閑話 聖女視点 このような目に合わせた悪役令嬢を絶対に許さないと誓いました
やってしまった！
私はクラウス様を攻撃した帝国の影を攻撃してしまったわ。
結果的に、私は教会と帝国に逆らったことになるのよ。
その後は結局リーゼロッテと共同戦線を張って帝国の影と聖騎士を叩き潰していたから……
でも、そもそも私のクラウス様を攻撃してきた帝国の影が悪いんだから！
でも、結果的に憎っくきユリアーナの味方をしてしまったわ。
最悪だった。
役立たずのホイットニーは捕まるし、帝国の影と聖騎士の大半も捕まってしまったわ。
これもそれもクラウス様を攻撃してきた帝国の影が悪いのよ！
私は何も悪くないわ！
ユリアーナ達の陣営に私が鞍替えしたって？
そんな訳ないでしょ。私はゲームのヒロインなのよ！ 何故、悪役令嬢に与しないといけないのよ！
でも、教会はそうは見なかった。私は延々と大司教になじられたのだ。
「この裏切り者」から始まって、「恩知らず」、「ここまでかけた金を返せ」とまで罵られてしまった。今までは「聖女様」「聖女様」と、下にもおかない対応だったのに、完全に猫の皮が剥がれたと言うか、本性を出したと言うか、最悪だったわ。
更に悪いことに、私は今回の聖女毒殺未遂事件の犯人ということで騎士団の尋問を受けたのよ。
自分の毒殺未遂事件の犯人ってどういう事なのよ？
と思わないでも無かったれど……
ユリアーナとリーゼロッテを犯人にしようと画策したって言われて責められたんだけど……
でも、ドジなツェツィーリアのせいで証拠もバッチリと取られていたのよ。今更嘘を言っても仕方がないわ。私は洗いざらい全て話したのよ。
全ては悪役令嬢から王太子殿下のクラウス様を守るために仕方なしにやったことだと言い張ったわ。事実だし。クラウス殿下が私の物になるには悪役令嬢が邪魔だったし、それを排除する為にしたことは本当よ。私は何も嘘は言っていないし……
訊問してきた騎士もトップのキンメル侯爵が謹慎処分になって腰砕けになっていたし……
その結果、私があの後必死に怪我人をヒールしたのが効いたのか、私の罰は教会での奉仕活動処分となったのよ。
皆は処分が軽くて良かったとか言ってくれるけれど、私としては納得できなかった。
絶対に変よ。私はこの世界のヒロインなのに、奉仕活動なんて！
絶対におかしい。あの憎っくきユリアーナがこのゲームのバグなのよ。さっさと排除すれば良かった。
でも、これは悪役令嬢に虐められる悲劇のヒロインの形ね。
神様が私に与えられた試練なのよ！
神様なんて信じていないけれど、悲劇のヒロインはここからが勝負よ。
こうなれば仕方がないわ。
夏の間は奉仕して金持ち爺達から金をせしめて今後の活動資金にするのよ！
教会と一緒に暗躍していた養父は同じく謹慎処分になっていて、当てにならないし、元々全然当てになっていなかったけれど……ここは金も稼いでおかないと……何しろ鬼の世界も金次第なんだから。
私は最後にクラウス様にお会いしたいとダメ元で言ってくみた。
騎士達は最初は躊躇してくれたが、クラウス様が今生きているのは私がヒールしたからなのは事実だ。
「奉仕活動に行く前にお会いしたいんです……」
涙目で訴えてやったらクラウス様に伝えてくれたのだ。
優しいクラウス様はわざわざ騎士団の詰め所まで来てくれたわ。
警戒感満載のモブの側近達を引き連れて。
「クラウス様。私はクラウス様のために犯罪に手を染めてしまいました」
そう言って、クラウス様の前で泣いたら、側近達も目をそらしてくれた。
私の涙は相変わらず有効なのが判った。
「夏休みの間はクラウス様の為に奉仕活動を頑張りますね」
私は上目遣いでクラウス様を見上げたのよ。
私の視線にクラウス様はふらりと私に寄って来ようとした。
よし、いけた！
私はそう思ったのに、モブの一人が私の前に立ち塞がって邪魔してくれたのよ。
「クラウス様、それ以上は駄目です」
モブのくせに信じられないわ。
「クラウス様。出来たら奉仕活動している私にも会いに来て下さいね」
私は必死にアピールしておいた。
私の上目遣いは有効なのだ。
絶対にクラウス様がまた来てくれるはずだ。
私はそう思ったのよ。
でも、私が教会に帰ると私はおんぼろの馬車に乗せられたのよ。
そして、王都から１週間もかかる辺境の街、カンボスに行かされてしまったの……
何で？
クラウス様には絶対に会えないじゃん！
それに金持ちも少ない。
お布施も少ない……
「ありがとう」
という言葉だけ？
チップもないんだけど……
何で？
王都にいる時は奉仕は金持ちだけで、金貨１枚以上のお布施を私個人にもらっていたのに！
今までで最高は銅貨１0枚なんだけど
何でこうなった？
それもこれも絶対にユリアーナの陰謀のせいだ。
おのれユリアーナめ！
絶対に許さないんだから！
私はなんとしてでもユリアーナに仕返しすると心の中で決めたのだった。
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
間もなく第２部開始です。
『恋に破れた転生王女はツアコンを目指します』
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こちらも完結しております。
まだの方は是非お読みください
