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辺境伯令嬢は第三皇子の婚約者でした

 そして、翌日私達はメンデルスゾーン辺境伯の屋敷から出発した。


 出発する前に、お兄様とエックお兄様が病床の辺境伯を見舞っていた。


 でも、帰ってきた2人は何故か言葉少なめだったが、何かあったんだろうか?

 私にはよく判らなかった。


 その後私達は辺境伯に頼まれて道中の安全のためにベティーナと一緒に帝都に向かうことになったのだ。ここからは馬車で1週間の旅だ。


 フランツお兄様がベティーナとお近付きになるために一緒の馬車に乗りたがったので、私が強引にその馬車に連れて行かれたんだけど……

 お兄様は不機嫌になったけれど、私も同学年のベティーナと仲良くなりたかったし、フランツお兄様とその馬車に乗り込んだのだ。


「お邪魔します」

 私が馬車をノックしたら、グレゴールが既に乗り込んでいて、なんかベティーナと真面目な話をしていた。


「ごめんなさい。お邪魔でした?」

 私は慌てた。

「そんなことはないですよ。どうされたのですか?」

 ベティーナが慌てて、私に微笑みかけてくれた。


「ベティーナさんが私と同じ学年だから、仲良くなれたらなって思って」

「でも、ユリアーナ様。昨日お話ししたように、私も色々あって、皇家からも睨まれているから、学園では余り親しくされない方が良いかと」

「いや、ベティーナ嬢。ユリアーナも皇家から睨まれているから大丈夫だよ」

 フランツお兄様が、横から余計なことを言ってくれた。


「失礼なフランツお兄様、私は別に睨まれていないわよ」

「嘘つけ、ツェツィーリア様を謹慎処分にした件で絶対に睨まれているって。だってユリアは名指しで留学するように言われたんだろ。学園には帝国の殿下達がいて、ユリアをてぐすねひいて待っているんじゃないのか?」

 フランツお兄様の言葉に私も少し心配になってきた。

 確かにそれは気になっていたのだ。

 何故、私みたいなあまり目立たない気弱な生徒が皇帝陛下に呼ばれたのか全然判らなかったし……

 最終的にツェツィーリアが謹慎処分になったのはお兄様が原因だと思うんだけど……


「えっ、ユリアーナ様はツェツィーリア様を謹慎処分に追いやられたんですか?」

「まあ、結果的にそうなってしまっただけで、原因はお兄様だと思うんだけど」

 私は笑って誤魔化したけれど、ベティーナがいなかったら余計な事を言ったフランツお兄様をおもいっきり蹴飛ばす所だった。


 ベティーナに聞いたところでは、帝国の学園は一学年5クラスあって帝国の皇子や高位貴族は全てA組にいるのだとか、何故かベティーナ辺境伯令嬢はE組にいるとのことだった。

「でも、それおかしくない? ベティーナさんは高位貴族なのにE組って。E組にはどんな方々がいるの?」

 私が尋ねると、商人や準男爵家の子弟が多いそうだ。

 それと属国の低位貴族も多いそうだ。


 私も睨まれているのならE組だろうか?

「まあ、私は皇族のいらっしゃるA組よりもベティーナさんがいらっしゃるE組が良いんですけど」

 私が言うと、

「でも、E組でも私はグレゴールと一緒に浮いているんですけど」

 ベティーナが教えてくれた。

 やはり平民とは話題が中々合わないらしい。


「そうなんだ。でも、私は帝国貴族の中でも、帝国の貴族の間で流行っている事なんて何も知らないし、どのみち浮いてしまうと思うんですよね」

 私はベティーナにそう教えた。

「まあ、ユリアは脳筋だからな。令嬢達とも筋肉で話していそうだし」

「ちょっとフランツお兄様。どういう事よ!」

 さすがの私もいらっときた。

「だってお前、剣術の授業でクラスの男ども全員叩き潰して番長になっていたじゃないか」

「誰が番長よ。私がなったのはクラス委員長よ。それにマリアとかビアンカとかフィリーネとか女友達も沢山いたわよ」

 私がフランツお兄様に反論した。


「ユリアーナ様は帝国への留学に対して婚約者様とかは反対されなかったんですの?」

 ベティーナが聞いてくれたんだけど、

「まさか、ベティーナさん。こんながさつな奴に婚約者なんて出来る訳ないだろう」

 フランツお兄様は絶好調みたいだった。

 私の余計な事ばかり言ってくれるんだけど……

 私がいろいろ弱みを握っているのを忘れたんだろうか? 

 でも好きな女の子の前でばらすのはあと少し待ってあげようと私は我慢した。


「そんなことありませんわ。ユリアーナさんはとても可愛らしいですし、学園に行けばたちまち崇拝者で溢れますわよ」

 ベティーナはとても嬉しいことを言ってくれた。これから良い友達になれそうだ。

「ありがとうございます。ベティーナさん。フランツお兄様と違ってとても優しいですわ。でも、私よりも、ベテイーナさんの方が美しい黒髪ですし、とても美人ですわ。周りの男達がほっておかないでしょう」

 私はベティーナさんを取り合って争いそうなグレゴールとフランツお兄様をちらっと見て言ってあげたのだ。フランツお兄様には今までの仕返しの意味もあった。

 絶対にベティーナは引く手あまたのはずだ。


「あのう、私、婚約者がいますので他の男の方達とあまりご一緒する訳にはいかなくて」

 ベティーナが言いにくそうにそういった瞬間、フランツお兄様がピキリと固まっていた。


 なるほど、エックお兄様が言っていたことはこういうことだったのかと私は合点がいった。婚約者がいるのならばいくらフランツお兄様が努力しようが勝てる訳はなかった。

 私の悪口ばかり言うからよ!

 ざまーみろ……とはあまりにも落ち込んだフランツお兄様にはさすがの私も言えなかった。


 確かにエックお兄様が私にくれた分厚い資料の1枚目にベティーナの事は載っていた。

 第三皇子ブルクハルトの婚約者だと。

 私はそれを見て目が点になったのだ!


エックお兄様の集めてくれた資料の一枚目に載っていた事実。

それくらい読めとエックお兄様が怒るのも無理はありません。

ショックを受けたフランツお兄様は……

そして、次からお待ちかねユリアーナの帝国留学編開始です。

お楽しみに!

ユリアは冒頭から開いた口が塞がらなくなります……


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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