お姉様の婚約者の王太子に抱きついているピンク頭を見て切れてしまいました
入学式が終わると、今度はホームルームだった。私は前世では、あまり、学校に行かなかったのでとても、楽しみだった。
教室に案内されると私の席は窓側の一番奥の一番前の席だった。
その次がさつきの青髪の女の子だった。これはひょっとして成績順なんだろうか?
私達が教室で指定された席に着くと担任の魔術実技の先生が入ってきた。
そして、何故か礼儀作法のマイヤー先生も……何で?
「ようこそ、王立学園へ。私は君たちの魔術実技の教師でこのA組の担任のカール・ブレンダーだ。今日は学年主任のマイヤー先生にもお越し頂いた」
マイヤー先生、学年主任だったんだ……私はうんざりした。
「ザビーネ・マイヤーです。王宮の礼儀作法の指南もしております」
先生はそう言うとじろりと私を見てくれたんだけど……なんか最悪。
王太子の婚約者のお姉様が2年生にいるのに、何で1年の学年主任をしているんだろう?
私はつくづく嫌になった。
「皆さんは、この王国を背負って行かれる優秀な人材です。貴族の方だけでなく、貴族でない方も今後は社交界等で振る舞う礼儀作法は大切です。特にこの学園には3年生に王太子殿下がいらっしゃいます。また、王立学園では学期末に毎回、パーティーが開催されます。そのための礼儀作法をこの1年間じっくりと学んでください。特に貴族の方々は模範となる行動を取るようにしてください。特にユリアーナさん、宜しいですね」
「はい!」
私はいきなり振られたが、取りあえずちゃんと返事はできたと思う。
最後は私に釘を刺してくれたんだと思うけれど、何で?
「よし、では自己紹介から始めよう。私はカール・ブレンダー、年は25歳。独身だ。3人兄弟の一番下だ。君らのお姉さんや、結婚していない年若いおばさん等、紹介してくれたら嬉しい」
「ブレンダー先生! そういう事は言わないでください」
「ああ。すみません」
いきなりブレンダー先生はマイヤー先生に注意されて謝っていた。なかなか勇気のある先生だ。
私に向かってウィンクしてくれたんだけど……止めて……マイヤー先生に睨まれたくないんだから!
「一応、王宮の魔術師団に所属中。今年はいろいろ面白い生徒がいると言うことでとても授業が始まるのが楽しみだ」
そう言って私を見るのは止めてほしいんだけど……
「1年間、よろしくお願いする」
そう言った先生を皆で拍手した。
「では先生も自己紹介を」
「先程しましたが」
ブレンダー先生の無茶振りにマイヤー先生は一瞬むっとしたが、それでも話し出した。
「ザビーネ・マイヤーです。礼儀作法の教師です。私も独身ですが、ブレンダー先生みたいに相手は求めていません。貴方たちが1日も早く、きちんとした礼儀作法が出来ることが一番嬉しいです」
そう言って私を見るのは止めてほしいんだけど……
「はい、じゃあ、ユリアーナさん」
「はい!」
いきなり当てられて私は面食らったけれど、端からみたい。
「みなさん、初めまして。ユリアーナ・ホフマンです。兄弟は入学式で最初に挨拶した5年生の生徒会長のお兄様と4年生の何でもそつなくするエックお兄様と3年生で魔物博士を目指しているフランツお兄様と2年生で王太子殿下の婚約者のお姉様のいる末っ子です。学園では多くのお友達ができたら良いなと思っています。よろしくお願いします」
私はそう言って挨拶を終えようとしたのだ。
「好きなタイプは」
「ブレンダー先生!」
いきなり好みを聞いてきたブレンダー先生にマイヤー先生が叱責してくんれたけれど、
「マイヤー先生。そんな堅苦しく言わなくても……単なる自己紹介ではないですか」
マイヤー先生に対抗している……凄い! 私は少しだけブレンディ先生を見直した。
「好みですか? あんまり考えたことはないでけれど、少なくともお兄様よりは強くないと」
「えっ、アルトマイヤー君より強い奴って学園にいないんじゃないか」
驚いてブレンダー先生が言ってくれたけれど、
「かもしれませんね」
私は適当に笑って流したのだ。
まあ、私は今もお兄様命なので、別に相手はどうでもいいんだけど……
次は私の後ろの席の青髪の女の子だ。
「マリアンネ・フルートと申します」
フルートって言えば確か子爵家だ。お父様は王宮で文官をしていたはずだ。
「私は兄2人がいますが、もう学園は卒業していて王宮で文官として働いています。右も左も判らない学園で皆さんにも何かとご迷惑をおかけするとは思いますが、よろしくお願いします」
うーん、この子は転生者だと思ったんだけど、当たり障りのないこと言われてもよく判らなかった。
なんとしてでも確認しないと。
全員の紹介が終わってお昼になった。
お昼からは明日の授業の説明があるはずだった。
今日は食堂で食べるのだ。
私は全員の特徴とかをノートに書いていて少し出遅れた。
私は後ろの女の子を誘おうと思ったら、もういなかった。
なんて早いの?
と言うか、クラスの皆はもう誰もいなかった。
何で?
食堂に行った時にその理由がわかった。
年度はじめだからか、凄まじい列になっているのだ。
その混雑を避けるために、皆ベルが鳴ったら即座に食堂に行ったんだ。
私がその列の最後に並んだ時だ。
前の方に黒髪の王太子のクラウスの姿を見た。クラウスは相も変わらず人気だ。周りの女の子等がクラウスを見てきゃっきゃっ言っているのが見えた。
「クラウス様!」
そのクラウスにいきなりピンク頭の聖女が抱きついたのが、見えたのだ。
「えっ?」
クラウスはお姉様の婚約者のはずだった。
なのに、この学園の食堂で堂々とクラウスの腕に抱きついていたのだ。
それも私にない豊かな胸をぐいぐい押しつけているんだけど。
私はそれを見てブチブチブチと頭に来たのだった。
ついにピンク頭登場です。
ユリアはどうするのか?
明朝更新予定です。
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