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現れた帝国の影と聖騎士を皆で叩き潰しました。

 その爆発の瞬間、私は隣にすっ飛んできたお兄様に庇われた。お兄様は瞬間的に障壁を張ってくれた。

 でも、お兄様はツェツィーリア様を守らなくて、良かったんだろうか?


 まあ、私を陥れるために濡れ衣をきせてくれたツェツィーリア様だけど、一応帝国の皇女殿下だ。傷つけば、帝国から責められるのではないのか?


 爆発の終わったあとそちらを見ると、爆発に巻き込まれて吹っ飛ばされたツェツィーリア様は、血まみれで倒れていた。

「ツェツィーリア様!」

 聖騎士の格好をした男が唖然としてそちらを見ていた。

 どうやら、こいつがツェツィーリア様を誤って攻撃したみたいだ。

 どこかで会ったことがある顔だ。


「何をしているんだカスパル! 相手はアルトマイアーだぞ! ツェツィーリア様を攻撃してどうするんだ?」

 後ろから現れた黒ずくめの男が叫んでいた。こいつは先程の画像に写っていた男だ。

「いや、私はアルトマイアーを狙ったのに、こいつが避けたのだ。悪いのはこいつだ」

 男が叫んでいるが、

「ふん、何故俺が貴様の攻撃を受けねばなるまい。さけるのは当然だろう。可哀相なツェッツイだな。味方に攻撃されるとは」

 お兄様があくまでもカスパルのせいにしていた。

 ツェツィーリア様は大丈夫なんだろうか?

 お兄様の死の特訓で、これくらいの攻撃を平気で私達は受けているから、私達にしたら全然大したことはないという感覚なんだけど、普通の令嬢はこんな攻撃は受けたことはないと思う。特に皇女殿下は……

 まあ、これくらいで死ぬことはないと思うけれど。

 武の公爵家の娘に冤罪をかけようとしたんだから、これは仕方がないことだと思う。お兄様が暴発したら命が無かったと思うし……


「貴様がユリアを襲った帝国の魔術師だな」

 お兄様が、カスパルと呼ばれた男に再度声をかけていた。

 思い出した! マリアの馬車を魔術攻撃してきた男だ。

「ふん、その時、手加減したのが間違いだった」

 カスパルがそう言ってくれるけど、あれで手加減したのか? 私が障壁を出さなかったならば、多くの死人が出たはずだ。


「そうか、なら手加減は要らんな」

 お兄様はそう言うと男に向けて爆裂魔術を無造作に放ったのだ。


 ズドーーーーン

 凄まじい爆発が起こって、男はぼろ雑巾のように吹っ飛んでいた。


 こいつは馬鹿だ。怒っているお兄様の前で余計なことを言うなんて。死にたいって志願しているのと同じなのに!


 現れた黒ずくめの男達は聖騎士の拘束を解いて回っていた。


 自由になった聖騎士達が剣を振り回し始めた。それを騎士見習達が、剣を抜いて対抗する。

 各地で斬り合いが起こった。


「ユリアーナ様!」

 その時に、馬車止まりで待機していた私の侍女のニーナが駆けて来た。

 ちょっと声が大きいし、目立ちすぎよ!

 私が注意しようとしたら、周りの聖騎士がニーナに斬りつけていた。

 こいつら、侍女に斬りつけるって、本当に聖騎士なの?

 私には信じられなかった。


 もっとも、斬りつけた騎士は逆にニーナの短剣を突き刺されていたけど……

 我が公爵家の侍女の戦闘能力は強力で木偶の坊の聖騎士なんかが敵う訳はないのだ。


「ユリアーナ様!」

 ニーナが私の宝剣村雨を投げてくれた。

 私はそれを受け取る。

「ギャッ、ユリアが宝剣を握ったぞ。これでこの世も終わりだ。全員伏せろ!」

 フランツお兄様の訳の判らない悲鳴が聞こえたんだけど。失礼な。私もちゃんと使えるわよ。


 私が剣を抜こうとした時だ。


「全員伏せろ!」

 お兄様が叫んでいた。

「いや、伏せろって」

 戦っている、クラウス等が文句を言いつつ、慌てて伏せる。皆もそれに習った。

 その瞬間だ。

「食らえ!」

 お兄様はそう叫ぶと、剣を一閃したのだ。ソニックブレードだ。


「「「ギャッ!」」」

 訳も判らず、お兄様に刃向かおうなんて思って向かってきた聖騎士達の多くが弾き飛ばされていた。

 壁に叩きつけられてピクリとも動かなくなった。


「おのれ!」

 黒ずくめの男達が慌てて、駆け出した

 その行く先にはお姉様がいた。

 伏せていたクラウス等は慌てて立ち上って黒ずくめと対決する。

 クラウスもランドルフ等もなんとか互角に近く戦っていた。


 私もそちらに駆け寄ろうとした時だ。


「全員動かないで!」

 大きな声が響いた。

 そちらを見るとピンク頭がお姉様にナイフを突きつけていたのだ。

「お姉様!」

 私は驚いて声を出した。

「動かないで。動くとこの女の命がないわよ」

 ピンク頭が大声で叫んでいた。


「リーゼ、大丈夫か?」

 クラウスが思わず後ろを振り返って叫んでいた。


「甘い!」

 クラウスが後ろから黒ずくめの男に斬られていたのだ。

 クラウスがゆっくりと倒れる。


「「クラウス様!」」

 何故かお姉様とピンク頭の声がハモったのだ。


「何するのよ。このボケナス!」

 怒り狂ったお姉様がピンク頭の腕の中から飛び出して、黒ずくめの男に駆け寄った。

「死ね!」

 黒ずくめはお姉様にナイフを突き出したが、お姉様はそのナイフを躱す。


「ギャーーーー」

 そして間近に来た男の股間を蹴り上げていたのだ。

 男は悶絶していた。


 男は帝国の影だと思ったんだけど、お姉様の前に全く抵抗できなかった。

 そうなのだ。普段大人しいお姉様も怒らせたら本当に怖いのだ。何しろお姉様も公爵家の人間で、護身術等は一応徹底的に仕込まれているのだ。


「死ね!」

 その後でピンク頭が聖魔術が何かわからない、光の塊を悶絶している黒ずくめの男に叩きつけていたのだ。


「ギャーーーー」

 男はその魔術で吹っ飛ばされていた。学園の壁を越えて遙か彼方まで……



「おのれ、聖女アグネス、裏切るのか?」

 残された黒ずくめ男達が叫ぶが、

「クラウス様を傷つけたお前らは許さないわ」

「死ねーー」

 何故かお姉様とピンク頭は二人で協力して残りの男達を叩き潰していたんだけど……

 その後は二人してクラウスに抱きついて必死に看病していた。

 喧嘩しながら……


 その頃には立っている聖騎士や帝国の影は一人も残っていなかった。


「やったぞ!」

「帝国の陰謀を叩き潰したぞ!」

「聖騎士よりも俺等は強いんだ!」

 聖騎士をやっつけて帝国の陰謀を叩き潰した騎士見習達は皆大喜びで喜び合っていた。


 一方保護者席では頭を抱えている国王陛下とお父様、それに青くなった大臣達が呆然と立ち尽くしていたのだった。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

明朝完結の予定です。

ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
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