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辺境伯の屋敷に行くと、辺境伯が私を誰か他の人と間違えてくれました

 戦いは大方終わった。

 生き残っていた山賊はお兄様達が悉く捕まえてくれたのだ。



「ユリア、あなた、よくも私達を見捨ててくれたわね」

 戦いを終えた後、私はお姉さまに文句を言われた。

「えっ、ピーちゃんをお姉様につけたし、問題なかったと思うんだけど?」

 驚いて私が反論すると、

「ピーちゃんじゃ、役に立たないでしょ!」

 お姉様は冷たく言い切った。

「そんな、ピーちゃんも役に立つわよね」

「ピーーーー!」

 ピーちゃんが、ムッとして怒ってくれた。

 お姉様はお冠だけど、現実的にお姉様の馬車を襲った山賊は、お姉様が二人とも丸焼きにしていたし、問題は全くなかったと思うのに!

「私はユリアと比べて試練も受けていないのに」

 とか

「お菓子で釣らなかったからユリアが私を見捨ててくれた」

 その後延々とブツブツ言われたのだ。別にお菓子をもらわなかったから見捨てたんじゃない!

 でも、こうなったらお姉様はしつこいのだ……


 そもそも賊達の目的は私達ではなかったみたいだ。

「えっ、山賊達は私達を襲ったんじゃなくて、ベティーナさんを襲ったの?」

 私はお兄様の言葉に驚いた。

 何でも山賊どもを尋問していたら、賊共は元々ベティーナさんを襲うように依頼を受けていたそうだ。それで辺境伯家の屋敷を見張っていたらベティーナさんがほとんど護衛もつけずに国境の詰め所に行ったので、その帰りを襲ったそうだ。私達がここまで強いとは判らなかったらしい。


 我々がホフマン公爵家と聞いて、山賊の頭領は泡を吹いていたらしい。


 何でも、隣国の帝国でもホフマン公爵家の武勇伝は伝わっているみたいで、ホフマン公爵家関連は襲うなと賊仲間では有名になっているそうだ。

 捕まった山賊の親分は一寸刻みで処刑するのだけは何卒許して欲しいとお兄様に土下座していたそうだ。

「誰が襲えと言ったか、述べたら考えないこともない」

 とお兄様がもったいぶって言ったら、

「本当に知らないんで」

 と必死に震えて言っていたからおそらく事実だろうとお兄様は言っていた。



「この度は私の命を救って頂いてありがとうございました」

 その顛末を聞いたベティーナが改めてお礼を言ってくれた。

「いや、俺達の為にあなたが来て頂いたのが原因だ。我々が戦うのは当然だ。気にしないでもらおう」

 鷹揚にお兄様が首を振った。

「そうそう、別に気にする必要はないよ」

 いつもは静かなフランツお兄様も横からしゃしゃり出てきた。

 お兄様は本当にベティーナに気があるみたいだ。

 エックお兄様は無理だと言ってくれていたけれど、フランツお兄様は全然諦める気配はないみたいだった。


「お嬢様!」

 遠くから声が聞こえてきた。

 そちらを見ると騎士団を率いた若い男が駆けつけてきたのだ。


「グレゴール!」

 ベティーナは喜んでそちらに手を振っていた。


「お嬢様、大丈夫でしたか? だからあれほど私の護衛無しでは屋敷の外に出ないようにお話していましたのに」

 グレゴールと呼ばれた男がベティーナを叱責すると、

「グレゴール、ご免なさいね。時間がなかったものだから」

「国境へのお使いなど私めに命じて頂けたら行きましたものを」

「いやあ、申し訳なかった。我々が無理を言ったのだ」

 お兄様が言い訳すると、

「お嬢様、こちらの方々は」

 グレゴールはとても警戒した感じになった。

「グレゴール、この方々はホフマン公爵家の方々なのよ。賊の大半は倒して頂けたわ。あなたからもお礼を言って欲しいわ」

「さようでございますか! このたびは我が家のお嬢様をお守り頂いて大変ありがとうございました」

 ベティーナの言葉にグレゴールは慇懃に礼をしてくれた。

「いや、我々が呼び出した形になったせいで襲撃を受けたみたいだ。謝るのはこちらであろう」

「そのようなことはございません。この地にいる山賊達には結構苦しめられていたのです。大半を征伐頂けてこんなに嬉しいことはありません」

 ベティーナが感謝してくれた。



 そのまま山賊の生き残りは辺境伯の騎士団に引き渡した。


 そして、ベティーナの馬車は壊れてしまったので、ベティーナはグレゴールの馬に2人乗りして帰ることになったのだ。


「2人乗りならば俺が載せたのに」

 フランツお兄様がブツブツ文句を言っていたけれど……

 使用人ということだったが、私から見たらグレゴールとベティーナは結構良い感じだった。これはフランツお兄様の失恋は決定的ではないかと私は思ったが、フランツお兄様には言わないでおいてあげたのだ。


 私達はそのまま辺境伯家の騎士団と一緒に辺境伯の屋敷に向かった。




 屋敷に着くと、使用人が一同勢揃いして迎えてくれたのだ。


「お祖父様!」

 ベティーナの声で寝込んでいるメンデルスゾーン辺境伯までもが出迎えてくれたのが判った。


「おお、ベティーナ、無事で何よりだったな」

 辺境伯は顔をほころばせてベティーナを迎えていた。


 私達が馬車を降りたって、辺境伯に挨拶しようとした時だ。


「クラウディア様!」

 私は驚きの為に固まった辺境伯にそう呼ばれたのだ。


「えっ、私?」

 私はクラウディア様が誰だか判らなかった。


「お祖父様!」

 ベティーナの悲鳴が聞こえた。

 私を見て驚愕に目を見開いた辺境伯はそのまま倒れてしまったのだ。






ここまで読んで頂いてありがとうございます。

クラウディア様とは誰なのか?

続きは明日です。

お楽しみに

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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