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帝国の政変で辺境伯家の現状を聞いて、学園でも嫌がらせを受けていると言う令嬢に対して庇おうとするすぐ上の兄に感動しました

 辺境伯のお屋敷は辺境伯が倒れたのでそれからが大変だった。

 直ちに辺境伯は執事達に寝室に連れて行かれて、ベティーナが付き添って医者が呼ばれていた。


 聖女のピンク頭を連れてきたらすぐに治せたんだけど、残念ながらピンク頭はハンブルクのカンボスっていう風光明媚な土地で奉仕活動中だ。田舎でのんびり奉仕活動が出来るなんてそれが罰で良いのかと思わないでもなかったけれど……

 何でも未だに私のことを悪役令嬢とか呼んでいるそうだ。まあ、田舎のすがすがしいきれいな空気を少しでも吸って、その欲望にまみれた汚い心を少しでもきれいにしてくれれば良いのにと私は思っていたけれど……



 私達は私達を接待する辺境伯とベティーナがいなくなったので、と取りあえず部屋に案内されていた。

 私達は部屋でお風呂に入って汗を流した後、ニーナに盛装されられて食堂に案内された。


「ホフマン様、本来は祖父の辺境伯がおもてなししないといけませんのに、あのようなことになってしまい申し訳ありません。代わりに私が辺境伯の代わりを務めさせていただきます」

 ベティーナが挨拶してくれた。

「いや、それは全然構わないが、辺境伯の具合は大丈夫なのか?」

 お兄様が聞いてくれた。

「お祖父様は少しショックを受けたようですが、今は様態も安定していて問題はないかと」

 ベティーナは教えてくれた。

「そうか? それなら良いが、ユリアーナを誰かと間違えていたみたいだが」

「はい。ユリアーナ様が昔お祖父様が仕えていた方のお嬢様に似ていたみたいで、驚いたようです」

「クラウディア様というのはどなたなのだ?」

「それは……」

 ベティーナ様が言いよどんだ。

「兄上、ベティーナ嬢が困っておられるではないですか! ベティーナ嬢も言いたくなければおっしゃらなくても良いですよ」

 横からフランツお兄様が止めようとしてくれた。

 でも、私の事なので、ベティーナには申し訳ないが、ここは私も聞いておきたいのに!

「しかし、フランツ。ユリアが誰に似ているのは興味があるぞ」

「でも、ベティーナ嬢は触れるのを戸惑っていらっしゃいますし」

「いえ、別にそこまでは。庇って頂いてありがとうございます、フランツ様」

「いえ、それほど大したことをしたのでは」

 ベティーナに笑顔でお礼を言われてフランツお兄様は天にも昇りそうに喜んでいるんだけど。エックお兄様によると絶対に叶わない恋なのだそうだけど、私も少しくらい応援したかった。グレゴールには敵いそうにないけれど……


「おそらく、クラウディア殿下だと思います」

 ベティーナが教えてくれた。

 でも、クラウディア殿下なんて帝国にいただろうか?

 私は帝国の系図を思い出していた。現皇帝陛下の周りにそのような方はいらっしゃらなかったような気がするけれど?

 皆その名前に聞き覚えはないようだ。良かった私だけではない!


「兄上。おそらく前々皇帝のお嬢様のことではないかと」

 エックお兄様が私達の疑問に答えてくれた。

「前々皇帝陛下と言われると政変前の……」

「兄上その事はあまり触れられない方が」

「ああ判っている」

 何のことかよく判らなかったが、帝国の現皇帝陛下のお父様の前皇帝陛下は元々皇弟殿下で、兄である前々皇帝陛下から継承する時にいろいろとあったそうだ。

 ハンブルクでは政変と呼んでいたが、帝国内では未だにタブー視されており、どの貴族も触れたがらないのだとか。ツェツィーリアが身の危険を避けるために我が家に滞在していたのも丁度その頃だ。

 血なまぐさいことが色々とあったらしい。前々皇帝陛下の死は病死とのことだったが、前皇帝陛下に殺されたという噂もあるほどだ。私は歴史の時間は完全に他人ごととして聞いていたが、その娘の名前がクラウディアと言うそうだ。前々皇帝陛下に娘がいたなんて知らなかった。

「我が祖父は前々皇帝陛下の側近として仕えていたのですが、前々皇帝陛下の死を防げなかったということでこの辺境伯に左遷されたのです」

「お嬢様! あまりその事は触れられない方が」

 ベティーナの後ろに控えていたグレゴールが注意してきたが、

「まあ、良いではないですか。ホフマン様は私の命を救って頂いたのです。帝国内の情勢については当然ご存じとは存じますが、ある程度はご説明しておかないと」

 ベティーナが話してくれた。

「それはそうだ。当然我々も色々と聞いてはいるが、ベティーナ嬢からの情報はありがたい」


 なんでも、前々皇弟陛下の側近だったメンデルスゾーン辺境伯は左遷されただけでなく、今でもいろいろと現皇帝陛下とその側近から不遇な目に合わされているらしい。


「まあ、処刑された側近も多いそうですから、生き残っているだけ恵まれているのです」

 そう言うベティーナはとても健気に見えた。

 帝国の政変は結構大変だったらしい。

 私はそんなことが自分の身に起こりそうになったら、相手に対して我慢できる気がしなかった。

 そう言ったら皆怒りそうだから黙っていたけれど……

 ベティーナは学園でもいろいろと嫌がらせを受けているみたいだった。


「ベティーナ嬢、君に嫌がらせをする輩がいるのか? 許せないな」

 私が言おうとしたら、いつもはそんな時には静かにしているフランツお兄様が言い出してくれたんだけど……いつも見て見ぬ振りのフランツお兄様がどうしたんだろう? 

 恋は人も変えるのか?


「ベティーナ嬢。嫌がらせを受けた時は俺を頼って欲しい。必ずそうした奴を君の前に引き据えて成敗してやるから」

 なんか、フランツお兄様がお兄様みたいになっているんだけど……

 お兄様が2人になった?

 ホフマン家って皆こんな感じなんだろうか?

 私はいつもは我関せずの頼りないフランツお兄様が、とても頼りがいのある男に見えたのだった。



ここまで読んで頂いてありがとうございます。

恋する者の前で格好つけているフランツお兄様でした。

でも、フランツの恋は実るのか?

続きは今夜です

お楽しみに!

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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