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皇女達を断罪したら爆発が起こりました

 お兄様の雷撃を喰らった聖騎士達は黒焦げになってピクピク震えていた。

 お兄様の怒りの一撃を食らったのだ。ただですむ訳はなかった。


「アルトマイアー殿。いくら妹御が大切だからと言って聖騎士に手を上げられるとはただではすみませんぞ」

 ブッシュバウム枢機卿が叫んでくれたんだけど……

 こいつは馬鹿だと思う。

 キレているお兄様に逆らうなんて。

 ここは平伏して許しを請うところなのに!


 ズドーーーーーン

 そう叫んだ枢機卿の顔の横にお兄様の火炎魔術が飛んでいた。

「ヒィィィィ」

 思わず、枢機卿はその場で腰を抜かしていた。顔の一部が切れていた。

 お兄様何やっているのよ! あと少しで殺すところだった……

「ブッシュバウム枢機卿、俺は二度と保護者席から出て中に入ってくるなと忠告したはずだ。

 どうしてそれを破って中に入ってきた?」

「それは聖女様が暗殺されそうになったので」

 必死に枢機卿は言い訳したが、

「それは一切関係ない。ここはハンブルク王国の王立学園だ。保護者は生徒会長の俺か学園長の承認がない限り入れないはずだ。誰の許可を得て入ったと聞いている」

「それは……」

「エックハルト。不法侵入者を拘束しろ」

「はい。兄上。拘束!」

 お兄様の指示にエックお兄様が魔術を行使した。

 驚いて立ち止まっていた聖騎士達が、一斉に拘束されてその場に倒れ込んだのだ。

 100人近い騎士達が倒れる様は見物だった。

「騎士見習いは直ちにこの不法侵入者達を反省房に放り込め!」

「アルトマイアー! そんなことして許されると思っているのか?」

「不法侵入者がそれ以上余計な事を話すな」

 お兄様はそう言うと魔術で枢機卿の口を封じたのだ。


 遠くでお父様と国王陛下が頭を抱えているが、今の学園内部の警察権を持っているのは生徒会長のお兄様なのだ。絶対にエックお兄様が適当に誤魔化して学園長から渡させたんだと思う。

 学園長も頭を抱えていたし……


「アルトマイアー様。いくらなんでも、ブッシュバウム枢機卿を拘束するのはやり過ぎです」

 ツェツィーリア様がそう主張してきたけれど、そんなことをお兄様は聞く訳はないと思う。

 私でもこうなったお兄様を止めるのは無理なのだ。

「ツェッツイ、君がまさか教会の陰謀に加担するとは残念だ」

 お兄様はツェツィーリア様を見ずに首を振った。

「私は教会の陰謀なんかに加担していないわ」

 ツェツィーリア様が反論した。

「先程クラウス殿下がお話になったように、ユリアはもしそこのゴキブリ女をやるなら、先程の皆の発言通り直接魔術で攻撃するよ」

 お兄様の言葉に私は少しむっとしたが、おそらく事実だ。


「だから、それが効かないから毒を盛ったのよ」

「その証拠はどこにある?」

 ツェツィーリア様の言葉にお兄様が尋ねていた。


「証人がいるわ」

「ほお、証人がね。どこにいるんだ?」

 お兄様が馬鹿にしたように言い切った。

「フローラ!」

 ツェツィーリア様はフローラを見た。

 フローラが一人の給仕を見遣る。

「私がユリアーナ様に命じられて毒を入れたグラスを聖女様に渡しました」

 私は話したこともない給仕がそう証言してくれた。

「ほおおおお」

 お兄様はその男を馬鹿にしたように見下ろした。

「お前は、知っているんだな。直接生徒に毒を飲ませようとした者は処刑と決まっているんだが」

「えっ?」

 男は驚いた顔をして、フローラを見遣った。

「そんな訳ないわ。自ら申し出れば罪は軽くなるはずよ」

 フローラが言い張った。

「何をふざけた事を言っているんだ。さっきも言ったようにここの指揮権は俺にある。俺は実行犯は決して許さない」

 お兄様が手に力を入れた。

 そこには火の塊が現れた。

「そんなに死にたいのか?」

 お兄様は男を睨み付けたのだ。

「ヒィィィィ、お許し下さい。私はその女にそう言うように言えと言われただけで」

 男は慌てて土下座した叫び出したのだ。

「嘘をおっしゃい! 私はそんなことは言っていないわ」

 フローラが必死に反論したが、どう見てもフローラが言わせたようにしか見えなかった。

「でもあの者はお前に言わされたと言っているが」

「これもそれも全部、そのユリアーナが計ったのよ! アルトマイアー様。いい加減に目を覚まして」

 そう言うとツェツィーリア様はお兄様に抱きつこうとした。


「俺に触れるな!」

 お兄様は抱きついてきたツェツィーリア様を手で払っていたのだ。

「キャッ」

 ツェツィーリア様は倒れ込んだ。

「な、何をするのですか? アルトマイアー様。たとえ公爵家令息とはいえ、ツェツィーリア様にそのような無礼な態度を取るなど許されません」

 フローラがツェツィーリア様を庇って前にでた。


「下らない猿芝居だな」

 お兄様はそういう二人を馬鹿にしたように二人を見下ろしていた。

「何ですって!」

「エック」

 お兄様の合図で、エックお兄様が目の前に映像を映し出したのだ。



「給仕の者に毒を仕込ませて私が飲むのですか?」

 少し怒った顔でピンク頭が言うのが映っていた。

 場所は離宮のようだった。


「なあに、毒と言っても舐めたくらいではたいしたことはありません。聖女様の場合はヒールをかければすぐに治る量ですよ」

 ブッシュバウム枢機卿が笑っていた。

「それで、その給仕にユリアーナに頼まれて毒を入れたと言わせればいいのです」

 黒ずくめの男がそう言ってくれた。

「給仕はそう証言してくれるの?」

 ツェツィーリア様が少し心配そうに聞いていた。

「大丈夫ですよ。金で釣ってありますから。証言さえしてくれれば良いのです。都合が悪くなれば消すだけですから」

 黒ずくめの男が笑って言っていた。

「そう、なら良いわ」

 ツェツィーリア様がニタリと笑ったのだ。それこそ悪役令嬢のように。


「これでリーゼロッテと憎たらしいユリアーナを始末できるわ」

 ピンク頭が笑い出した。

「これで聖女様と王太子の婚約もなりますし、言うことはないですな」

 枢機卿も高笑いして映像は終わっていた。



「な、なんなのこれは。こんなのは嘘よ」

「そうよ。嘘っぱちよ」

 ツェツィーリア様とピンク頭が叫んだが、


「これは事実だ。ツェッツイは俺のペンを持って帰ったろう」

「えっ、アルトマイアー様のペン? あっ」

 お兄様の声にツェツィーリア様が固まっていた。


「あれは記録の魔道具になっていたんだ」

「そんな」

 お兄様の声にツェツィーリア様は呆然とした顔をしていた。



「関係者を全員拘束しろ」

 お兄様がそう命じた時だ。


 ドカーン

 いきなり、私の至近距離で爆発が起こったのだった。


ここまで読んで頂いてありがとうございました。

爆発に巻き込まれたユリアの運命や如何に?

明日完結予定です。


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
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