はこの担任を任せた……
最悪じゃない!
私はあのコローナ達に文句を言いたくなった。
でも、あいつらは今はいない。ここは余計な事は言わずに謝るに限る。
「申し訳ありません」
私は取りあえず謝まったのだ。
ここはひたすら低姿勢に徹すれば経験上、マイヤー台風は収まるのだ。
「ユリアーナさん。あなたは留学初日からホームルームに遅刻するとはどういう事ですか」
「申し訳ありません。少し迷ってしまいまして」
「ちゃんと地図も渡したでしょう」
「申し訳ありません。少し勘違いをしておりまして」
「そうですよ。二度としないように」
「申し訳ありません」
私はやっとマイヤー先生の叱責をクリアできたとほっとしたのだ。
しかし、しかしだ。そこにマイヤー先生の恐ろしさを知らない脳天気なコローナ達がこのタイミングで帰ってきた。
ガラリ
扉が開いてヘラヘラしたコローナ達が入ってきた。
「貴方たち、何故、遅れて来たのですか」
マイヤー先生が叱責した。
「煩いですわ」
「本当に属国のハンブルクの学園から来た教師が何を偉そうにおっしゃいますの」
「属国の平民風情が大きな口を叩かないでいただきたいわ」
女達は口々にマイヤー先生に逆らったのだ。
私が必死に止めろと手を振ったのに、こいつらは無視した。
本当に馬鹿だ。
と言うか私を巻き込まないで欲しい。
「ほうううう。コローナ・ヤーベイ、カルラ・ファンハイト、ベルタ・オーバシュタット」
ニタリと笑ってマイヤー先生は生徒らの名前を呼んだ。
「な、何よ。平民風情が」
「黙らっしゃい!」
次の瞬間マイヤー先生の罵声が教室中に響き渡った。いや、下手したら学園中に響いたはずだ。
後ろの窓の2、3枚割れたみたいだった。
あまりのことに前に座っていた生徒達の数人が泣きだした。
それだけ凄い叱責だったのだ。
私は耳を押えてなんとか耐えた。
こいつら馬鹿だ。マイヤー先生を激怒させるなんて! マイヤー先生を怒らせることは絶対に避けるべき事なのに!
こいつらハンブルクで怖いものなしの私ですら一目置くマイヤー先生を怒らせるなんて本当にどう言うつもりなのよ!
「「「ヒィィィィィ」」」
3人は腰を抜かしていた。
「私は皇帝陛下から直々にこの学園の生徒の礼儀作法マナーを指導するように指示されているのです。その私にその態度を取るとは良い度胸です。あなた方3人の態度が悪いという報告は前任の先生から受けていましたが、いきなり親を呼び出すのはどうかと仏心を持ったのが間違いでした。直ちにこの子の親たちを呼び出しなさい」
マイヤー先生は外にいた研修生らしい教師に命じていた。
「しかし、コローナさんの親は子爵家当主ですが」
実習生は確認したが、
「はああああ? ヤーベ子爵家当主はアダムでしょう。アダムは学園時代、私が担当しましたが、中々物覚えが悪い生徒でした。本当に親も親なら子も子ね。良いから直ちに呼び出しなさい。私の名前を出せばすぐに飛んで来るはずです。来なければ皇帝陛下の名前で呼び出しなさい!」
「はっ、判りました」
マイヤー先生の叱責に研修の教師は恐怖して慌てて飛んで行った。
皇帝陛下の名前まで出されてコローナ達は呆然としていた。
本当にこいつらは馬鹿だ。でも、私の経験上これだけでは絶対に終わらないのだ。
「では、遅刻した来て4人は礼からもう一度してもらいましょう」
やっぱり。最悪だ。それに私もやらされるの?
私はうんざりした。
マイヤー先生がヒステリーを起こすと長くしつこいのだ。
最初の10分でベルタが耐えられずに泣きだして、更にマイヤー先生の機嫌が悪くなった。
最後の10分は女達で泣いていないのはほとんどいなくなっていた。私とベティくらいだった。
私達は徹底的にしごかれて、コローナ達はご多分に漏れず号泣していた。
その後父親達も職員室に呼ばれて延々怒られたのは言うまでもなかったのだ。
この日学園で皇族の皇子皇女含めてマイヤーだけは絶対に怒らせてはいけないという不文律が出来たのだった。
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
マイヤー先生は早くも帝国の学園を制圧しました。
次は皇子殿下登場です
お楽しみに