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私を襲った破落戸共はお兄様に退治されました

「フィリーネ!」

「んんんん!」

 私の声にフィリーネは答えようとしたが、猿ぐつわで話せなかった。その上、フィリーネは首筋にナイフを突きつけられていた。


 フィリーネの可愛い顔が恐怖で歪んでいた。

 私がここに来るまで、ずっとこのならず者に達に襲われて恐怖に震えていたはずだ。


 私は自分がそういう目に遭わされても、おそらくびくともしない。お兄様の死の特訓に比べれば全然たいしたこととはないから……千丈の崖の上から突き落とされたり、ゴブリンの群れの中に投げ込まれたり……私は女の子なのにとんでもないことをされているのだ。お陰でそんじょそこらの事では動じなくなったけれど……

 でも、私の友人はマリア含めてそんな事には慣れていないはずだ。花よ蝶よと大切に育てられたお貴族様のお嬢様なんだから。庶民出の私とは違うのだ。まあ、私もその時は公爵令嬢だったけれど……お姉様は花よ蝶よと育てられていたような気がするけど……なんかおかしいけど……やっぱり養子には試練があるのよ!

 自分に対してでは無くて、その私の友人に対してこんな酷い目に遭わせるなんて許さない。

 私はぷっつん切れていた。

 絶対に許さない!


 でも、今、フィリーネは男にナイフを突きつけられていた。さすがにこの位置から男の首を飛ばすのは躊躇われた。下手したらフィリーネが傷ついてしまうかもしれないし。

 私が戸惑っている間に、後ろから清掃のおっちゃんが近付いてきているけれど、こいつも破落戸の一味のはずだ。何をするんだろう?

 私は気を張り詰めて、背後を探る。


「ふんっ、生意気なことしやがって! お嬢様に逆らうからこうなるんだぜ」

 後ろから笑った男の声がした。お嬢様って誰だろう? 捕まえて口を割らさなければ!


「余計な事を話すな。さっさとやれ」

 目の前の男が指示する。

 フィリーネの目が恐怖で見開かれた。


 私は後ろの男を対処しようとして、

「おっと、動くなよ。動くとこのお嬢ちゃんが死ぬぜ」

 男が私を牽制して、フィリーネの首にナイフの刃をつけたのだ。

「えっ!」

 フィリーネのきれいな白い首筋からタラーリと一筋の血が流れ出したのだ。

 ピキッ

 私は完全にこれでキレてしまった。

 絶対に男は許さない。


 でも、この状況でやるには目の前の男を一瞬で仕留めるしかない。

 でも、後ろの男はどうしよう?

 後ろの男が急速に私に近付くのが判った。

 やむを得まい。後ろの男は見捨てよう。

 私はそう思った。

 動くなと言ったのは前の男だし、こいつらの事なんて考える必要はないだろう。

 出来たら無傷で捕まえたかったけれど、仕方がない。


 なにしろ私にはお兄様から無理矢理持たされている超強力な沢山のお守りがあるのだ。これだけあると呪いって言われても仕方がないほどだ。

 そもそも私を攻撃したらどうなるかは私も知らない。


 お守りが全て発動したらどうなるんだろう?

 まさか図書館が爆発することはないよね。

 私は少し心配になってきた。

 でも、考える暇はないみたいだ。

 後ろの男がお守りで攻撃されて目の前の男が驚いた隙に攻撃するしかないだろう。

 図書館のことはその後だ。最悪、最大の水魔術で図書館の火を消せば良いだろう。

 私は覚悟を決めた。


「死ね!」

 後ろの男がナイフのような物を私に突き出してきた。

「んんんん!」

 目を見開いたフィリーネの悲鳴の様な呻き声が聞こえた。


 ズドーーーーン

 お守りの一つが発動した。

 衝撃波が男を吹っ飛ばしていた。

 良かった。火炎魔術じゃ無かった。

 私はほっとしたのだ。


「えっ」

 目の前の男はそれを見て唖然としていた。

 よし、今だ。私は男を攻撃しようとした。

 その瞬間だ。

 私の目の前にお兄様が転移してきたのだ。


「えっ」

 失敗した。

 そうだ。私に危機が迫るとお兄様が転移してくるんだった。

 私は完全にミスったことを知った。

 そして、男の運命がどうなるかも。


「ユリア、大丈夫か」

 激怒しているお兄様に私は頷いたのだ。

「動くな! この女がどうなっても良いのか」

 目の前の男が叫んでいた。こいつは馬鹿だ。怒り狂ったお兄様の前でそんなこと言うなんて!


「貴様か? 俺のユリアに襲いかかったのは」

 頭に血の上ったお兄様は男の言う事なんて聞いていなかった。

 駄目だ。これは。

 私は男の運命を知ったのだ。こうなったらお兄様はもう止まらない。


「この女が……」

 男は再度叫ぼうとしたが、お兄様の怒りをもろに正面から受けてそれ以上話せなかった。

 お兄様の凄まじい威圧が二人を襲ったのだ。

 フィリーネは当然、気絶していた。


「死ね!」

 お兄様が叫ぶと同時に、お兄様の手が一閃した。

 凄まじい光が男の顔を襲い、男の頭が消滅していた。


 私は倒れそうになったフィリーネに慌てて駆け寄って抱き止めたのだ。


 お守りに弾き飛ばされた男も相当な衝撃があったみたいで事切れていた。

 結局、私を襲った男達が誰の指示かは判らなかった。

 でも、おそらく、この人だろうという事は私にも判ったのだ。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

ユリアは誰だと思ったのか?

続きは今夜です。


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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