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聖女視点 王太子を大人しい?公爵令嬢から奪うことにしました

 私はアグネス・ヒンデブルク男爵令嬢、この国ハンブルク王国に久々に現れた偉大な聖女様なのよ。

 決してピンク頭でも淫乱聖女でもないわ。


 本当にあの悪役令嬢のユリアーナは許せない!



 私は孤児院で流行病にかかって三日三晩生死の狭間をさまよった時に、前世の記憶が蘇ったわ!


 前世、私は引きこもりでずっと家にいたの。学校に行っても面白くないし、学校にも行かずにただひたすらゲームをしていたわ。

 その私がはまっていたのが、大ヒットゲームの『ハンブルクのピンクの薔薇』だったの。王都の小さな教会にある孤児院にいた孤児のアグネスが、12歳の時に力を発現させて聖女になり、王立学園に入って攻略対象達とお近付きになっていくゲームよ。仲良くなっていくうちに二人の仲を邪魔してくれるのが悪役令嬢のユリアーナで、彼女からの執拗な虐めをなんとか乗り切って攻略対象と幸せになるのが大変だったわ。

 でも、待って! そのアグネスって、ひょっとして私の名前と同じじゃないかと気付いたのよ。私は王都の側の小さい教会の孤児院にいるし、名前もゲームと全く同じだって!

 私がヒロインかもってしれないって思いついた時よ。私の体の中から何か凄まじい力が沸き起こってきたわ。

 私は思わず叫んでいたの。

「ヒール」と。


 次の瞬間には私の体の中から金色の光が漏れ出て、孤児院で病に苦しんでいる皆に癒やしの力が降り注いだのよ。そして、病に苦しんでいた孤児たちは私も含めて皆元気になったの!


 それからは大騒動になったわ。

 孤児の私に聖女の力が発現したと大騒ぎになったのよ。


 私はすぐに大聖堂に連れて行かれた。


 そして、直ちに礼儀作法や知識を詰めるだけ詰め込まされたのよ。本当に大変だったわ。

 でも、聖女になったからか、何故か外国語が自然と読めたの。何も考えずにそのままに。これもヒロイン特権なんだろうか?

 数学も簡単だったし、勉強も楽勝だと思えたのよ。


 そして、ある程度の基礎が出来ると、教皇様に拝謁させられたわ。教皇は欲の深そうなおじいちゃんだった。王立学園では努力して王太子の気をひくようにと言われたのよ。言われなくても判っているわ。なにしろ私はこのゲームのヒロインなのだから。


 そのあと、小太りで欲深そうなヒンデンブルク男爵に会わされて、その養女となったのよ。

 孤児がいきなり男爵令嬢になったの。


 高々男爵令嬢なんて馬鹿にしたのは誰よ!


 お貴族様なんてこの国の0.1%未満しかいないのよ。判っているの? 前世で言うならばトップエリートだわ。革命前のヨーロッパには人口の2%から果ては10%いたみたいだけど、そんなにたくさんの貴族を養えるわけなんて無いじゃない! もしやったら当然経済が破綻するし、事実革命が起こったわ。


 それを私に教えてくれた地理の先生が言っていたけれど、ハンブルク王国は帝国の属国の中では貴族の1子相続が厳格に守られていて貴族家は王家も入れて厳密に言うと290家しかいないそうよ。当主は1000万の人口のうちで290人しか居ない。当主の子供までが貴族として認められるから、例えば、祖父が当主の貴族家は、その奥様、子供が3人いたらその3人が貴族で、そのうちの1人が跡継ぎとなり、跡継ぎの妻と跡継ぎの子供が3人が貴族。それだと9人が貴族よ。でも、跡継ぎ以外の子供達は貴族の跡継ぎと結婚するか養子として跡継ぎとして迎えられるかしないといけないのよ。それが出来なければ、自分の子供や妻は貴族としての地位を失って平民に落ちるの。

 だから王立学園では貴族の次男三男や娘達は皆必死に貴族の跡取りや、跡取りのいない長女と仲良くなろうとするのだと教えてくれた。

 王立学園には、更に平民の優秀な男女が入ってくるし、平民と言われる生徒の中には父や母だけが貴族の息子や娘、すなわち本人は貴族ではない平民も大量にいるのだとか。そういった面々は父のつてもあって少しでも貴族に戻れるようにその凄まじい競争に入ってくるのだ。

「だから往々にして、婚約者のいる嫡男や跡取りのいない家の長女にも女や男達が群がるのです。皆自分の将来、未来の子供達の将来がかかっていますから皆必死なのです」

 先生は教えてくれた。だから私も婚約者がいる王太子にアプローチしても何の問題もありませんよと暗に教えてくれたのよ。


 私にも前世の記憶があるから、婚約者のいる王太子にアプローチするのはどうかと良心の呵責を少しは感じたが、その必要はないと先生はあえて話してくれたのよ。

 まあ、今まで貴族の子供として使用人に囲まれて広い屋敷で暮らしていたのが、その貴族に文官としてあるいは騎士として仕えて、狭い家で使用人もなしにする生活に代わるのは悲惨だというのは判った。

 衣装にしても宝飾品にしても貴族でなくなった途端に買えなくなるのだ。


 当主が生きている間は援助もしてくれるかもしれないが、兄弟がいつまでも援助してくれる訳はなかった。親の力のある高位貴族の2男3男なら跡継ぎのない家の長女を選ぶのは選り取り見取りかもしれないが、男爵クラスになると中々厳しくなるのはよく判った。

 まあ、私は聖女様だから王太子とか公爵令息とかにしか興味はなかったけれど。取りあえず、王太子のクラウスの婚約者は悪役令嬢のユリアーナだ。この女は養女にもかかわらず、姉のリーゼロッテから婚約者の地位を奪っているのよ。こんな悪役令嬢からなら、見目麗しいクラウス様を奪っても良いだろうと私は思ったわ。


 その他にも見目麗しい近衞騎士団長の息子のアルトハイマー様とか元近衞騎士で学園の教師のフリッツ先生とか攻略対象が目白押しで、入学式がとても楽しみだったの。


 その入学式でアルトハイマー様を見かけたから声をかけたのに、全く無視されたのよ。何故なの? 私はヒロインなのに!


 アルトハイマーの横では悪役令嬢のユリアーナが高笑いしていたのよ。絶対に許せなかった。


 王立学園の入試は楽勝だろうと思ったのに、なんと私はAクラスにも入れないBクラスだったのよ。絶対に変だわ。教会で調べてもらったところ何故か勉強が苦手なはずの悪役令嬢のユリアーナがトップだというのよ。あり得ないわ。絶対に何か汚い手を使ったに違いないもの。

 なのに、入学式の挨拶でユリアーナは頑張って勉強したからだとか嘘をついてくれた。

 そんな嘘なんてすぐにばれるのに!


 むかついた私は、早速王宮で紹介してもらった王太子のクラウス様を見つけて、ユリアーナにはない大きな胸をユリアーナの目の前でクラウス様の腕に押しつけてやったのだ。


 クラウス様は驚いたみたいだったが、私を非難するでもなかった。これで既成事実が出来たわ!

 してやったりと思ったのに、なんとユリアーナは水魔術を私達2人にぶっかけて私達を濡れ鼠にしてくれたのよ! 最悪だったわ!


 でも、これでユリアーナを断罪できる!

 私は喜々としてユリアーナの罪をあげつらってやったのよ。

 そうしたらユリアーナは私の方が悪役令嬢だと言い返してきて、なんと自分がヒロインだとかふざけたことを主張してくれたわ。挙げ句の果てにはクラウス様の婚約者がユリアーナではないと言い出してくれたのよ。

 変よ! ゲームの世界ではユリアーナがクラウス様の婚約者だったはずなのに!


 でも、相手が、大人しいリーゼロッテならもっと簡単にクラウス様を奪えるかもしれない。

 その後礼儀作法のマイヤーに呼ばれて婚約者のいる殿方に胸を押しつけるとは何と破廉恥なことかとか、色々と叱責されたが、適当に流しておいた。そんなルールに則っていたら地位の低い下位貴族達は皆、平民になるしかないわ。

 それに私はヒロインなのよ。

 公爵令嬢だろうが、悪役令嬢だろうが、最後は私に跪くしかないのよ。

 私はまずリーゼロッテからクラウス様を奪うことにしたのよ。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

聖女視点でした。





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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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