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私の目の前でお兄様が斬られて血まみれになって倒されました

「止めろ、アルト! お前ではバルヒェット様には絶対に勝てんぞ!」

 お父様が止めようとした。


 ええええ!

 お父様がそこまで言うなんて余程強いんだ。

 私は驚いた。


「何言っているのよ、ユリア。アーベル・バルヒェット様は帝国の四天王のお一人よ。

 四天王と言えば、前皇帝陛下が帝位に就けたのは四天王の暗躍があったからこそって言う噂よ。強いなんてものじゃないと思うわ。お父様でも勝てるかどうかよ」

 それは強そうだ。

 お父様にまだ一度も勝てないお兄様には難しいかもしれない。

 私は理解した。


「父上、止めないでください。いずれは戦わねばならない相手です」

 お兄様ははっきりと言ってくれた。

 凄い! いずれは勝つ気満々だ。

 私には絶対にそんなことは言えなかった。止められた途端止めただろう。後はお父様とバルヒ……何だっけ? で好きに決めて下さいって感じでさっさと逃げ出したのに……


 いや、ちょっと待って! 

 そう言えばこれは私の留学がかかっているんだった。私は逃げられないじゃない!

 私はそれに気付いた。


 私の代わりにお兄様に戦わせるのはどうなのと思わないでもなかったけれど、お兄様の方が私より圧倒的に強いし、まだ私よりも勝つ可能性はあった。


「ふんっ、口先だけの小僧か? その生意気な口をいつまでもきいていられるか楽しみだな」

「何だと!」

「直にその生意気な顔を、恐怖に震えさせてやるからな。覚悟しておけよ」

 お兄様が睨み付けたが、バルなんちゃらは余裕で対応していた。さすが帝国四天王の一人だ。


「バルヒェット殿。子供の戯れだ。出来れば止めてほしい」

 お父様が止めようとしたが、

「父上、俺はやるぞ」

「そうだ。ルードルフ、親が出る所ではないぞ」

 バルなんちゃらが首を振った。


「俺より年上のお前が言うか?」

 父が独り言を呟いた。

 父も諦めたみたいだ。

 なまあ、お兄様もこの赤い悪魔もそう赤い悪魔がしっくりくる……止める気なんてないみたいだし……


「俺が勝てば、今回のユリアの留学は無しだ」

 お兄様が赤い悪魔に言い放ってくれた。さすが私のお兄様だ。

「ふんっ、あり得ぬと思うが良かろう。逆に貴様が負けたら俺の侍従として働けよ」

「バルヒェット。アルトは学生だ。休みの間だけだ」

 お父様が茶々を入れてきた。


「仕方がない。それで手を打つか」

 赤い悪魔は不敵に笑ってくれた。



 そのまま公爵家の訓練場に向かう。

 その場でお兄様と赤い悪魔が向き合っていた。


 それをフェンスの外から私達兄妹と帝国から付いてきた騎士が見学していた。

「何もバルヒェット様。子供相手に本気を出さなくても良いのではありませんか」

 騎士達が止めさせようとしたいた。

「ふんっ、獅子はいついかなる時も全力で挑むものだ」

 赤い悪魔は不敵に笑ってくれた。

 敵でなければ惚れ惚れしていたかもしれない。


「お兄様! 頑張って!」

 私は自分の留学がかかっているのだ。必死にお兄様を応援した。

「任せろ! ユリア。絶対にこの男を俺の前に跪かせてみせる」

「ふん、小僧。威勢だけは良いな」

 赤い悪魔は馬鹿にしたように笑ってくれた。

「命知らずの小僧だな」

「バルヒェット様。適当に終わらせてくださいよ」

 騎士達が呆れてお兄様を見ていた。


 お父様が審判で二人の間に立った。

「では、どちらかが参ったというか俺が止めるまでだ」

 お父様が2人に確認した。

「それで良いぞ」

「それで良いです」

 2人は頷く。



「では試合開始だ」

 お父様が合図した時だ。


 お兄様が瞬時に身体強化をして赤い悪魔に打ちかかっていった。

 最初からお兄様の全力攻撃だ。

 お兄様は剣を次々に全力で打ち込んでいった。

 でも、それを全て赤い悪魔が受けていた。

 それも一歩たりとも下がらずに……

 赤い悪魔はまだ余裕だった。

 徐々にお兄様が焦りだす。

 剣先に余裕がなくなった。


「お兄様、頑張って!」

 私が叫んだ時だ。


「任せろ!」

 そう叫んで、お兄様が一瞬沈んだ。

「えっ」

 赤い悪魔が一瞬戸惑う。

 その瞬間だ。

 お兄様の鉄砲突きが赤い悪魔に襲いかかった。

 赤い悪魔は躱そうとして、剣先が頬をかすっていた。


 ズシーーーーン

 大きな音がする。

 赤い悪魔が少し揺れた。

 赤い悪魔の頬に一筋の血が浮かんだ。


「えっ」

「バルヒェット様の体にあの小僧の剣が届いたぞ」

 騎士達は驚愕していた。


「お兄様!」

 私は喜んだ。

 しかし、どう見ても赤い悪魔はびくともしていなかった。

 かすっただけだ。


 その赤い悪魔がニタリと笑った。

 血を流して笑う赤い悪魔は本当に鬼のように見えた。


「ウォーーーーーー」

 赤い悪魔が叫ぶと怒濤の打ち込みがお兄様を襲ったのだった。

 最初は受けていたお兄様も、あっという間に守勢一方になった。

 そして、全ては受けられなくなり、所々赤い悪魔の打ち込みが決まる。

 最後は顔面を横から剣で張られていた。


 ダシーーーーン

 お兄様が跳ね飛ばされて地面に叩きつけられる。

「お兄様!」

 私は悲鳴を上げた。


「ふんっ、もう終わりか?」

 赤い悪魔が馬鹿にしたように言うと、お兄様が頭を振りながらゆっくりと立ち上った。


「まだまだ!」

「そう、そうこなくっちゃ、お兄様、頑張って!」

 私は大声で応援したのだ。


 でも、そこからは一方的にお兄様が赤い悪魔に打ち込まれてた。

 もう好き勝手に!

 腹に手に顔にと赤い悪魔は自由にお兄様に打ち込んでいた。


「そんな! お兄様!」

 私が悲鳴を上げる。


「おらおら、さっきまでの威勢の良さはどこに行った?」

 赤い悪魔はお兄様の顔と腹を執拗に攻撃していた。

 お兄様はその度に血潮を飛ばすが、叩きつけられても叩きつけられても起き上がるのだ。


「お兄様!」

 私は悲鳴を上げていた。

 もう良い、もう止めて!

 私は心の中で叫んでいたが、お兄様はやられてもやられても立上がるのだ。


「小僧、これで終わりだ」

 赤い悪魔はそう叫ぶと剣に力を入れたのだ。

 模擬剣が真剣のように光った。


「バルヒェット!」

 お父様が思わず止めようとした。


 でも、間に合わなかった。

「死ね!」

 バルヒェットががらがらの隙だらけのお兄様の胴を斬り裂いたのだ。

 私の目の前でお兄様が胴を斬られた。

 血潮が吹き出す。

 私はその瞬間完全に固まっていた。


 私の目の前でお兄様がゆっくりと倒れるのがスローモーションのように見えたのだ。


「お兄様!」

自分の目の前で斬られたお兄様!

ユリアの怒りの爆発?

お兄様は無事なのか?

ユリアーナを応援したい方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾

続きは明朝の予定です。

請うご期待!

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
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