お兄様と一緒に領地の夏休みを楽しみました
それから陛下とかお父様達は大変だったと思う。
帝国への抗議とか保障を分捕るとか、怪我したツェツィーリアに対する保障、逆に私に冤罪を着せたことに対する保障とか宗主国の帝国と散々パラやってくれたらしい。
でも、私も大変だった。
丁度、事件の起こった時にマイヤー先生は大司教に呼ばれてたまたま不在だったそうだ。
教会の奴、問題起こった時に邪魔なマイヤー先生を呼び出していたらしい。それで静かだったんだ。
マイヤー先生は自分がいたら絶対にこんな事は許さなかったと怒りまくっていた。
何故かその被害に私が遭って、1週間も補講が与えられたんだけど……何で?
礼儀作法の一週間の補講は本当に大変だった。帝国のお辞儀の仕方とか、私は帝国に行かないから関係無いって!
ピンク頭は今回、私とお姉様をえん罪をかけようとした罪で停学処分になっていた。
本来ならば退学処分なんだけど、その後、怪我した皆をヒールをかけて治した事が功となり停学ですんだのだ。絶対にクラウス様は渡さないとかなんか訳の判らないことを叫んでいたが……罰として夏休みの地方巡業、もとい各地の教会を巡って癒やし魔術を施していくのだとか。地方巡業で少しは性格が治れば良いけれど中々それは難しいだろう。
教会は魔物討伐訓練の時に、帝国と協力してサラマンダーを使って私を襲わせようとした件にも噛んでいたことが判って、大司教は降格の上公国に送還、大司教代理は降格になって地方の教会の司教に赴任していった。
一方の帝国だが、ツェツィーリア様は一連の責任を取って、帝位継承権剥奪の上、屋敷に一生涯幽閉が決まった。
まあ、お兄様が好きだったのに、お兄様が全く靡かないから凶行に走った面もあって少しかわいそうだと思ったが、
「何甘えたこと言っているのよ。サラマンダーを使ってあなたを殺そうとしたのよ。今回も下手したら聖女暗殺未遂であなた処刑されていたのよ。許される訳無いじゃない。本来は処刑よ、処刑!」
過激なマリアはそう憤っていたけれど……
まあ、前世平和な日本人だったからか、私は寛容だった。
「帝国の皇女で無かったら処刑できたのに」
マリアはしつこく言っていたけど。
まあ、相手は皇女様だしね。
「ユリア、あなた甘いわね。今回の件で皇弟殿下は憤っているそうよ。今後も命狙われるかもしれないわよ。元々、政変で命が危ない時にあなたの家に世話になったのに、その養女を殺そうとするなんて恩を仇で返す典型よ。
『帝国の皇家は人の血が流れていないのか』とあなたのお父様が激怒されたんでしょ」
お父様が帝国の大使に激怒して剣で斬りかかろうとしたのを副団長とクラウスが必死に止めたと聞いていた。同席していたエックお兄様は一生懸命お父様の怒りの火に油を注いでいたと聞いたけれど……
帝国ともめるのは止めてほしい。いくら我が家が元々皇家の出だと言っても、それは遙か昔で今はほとんど赤の他人だ。
そう言ったらお兄様達のお母様のお祖母様が皇女殿下だったそうで、お兄様達も皇位継承権が一応あるそうだった。
嘘! 知らなかった。
「二桁の皇位継承権なんて無いようなものだ」
お兄様がそう言っていたけれど、それでも凄い。
血の繋がっていない私だけが無いんだ。
そう私が呟いたら、
「うーん、ユリア、あなたの髪の色って本当にきれいな銀色なんだけど、あなたの方が皇位継承権、上なんじゃないの?」
マリアがそう言ってくれたけれど、
「そんな訳無いじゃない。私は平民よ」
「平民がそんな美しい銀の髪持っている訳無いでしょ」
マリアに呆れられたけれど、髪の色なんて神様が決めるもので皇家だから銀色っておかしいと思う。マリアはこの世界の理があるとかないとか変なこと言っていたけれど、私にはよく理解できなかった。
「どうした、ユリア? 黙り込んで!」
後ろからお兄様の声がして現実に戻った。
「ゴメン、ちょっと考え事していた」
私がお兄様を振り向いて言うと、
「せっかく領地に来たんだ。堅苦しいことは忘れて景色を楽しめ」
お兄様の言葉に前を見ると、私の目の前には辺り一面の草原で遠くには白銀を抱く山々が見えた。
そう、私はお兄様達と領地に帰ってきていたのだ。今日はお兄様に馬で遠乗りに連れてきてもらっていた。
一人でも乗れるって言い張ったけれど、お兄様が危ないから駄目だと許してくれなくてお兄様と2人乗りだけど、私はもう13で大人なのに! いつまでも子供扱いしないで欲しい!
まあお兄様の前だと、安定感は抜群で居眠りしても落ちる心配は無いから良いんだけど……
「ユリア、いくぞ!」
「キャッ!」
いきなりお兄様が馬を駆けさせてくれて私は思わず親兄様の手にしがみついていた。
「お兄様、いきなりは止めてよ」
「そら行くぞ」
お兄様は笑ってスピードを上げてくれた。
馬の上で駆けると草原の中を飛んでいるようだ。
そうだ。せっかく領地に来ているんだから、考えるのを止めて今を楽しまなければ!
「心配するな。お前のことは一生涯俺が守る!」
お兄様が何か言ってくれたけれど、風の音がうるさくてよく聞こえなかった。
「えっ、お兄様、何?」
「いや、何でも無い。気にするな」
私が尋ねたが、お兄様はもう一度は言ってはくれなかった。
何か大切なことを宣言してくれたみたいだけど、まあ、また話してくれるだろう。
私はお兄様と一緒に領地の夏休みを思いっきり楽しんだのだった。
おしまい
いつも私のお話読んで頂いてありがとうございます。
一応ここで完結です。
ここまで読んで頂いて本当にありがとうございました。
最後にまだの方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
ええええ! ここで終わるの?
続きはまた書きたいと思います。
次は帝国留学編?
ユリアの正体がついに明かされる?
この後は別物で中編の皇女のお話になる予定です。
今回はお仕事編、皇女のお仕事って何?
1週間後にスタートの予定です。お楽しみに。
さて、今月末で書籍化作家としてデビュー2周年です。
『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません!学園生活を満喫するのに忙しいです』
https://regina.alphapolis.co.jp/book/detail/9532
アルファポリスのレジーナブックスで2023年の6月28日にデビューしてもうすぐ2年。
書籍はこの20センチくらい下に11ちゃん様の表紙絵と一緒にリンク張っています。
この2年間、コンテストは1次とか二次はちょくちょく通過しますが、賞はもらえていません
が、日々書いています。
書けばいつか届くだろうと思っていますが。
今後とも皆様に楽しんで頂ける物語を書いていこうと思うので、応援よろしくお願いします。
作者古里をお気に入り登録等して頂けたら嬉しいです。
では、また次のお話でお会いしましょう