[Chapter.9:introduction“Sacrifice”]
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[Chapter.9:introduction“Sacrifice”]
サンファイアは一人で謎の世界を歩いている。少年は“誰か”をもとめていた。
誰か⋯なんて言ってしまったら名前を忘れてしまう事を憂いている。だから必ず名前を言おう⋯そう決めていた。
『フラウドレス』と『アスタリス』。
2人を探している。
『自分達は白鯨にやられてしまった。そのせいで3人は離れ離れ⋯やるせない気持ちでいっぱい⋯』
サンファイアは何より、姉さんであるフラウドレスと離別してしまった事が悔しい。もっと自分が強ければこうはなって無かった。もっと力があれば⋯絶対に倒せた⋯なのに⋯僕とアスタリスは、逃げてばっかり⋯。
サンファイアの心を包ムのは、何物でもなイ後悔の化身。感情ヨク制のLiミッターを解ヶば、まッさきにそれハ暴走レベるの動きヲ見せるだろu
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ああ、これはまた⋯いつの日か⋯忘れられない記憶を遡行している。気がする⋯。
なんでかな⋯。僕達のお陰で皆が動けてる。それの感謝をたまには伝えて欲しいなって思うんだよね。
我々がこうして皆の運命を決めている。それがいい方向にも⋯悪い方向へも⋯最終的な判断は全て⋯僕達にある。
どうなのかなぁ⋯嬉しいかな?
悲しいのかな⋯?
切ないのかな⋯?
嬉しいんじゃないかな⋯?
この語尾もなんだか色々とゴチャゴチャになってきちゃったよね⋯。もっと舞台役者の個性を最大限に発揮させないとさ⋯。観客だってつまらないよね。
もっとこう⋯溢れる感じぃ?漲る!ほとばしる!情熱の光が、もっと湧き出ないと⋯!
光を閉じ込める時、蓋を使うんだ。蓋を開け閉めする時、蓋の縁から光が外界へ入射するじゃん?あれだよアレ!
光、本当は⋯、外界⋯他者を浴びたいんだよ。
本来であれば、光が浴びさせる側なんだけど、光側の意見は⋯『生物を浴びたい』と思ってるんだって。
たまに『光』と会話する事があるんだけど、そんなことを話してたよ。演出家チームは光について、もっと多角的に考えなければならないね。そうすればさぁ⋯、ほら、もっとこう⋯ねぇ?あるじゃない?舞台を創る上で無くてはならないものがさ。
光。光は大事だよ?今そこに誰がいるのか。誰が活躍しているのか⋯それがハッキリと分かる。いま、こうして僕が喋っている時にも、光は僕を射してくれてる。
あー、ありがとう!君のお陰で僕はストーリーテラーのパートを遂行する事が出来ている。感謝してもし切れないよー。
皆が居るから僕がいる。僕がいるから⋯当該シナリオは、着々とコマを進めれている。
どうかな⋯。どうなるのかな⋯。ここは⋯どうしょっかなああああ。
迷うけど⋯本来だったら⋯僕だけの采配で決断しちゃあいけないんだよね。
主宰王、夢の王、纏めあげるシナリオチームのクリエイティブディレクター!
かっこいいよねぇ。皆が尊敬してやまない、多次元の主神!
もう、本当なもおおおおおっとあるんだけどね。いみょお。
だけどそんな事で演出の邪魔をしちゃあいけないから⋯今日はこのぐらいにしておく。ん?
ん?
んんんんー?
今日?きょうお?
今日ってことは⋯、また次もやれるのかな⋯。
⋯って、そんなのこっちのさじ加減じゃん。何を、言われなきゃやれない転移みたいな言い方してんのさ。べっつにいつでも書けるっつーの。ただこんな事を断続的にやってたら、このシナリオが続かないでしょ?
皆は、僕が動いている所よりも、舞台役者達が躍動する瞬間を楽しみにしているんだから。
批判も色々届いたからねー。
当該シナリオの前に製作・執筆していた、『be happy.be happy.be happy.』。これの収まり、締切期日、膨大な情報量による設定のパンク、個人間における急激な距離の詰め方⋯。とにかくやりたい事をやり過ぎ⋯詰めすぎた結果⋯受け取り手の事なんてまったく考えていない製作者のオナニー的な作品が誕生してしまった⋯。
この反省を生かして、今度はもっと設定を細かく創作してから臨もう⋯そうなって生まれたのがこの作品。年表も書いて、ある程度の路線を書き上げていった。年表を作って行くとね、ここから先のイベントが明確になってるんだよ。それを見つけると⋯『あ、そうだ⋯次にこれがあるから、ここで主人公は強くならなきゃ⋯』とか展開作りに役立つの!これ、とってもいいんだぁ。僕のオキニの方法だから、やってみるといいよ!
なんだかなぁ。ほんと、こうやって当該シナリオを眺めていると複数のパートの進行度が違いすぎやしない?
まったく⋯ほら!こことか!こことか!アソコも!そっちも!それに⋯あ、、、、これは⋯僕も参加してるやつか⋯いやでも⋯これは⋯もうなぁ、、語ることないしなぁ⋯。
あ、そういや⋯⋯⋯SSを書きたいとか言ってたな。
それがこのシリーズに相当するのかな。だから、未だに中止になってるのか。
⋯⋯⋯⋯⋯しっかりやんなきゃ。お仕事、サボったりしてたらダメだぞぉ?僕は、王に決められたパートの演出をしっかりと請け負っているからね。ちゃんと提出して見てもらってるし、そんでオッケーもらってるし⋯⋯あ、
ねぇねぇ!あのさぁ、他のパートって⋯いま、どうなってるの?ひょっとして⋯困ってたりする?⋯⋯⋯もしぃ?僕の意見なんかが欲しいんだったらぁあ、そうだなあ⋯チカラ?貸してあげてもいいけど⋯え
あ、、、、そ、そうなの、、、、?盈虚ユメクイ様が?あ、、、あああ⋯そう⋯なんだ⋯⋯⋯⋯分かった⋯。
へぇーー⋯まだ、僕達のパートなんだ⋯。それってさぁ、大丈夫なのかね。だって⋯僕が今、進めてる『Part of Froudless』。これ、進めすぎちゃって、他のパートとの乖離性が凄くなっちゃう気がするんだけど⋯。まぁいいか。“クリエイティブディレクター”がそう言ってるんだから。
僕の他にも『Part of Froudless』を創作している“ムクイモノ”がいる。主には5人体制で創ってるんだけど、エピソード数を重ねるにつれて、出たり入ったりを繰り返すメンバーが多数存在。それによってチームメンバーの変動はあるけれど基本的には5人で創作活動を実行中だ。
今、『Part of Froudless』は物凄く順調に進んでいる。とはいっても、他の創作活動が盈虚ユメクイ様の命令によって中断されてるから当たり前なんだけど⋯。
でもね、多分だけど⋯やってると思うよ。他のパートチームは裏で⋯ね。きっとそうだよ。だってみんな、シナリオを執筆したくて盈虚ユメクイの元で働いてる。
ただし、それが盈虚ユメクイ様に見つかっている事は言うまでもないだろう。
盈虚ユメクイは、夢の王だ。
人間の脳内に簡単に侵入し、思考領域を貪り食う。食された人間の脳は、生命維持に危険信号が発動。
死に至らしめる。
盈虚ユメクイ様は多次元世界を管理する、“白鯨シルヴィルモービシュ”の力で多次元世界に存在する全ての世界を監視している。シルヴィルモービシュが多次元世界のネットワークルーターとなっているんだ。
盈虚ユメクイ様が動きを特に注目しておられるのが、原世界と戮世界。2つはシェアワールド現象によって共有・同期が発動され、調律を成している事から“兄弟世界”と呼称されている。それなだけあって盈虚ユメクイ様は、兄弟世界である原世界と戮世界を使い、一つのシナリオを企画立案。
盈虚ユメクイ様が、1900年ぶりにショーランナーを担当したのが、これ。
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仮題は、『サブライム・バースデイ』。
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僕達は盈虚ユメクイ様から、多数の重要事項を教示され、それを絶対条件として上で、シナリオ創作を開始。僕達⋯“ドリームウォーカー”の手によって、原世界と戮世界で実際に起きた事件を使用。
盈虚ユメクイ様は特に、原世界でのコズミックブラッド落下を深く気に入っている。これ以外は盈虚ユメクイ様並びに、ドリームウォーカーが創作した架空の物語。
コズミックブラッド⋯ユベル・アルシオンの元へ、落下したのは実際の原世界歴2120年8月20日。
架空ではない、正史。
盈虚ユメクイ様とシルヴィルモービシュは、互いの力で原世界と戮世界の同期を開始。一つの事象で次元間のコントロールアッセンブリーが強い磁性力によって統一化された。2つの世界は今では兄弟世界と言われているが、元々は独立した世界。
コズミックブラッドの落下による戮世界との繋がり強固。“マグネットパルヴァータ”と言われているが、、、
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この現象よりも遥前に、アインヘリヤルの朔式神族が戮世界を訪れ、自らの信仰宗教である“七唇律”を携え、戮世界に来訪してきた⋯
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とのシナリオを完成させたのは盈虚ユメクイ様だ。
このシナリオの完成はまだまだ日が遠い作業に思える。盈虚ユメクイ様の書き上げたプロットでは、最終的に全てのパートは一旦の終局を終え、そこからまた新たなる戦士達による旅路が始まるという。
終わりは、また、次の物語に繋がる大切なブロック。
このシナリオがいつの日か、終局へと連なる日がやってくる。舞台役者達は、ここからどのようなルートを歩んでいくのか⋯。今後の展開を楽しみにしている自分が、ここにいる。
───────『Part of Froudless』制作班・アザトキ
⋯
⋯
⋯
⋯
⋯
はい、、、、
え、、、、
ああ、、はい、、、
はい、、、
はぁ⋯それは⋯どういう事でしょうか⋯、、、、
はい⋯⋯⋯つまりは⋯
元々描いていたシナリオとは違う流れを進んでいるんですか?
これは⋯盈虚ユメクイ様の仰せ⋯との判断で宜しいのですか?
いや、ですから⋯あなたの判断でどうこう決めるのは⋯『致し方無い』??⋯⋯⋯あのですね⋯、我々の主宰王がそう仰られているのです。勝手な判断は謹んで頂きたい。
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1111111111111000000000000*****
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⋯⋯いくらなんでも⋯それは⋯やりすぎなんじゃない?あなたにシナリオの介入権利なんてあるんですか?あなたは所詮『Part of Salutruss』の制作班止まりの御方。もう既にそのシナリオは終局を迎えたはずでは?もう何年も筆が停止しているようですけど??
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⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯終わってない⋯?嘘だ⋯そんなの嘘だ⋯。『Part of Salutruss』はもうとっくに終わったはずだ。僕はこの目でみた。この目で見たんだ!絶対にそんなのでまかせだ!絶対に違うよ!
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嘘だろ⋯⋯盈虚ユメクイ様がそのように言っておられた⋯というのか⋯?⋯じゃあ⋯まぁ、、しょうが無いな⋯。分かった。
“プリンキペス”。あなた方は、どこまでシナリオに介入するおつもりですか?もう、あなた方の演出方法では盛り上げられない程に、山場を迎えています。それは僕のパートだけではありません。各々が担当しているパート、次なる決戦に向けてのウォーミングアップ中なんです。それを⋯多次元世界で、管理者として玉座にいるだけの神々が、担えるとは到底思えません。ドリームウォーカーとして言わしていただく⋯。
あなた方に、当該シナリオの完成は難題かと。
⋯⋯⋯⋯⋯1100
感情を抑える事で、相手の心との距離感を忍び足で近づこうもんなら、甘いですよ。もっとも、それに近い演出技法を編み出したチームがいますので。もう、あなた方⋯『白鯨』の力を借りなくても十分なんですよ。
⋯⋯00001110000000000000000
盈虚ユメクイ様の御言葉をここで晒すんじゃない。“ニルエナ語”で暗号化したとしてもドリームウォーカーである僕からしてみれば、容易く母国語に翻訳が出来る。在り来りな遠回しの表現を多用するのもいい加減にしたらどうです?
あなた方の時代は、終わりを迎えつつある。
言ったでしょう?聞いていた筈ですよ。終わりの次には始まりが必ず訪れる。あなた方にだって終わりはある。
律歴4000年という基盤。アインヘリヤルの朔式神族が戮世界に来訪した際だってそうだった。白鯨シルヴィルモービシュは、朔式神族によって滅亡の危機を体験。
今だってその臨死体験は、神の身体に刻まれている筈。“聖痕”と呼ぶに相応しいものだ。戮世界の作劇にはその白鯨の“聖痕”を設定として扱わせていただいています。こうなると白鯨には感謝の言葉ぐらいは述べてもいいのかな⋯と思ってしまいますが、特段あなた方が能動的に起こし得た内容では無いので、僕からの有難き方面のワードは一文字も垂らしません。僕が垂らさない⋯という事は、盈虚ユメクイ様も同様の意見です。
ですが、ご安心ください。白鯨シルヴィルモービシュの遺伝子は、当該シナリオの端々にて確認する事が可能ですよ。一応、スタッフクレジットとしてもあなた方の御名前は記載する予定ではあります。雛型を創作した創造主の一部ですからね。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
やっと黙りましたか⋯。まぁ⋯ここら辺で僕もお暇すると致しましょう。
さて、次のルートは僕が担当する場面ではありません。誰が担当するのかは⋯まだ定かでは無いのですがね⋯。まだまだ時間が掛かる作業なので盈虚ユメクイ様も心労なんですよ。当該シナリオ以外にも多くの作品の中核を兼任していますから。僕には想像もし得ない程に手一杯⋯。その疲労を少しでも和らげてあげたい⋯そう思っているのは僕以外の幻夢郷“フェール・デ・レーヴ・トパーズ”に棲む全てのドリームウォーカーが強く懇願していることです。
当該シナリオに参加したくても他のプロジェクトに回されてしまう⋯。盈虚ユメクイ様が多数のプロジェクトを束ねているチームリーダーだから、それが功を奏して、影響を受ける事のできる割合は多い。ただ、もちろんその裏で、
盈虚ユメクイ様が一切関わらないプロジェクトだって、沢山存在している。
そんな盈虚ユメクイ様が参加していない企画のプリプロダクションスタートは、いつも決まり切った雰囲気が流れているという。
『本当に大丈夫なのか⋯』と。
最終的な事を言ってしまうと⋯『大丈夫だ』。
うん、結局は大丈夫になる。なんとかなる。ドリームウォーカー達だって、シナリオ創作を渇望していた。原世界、戮世界、その他の多次元世界に存在する人々を使って、数多くのシナリオを創造して来た。
実在する⋯実在しない⋯どちらでもいい。ドリームウォーカーに創れないモノは存在しない。
そして、運命を左右するドリームウォーカーに、抗うことなど出来ない。
盈虚ユメクイ様⋯いや⋯⋯もう良かろう⋯。
『盈虚ユメクイさま』が作りあげた完璧なシナリオに基づいて、強者を中心に等しく単一な世界を構築する。その中では犠牲も厭わない。必ずしも誰もが幸せと安寧を体験出来るシナリオはもうゴメンなんだよ。誰かが死んで、また、誰かがその者を殺して⋯また、誰かがそいつを生かして、また、そいつが子を遺していく。
永遠に続く輪廻⋯『エターナルサイクラー』とはよく言ったものだ。
ここからどうなるのかな。⋯と言っても、そんなの僕らの匙加減だし⋯全員を生かすとは限らない。殺す奴は殺さなきゃいけない。それがその者の“運命”というわけだ。
僕らを“語り部軍団”と呼称するものがいるらしいけど、実際には語り部よりもスケールの大きい事を果たせていると思っている。語り部はただの語り部だ。決して、シナリオを創造している者では無い。誰かが創作したストーリーラインをなぞっているだけ。僕らは成果物では収まり切らないモノを制作してる。
赤色矮星にて、紅く輝かしい光点があった。その内容はコズミックブラッドとの関連性が等しい事が判明している。僕らがシナリオを創造する上で、何者かが反抗の色を促しているのだ。
許せないよね。許せないし、そんな事が可能だと思っているのかな。中々の勇気だと思うよ。それに“舞台役者”達は、自らの意思決定で動いていると⋯“未だに”思っている。
そんな中で、僕達、幻夢郷“フェール・デ・レーヴ・トパーズ”によって動かされている⋯と睨んだ舞台役者がいる。
もうそれは⋯“舞台役者”とは言えないな。本来だったら、僕達が作り上げた創造物のはずが、吹き込まれた命の種類が、超常現象を起こしたのだ⋯と判断するしか無い。
ユベル・アルシオンの落下以外は全てが創造物。フィクションの物語だ。なのに、何処かから正史の出来事が混在し始めている。
現実と虚構が、互いに交じ合わさり、平等と不平等の流れを不安定なポージングを象り、歯車の着飾りによって動き続ける。
これに気付いているのは、僕を始めとするドリームウォーカーの面々と盈虚ユメクイさま。それと、フェール・デ・レーヴ・トパーズの“聚楽等級”に相当する蕃神達。
マドンナリリー、シラユリの巫女。
当該シナリオに関連性の高い、ドリームウォーカー達が既にストーリーラインのルートに障害が発生している事を検知。蕃神、シラユリの巫女を持ってしても、発見された障害の概要を特定する事が出来ない。
なぜなのか。
幻夢郷の存在すらも、シナリオを歩む舞台役者には分からない筈だ。何故に⋯どうして⋯⋯。
誰かが⋯“逃避夢”を⋯⋯まさかな⋯⋯⋯⋯⋯⋯。
第十章。開始。汗をかきながらやっていきます。




