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主席をなんとかキープした私は、兄姉達と一緒に魑魅魍魎の待つ学園のサマーパーティーに向かいました

 苦行の試験が終わった。


 今回は中々大変だった。

 何しろ敵は私と同じ転生者のマリアなのだ。

 マリアは転生者だから当然帝国語も完璧。数学とかはおっちょこちょいの私より余程確実だった。

 地理歴史も完璧で、本来勝てないはずなんだけど、魔術実技と剣術実技でかろうじて勝ったのだ。


 剣術実技のフリッツ先生は私に零点をつけようとしたみたいだが、学園の成績基準があって、マイヤー先生に呼び出されて延々2時間怒られて、やっとまともな点数をつけたみたいだった。

 でも、100点中50点ってどういう事なの?

 剣術競技で私は一応第2位だったんだけど……

 確かに3位のエックお兄様に私が勝てるとは思わなかったけれど、でも、100点満点中50点ってあり得ない!

 私の担任で魔術実技の教師のブレンダー先生なんて、

「試験で良い点数取るために全力で攻撃します」

 私が言った途端に血相変えて、

「満点やるから、頼むから止めてくれ」

 って頼んできたのに!

「お前が本気出すと王都が消滅しかねん」

 その後の独り言は聞かなかったことにしてあげたのだ。

 私が本気出したところで王都が消滅する訳は無いじゃない!

 私の言葉に誰一人頷かなかったのがちょっとショックだったけれど……


 次にフリッツ先生と戦うことがあったら、今度は手抜きせずに全力でやろうと私は決めたのだ。

 そのせいでフリッツ先生が半死半生の目に合ったとしてもピンク頭の聖女がいるから問題はないはずだ。


 でも、そのお陰でなんとか一位はキープできた。

 本当に危なかった。後1点だった。


 マリアが地団駄踏んで悔しがっていたけれど、私としても負ける訳にはいかなかったのだ。

 帝国の留学生のゲオルクは10位に入っていた。このハンブルクの地理とか歴史があったのに、これは凄い事だった。

 ダミアンは39位、ニールが40位、ボンズは41位だった。

 留学生のゲオルクがいたのでクラスメンバーは41人だから良いんだけど、剣術組は全然駄目だ。また一から鍛え上げないと。

 ピンク頭は80番目だった。本当にCクラスに落ちるギリギリなんだけど、こいつも転生者のはずだから帝国語は完璧で数学も得意のはずなのに、私に余計な事をする間に勉強すれば良かったのに、何をしていたんだろう?


 他の学年を見ると二年生はお姉様がぶっちぎりで主席。3年生はフランツお兄様がクラウスに後10点まで迫られていた。4年生はエックお兄様がこれまたぶっちぎりだった。

 そして、5年生は……

「ええええ!」

 私は目が飛び出した。

 いつもは10位くらいのお兄様がなんと2位にいたのだ。

 あの脳筋のお兄様が……

 いつもは剣術と魔術が満点で、後の教科は平均近かったのに、どうした風の吹き回しなんだろう?


「見たかユリア、俺もやればやれるのだ」

 お兄様は自慢していたけれど、まだ主席には20点以上の差をつけられていたけれど、我が家の一番の問題児にしては良くやったと思う。

 私がお兄様のいないところでそう言ったら、


「兄妹の中で一番職員室に呼び出されているお前が言うか?」

「兄上も可哀相に」

「本当に」

 エックお兄様に指摘されて、他の兄姉も頷いてくれるんだけど、

「ええええ! 私はお兄様よりましよ!」

 私が言うと、

「まあ、類は類を呼ぶ」

「親の心子知らず、いや、兄の心妹知らずか」

「50歩100歩」

 皆訳のわからない事を言い出してくれたんだけど。


 ふんっ、いいもん、絶対にお兄様より私の方がましなんだから。

 出来るユリアちゃんは

「お兄様、凄い」

 お兄様に抱きついてあげたのだ。兄妹のスキンシップだ。

 でも、それを周りの面々は何か生暖かい視線で見てくれるんだけど。


「そうだろう。もっと褒めていいぞ」

 お兄様は私を抱き上げてくれたんだけど、小さい子供では無いって言うの!


「まあ、それはお兄様が一位になったらね」

 出来るユリアは更にお兄様をやる気にさせるのだ。

「よし、次は何としてもトップに立ってやるからな」

 睨み付けられた一位の侯爵令息が青くなっていた。

 まさかお兄様は一位になるために、侯爵令息を怪我させたりしないよね。

 私は一抹の不安に感じた。

「次はお兄様が後20点点数を上げてくれたら、私がよしよししてあげるわよ」

 私は昔お兄様に褒めてもらったことを思い出してそう言ったのだ。


 お兄様についてダンジョンに行くのが怖いと言ったら、付いてきたらよしよししてやるからと言われてのせられて良く付き合わされたのだ。

 その後でお兄様に抱き上げられて頭をよしよししてもらって嬉しかった。単純な私は何度その手にひっかかかった事やら……


「よしよししてもらって何が嬉しいんだ?」

 遠くで一人の生徒が言ってくれて、私ははたと気付いた。そうだ。お兄様はもう立派な大人だ。よしよししてもらって嬉しい訳は無いだろう。


「よし約束だぞ」

 でも、お兄様は目をギラギラさせてやる気になっていたのだ。

 お兄様は本当に単純だ。


 私がそう後でマリアに話したら、

「単細胞のユリアに単純って言われたら、さすがにアルトマイアー様も可哀相よ」

 マリアに言われてしまった。

 でも、絶対にお兄様の方が私より単純だと私は思うんだけど……



 私達は夕方からのサマーパーティーに向けて着替えるために、一旦屋敷に戻ったのだ。

 学期末にあるパーティーは学園生が参加できる唯一の社交の場で、将来のこの国を背負っていく若者達の社交の練習の場なのだ。当然皆、着飾っていくし、衣装のないものは格安で借りられた。

 公爵令嬢の私は当然新たに作った。

 でも、私はとても不満だった。

 試練を乗り越えた公爵家の子供は、皆、自分がその時に倒した魔物の文様があるのだ。エックお兄様はフェンリルだし、フランツお兄様は格好良くしたゴブリンだ。この模様は少しふっくらしたフランツお兄様にとても似ていた。私は陰でフランツゴブリンと呼んでいた。私の文様は当然可愛いピーちゃんのはずなのだ。


 なのに、なのにだ!

 今回の私の衣装にはお兄様の文様の金のサラマンダーが縫い付けられていたのだ。

 金のサラちゃんも可愛いのだけど、絶対にピーちゃんの方が可愛いのに! お兄様は私を守るためには必要だと言い張ってそれを押し通してくれたのだ。そのサラマンダーに馬鹿みたいな魔力を流してお守りにしてくれていたけれど……私から言わせれば一度しか着ないドレスにお守りつけるなんて絶対に魔力の無駄使いだと思ったのに、魔力は有り余っているからの一言で片付けられたのだ。


 むかついたからお兄様の銀のタキシードに金のピーちゃんを縫い付けてあげたのだ。

「いや、これは無いんじゃないか」

 フランツお兄様とかは呆れていた。精悍なお兄様の胸に可愛いピーちゃんがいるのが、似合わないってフランツお兄様は言うんだけど……私も可愛いピーちゃんを身に纏いたかったのに、何かいかめしいサラちゃんは嫌なのに!



「よし、全員揃ったな」

 お兄様が馬車に乗った皆を見渡した。

 私の席は相変わらずお兄様の膝の上だ。

 でも、目の前に可愛いピーちゃんがいて、思わずスリスリしてみた。

 周りの兄姉がなんか変な目で見ていたけれど……お兄様は赤くなっているし、よく判らなかった。


 そんな中、馬車は動き出したのだ。

 魑魅魍魎の待ち受ける学園に。

「何が起こるか判らないけれど、私は頑張るから守ってね、ピーちゃん」

 そう言うと私は金のピーちゃんにキスしていた。



すみません。サマーパーティーまでいきませんでした。

いよいよサマーパーティーです。

今夜です。

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しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
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