表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/230

やられて落ち込んでいたお兄様はを励ましたらその場で訓練を始めると言い出して止めるのが大変でした

「ユリア! あなた、何やってるのよ! いくらお兄様が心配だからって、お兄様でも勝てなかった赤い悪魔を攻撃するなんて、なにを考えているのよ。死にたかったの?」

 あの後、落ち着いてから、お姉さまに散々怒られた。

「そうだぞ、ユリア、あそこは俺みたいにじっと我慢するところだ」

 フランツお兄様まであきれられるんだけど、

「何言ってるのよ。そう思うなら、フランツお兄様はなぜユリアを止めなかったの? お兄様は、ユリアが切れたその瞬間、ユリアから逃げたよね」

 お姉さまが今度はフランツお兄様に切れ出した。

「いや、リーゼ、プッツン切れたユリアを俺が止められるわけないだろう! 俺もまだ死にたくない!」

「何言ってるのよ! フランツお兄様も公爵家の試練乗りこえてるんでしょ。止められなくて、どうするのよ!」

 お姉さまがフランツお兄様の言い訳に更にきれ出したんだけど……

「リーゼ! 俺は試練がコブリンだったけど、ユリアは古代竜なんだぞ。そもそも格が違うんだよ!」

「何威張って言っているのよ! ユリアの相手は所詮ピーちゃんでしょ。コボルトと変わらないじゃない!」

「ピー!」

 お姉さまの言葉にピーちゃんは怒ったけれど、怒ったピーちゃんも可愛い!

「ほら、ピー助も怒っているぞ!」

「フランツお兄様に呆れているのよ!」

 お姉さまはフランツお兄様を睨み付けた。

「そもそもユリア! あなた、赤い悪魔が今まで何人殺していると思っているのよ。目の前で笑ったむじゃきな小さな子供が気にきらないと悪魔の前で惨殺されたのよ! あいつは何するかわからないんだから」

「そんなに酷い奴だったの! じゃあ、退治すれば良かった!」

 お姉さまの言葉に私が言うと、

「「「はああああ!」」」

「あなたじゃ勝てるわけないでしょ!」

「そうだ、ユリア、お兄様でも勝てなかったのに、お前じゃ、まだ、無理だ」

「死にたければ俺たちを巻き込むな!」

 三人して、言ってくれるんだけど!

 ちょっと酷すぎない?


「判ってるわよ! 頑張ってもっと訓練するから」

 私はそう言うと、お兄様を見た。

 お兄様が目を瞬いていた。


「あっ、お兄様、起きたの?」

 私はあわてて、お兄様の側に寄った。

「お前らが俺の枕元でこれだけ騒いでくれたら、普通は起きるだろう」

 不機嫌そうにお兄様が言った。


「お兄様が、赤い悪魔に負けるからでしょ」

「そうだ。負けた兄上が悪い」

「そうですよ。コテンパンに兄上が負けるから、ユリアが飛び出したんですから」

 お姉さま達は容赦がなかった。

「もう、お姉さま達はうるさい! お兄様は精一杯ユリアの為に戦ってくれたんだから、もういいでしょ」

「いや、負けた俺が全て悪い」

 お兄様がボソリと言ってくれた。

「ユリアの騎士としては失格だ」

 お兄様が反省して言い出すんだけど、確かに私は無敵の騎士になってねとは言ったけれど、いつも勝てるとは限らないじゃない!


「良いのよ、お兄様は私のために死力を尽くしてくれたんだから。いつでも逃げ出せるように構えていたフランツお兄様に比べたら、さすが、私のお兄様よ」

「何言っているんだ、ユリア! 俺は勝てない戦はしない主義なだけだ。全員がやられたら、駄目だろう。いつかユリアの仇は取ってやろうと思ってはいたぞ」

 フランツお兄様は自慢して言ってくれるんだけど、今の言葉の中にどうして自慢できる言葉があるのよ。

「それで1人だけのうのうと生き残るつもりなのね」

 私が目一杯嫌みったらしく言うと、

「何を言うユリア。それが俺の役目だ。俺の代では無理でも、それの子供や孫の代にユリア並みの子供も生まれるだろう。そいつらに仇は討たせる」

 フランツお兄様はとても格好良く言ってくれるけれど、

「それって結局フランツお兄様は何もしないってことでしょ。最低!」

 私が言うと、

「いや、そんなことはないぞ!俺もだな……」

「もう良いわ。ここは私がお兄様の面倒を見るから皆は出ていって!」

 私は何故かお兄様の病室で私を怒っていたお姉様とエックお兄様を追い出したのだ。それと余計な事ばかり言うフランツお兄様も。

「ちょっと、ユリア。私はまだ何も話していないわよ!」

 お姉様が怒って言うけど、

「話はまた今度ね」

 そう言うと全員を強引に追い出したのだ。

 そう、私はこの後帝国に留学するのが決まってしまった。

 だから少しでも長くお兄様と一緒にいたかったのだ。


「お兄様。気分はどう?」

 私がお兄様に聞くと、

「ああ、だいぶましになったかな」

 お兄様が答えてくれた。

 あれからお兄様は3日3夜高熱を出して寝込んでくれたのだ。

 やっと昨日熱が収まったのだ。今日は寝たり起きたりしていた。


「すまん。ユリア、お前がずっと面倒を見てくれていたのか?」

「そうよ。当然じゃない。何しろお兄様は私の代わりに赤い悪魔と戦ってくれたんだから」

 私はお兄様に言い切ったのだ。途中で何度かお姉様とか侍女長に代わってもらったのは内緒だ。

 起きている間は必死に看病したし……そう言っても良いだろう。私は起きている間はできる限りお兄様と一緒にいたかった。夏が終わったら私は帝国の王立学園に留学しなければいけない。お兄様ともお別れだ。お兄様は今まで本当に私のために色々やってくれていた。

 だからこの休みの間もできる限り一緒にいたかった。


「ユリアのために戦ったのに、そのくせ負けていたら世話無いな」

 お兄様が力なげに呟いた。

 何それ。お兄様らしくない!


「お兄様。勝負は時の運よ。負ける時もあれば勝つ時もあるわよ。次に勝てば良いだけじゃない!」

私はそう言って珍しく落ち込んでいるお兄様を励ましたのよ。


「それはそうだが……そうだよな……次に勝てか」

お兄様はブツブツ言いつつ、私を見た。

そして、目を爛々と輝かせ始めたのだ。

「確かに、次にあの悪魔に次に勝つためにはこうしてはいられないな!」

 お兄様はそう言うと立ち上がろうとしたのだ。

「ちょっとお兄様、何しているのよ?」

私は驚いた。

「お前が言ったんだろう。次は勝てと、こんなところで寝ている暇はない」

 お兄様はそう言って起き出したのだ。

「いや、ちょっと待ってよ!まだ、傷は塞がっていないって! お兄様! 訓練はまだ早いから」

私は落ち込んでいるお兄様を元気づけようとしただけで、まだ傷も完全に塞がっていないお兄様がいきなり訓練を始めようとするなんて思ってもいなかったのだ。

「ちょっと、皆! 大変よ!」

 私は大声で追い出した皆に助けを求めた。

 そして、皆して強引にお兄様をベッドに戻したのだ。

 後で皆に散々怒られた。

 だって、少しお兄様が柄になく大人しかったから、元気付けようとしただけなのに!


「それでなくてもお兄様は脳筋なんだから、元気のない時くらい大人しくさせておきなさいよ。お兄様が動き出すのなんて判っていたでしょ!」

 お姉さまに愚痴愚痴怒られた。

 私はここまで早くお兄様が訓練を始めるなんて思ってもいなかったのだ。


 そして、お兄様は翌日から私達が止めるにもかかわらず本当に訓練に入ってくれたのだった。

ここまで読んで頂いてありがとうございました。

お兄様も二度と赤い悪魔に負けないように訓練を始めました。

帝国に留学するユリアは少しでも長くこの家族の皆と一緒にいたいと思っていました。

次は帝国への留学です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://ncode.syosetu.com/n4848kz/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



最新の短編作品はこちら

『婚約破棄されやけ酒飲んでると軽い男が声かけてきたので張り倒したら、何故か執着されました』https://ncode.syosetu.com/n2191kg/

このお話の前の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/

新作

『恋に破れた転生王女はツアコンを目指します』https://ncode.syosetu.com/n7707kp/


この前の作品はこちら

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ