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[#49-偽善か悪鬼か]

『????』もう少しで明らかになります。

[#49-偽善か悪鬼か]


「《サレア》さーん、帰ったよー」

「お邪魔…します…」

ハピネメルが住まう家に入らせてもらった。ハピネメルの元気が迸る声に、廊下と奥の部屋を繋ぐ扉から一人の女性が現れる。

「はいはい、おかえりなさい。あら、そちらの方は?、、、、え、、うそ、、」

「うん、アンリミングさん」

「え!?アンリミング・マギール?!」

「あ、、、はい、、そうです…」

サレアさん。とても綺麗な方。大人な魅力を深く感じる。年齢も若い。“さん”呼びがとても気になる。

「ハピネメル、どうしたのよ…!こんな方連れてきて!」

「あ、あの、、、サレアさん…実はね…さっき、、、セカンドステージチルドレンと会ったんだ…」

「、、、、」

ハピネメルがサレアと呼んでいる女性の顔が一気に神妙な面持ちになった。

「そうか…わかったよ。さぁ、入ってアンリミングさん。おもてなしするよ」

「いやいや!大丈夫ですよ!ハピネメル君が、ケアしてくれたら直ぐに帰りますので。お気持ちだけ受け取りますので!」

「(君呼び…ですか、、、)」

「あなた。何を見たの?」

「、、え?」

「何を見たの?何を感じたの?」

「、、、死です…」

「死…」

「この人達に殺されるんじゃないかって思いました…」

「僕がもっと早く異変に気づいてればよかったんだ…」

「ハピネメル、奴らは、アンリミングさんが目的だったの?」

「うん、今回はそうだって言ってた。僕がアンリミングさんの元に来た事には驚いていたよ」

「バッターコールか…」

「サレアさん、知ってるの?」

「そう言ってた?そうか…うん、、、あ、ごめんね!アンリミングさん!ささ、早く入って!もう折角の容姿が台無しだよ。私が元通り以上の美人さんに戻してあげるから!」

「サレアさん、ありがとうございます。じゃあ、、失礼します」


家に上がる。いたって普通の一軒家。二人で住んでるのかな。

「アンリミングさんはリビングでゆっくりしてください」

「う、うん…ありがとう」

ハピネメルは、上の階へ。

「ごめんね〜ウチ全然何も無いんだけど、とりまそこ座ってー」

「はい…なんかぁ、緊張します…」

「緊張する?そんな固くならないで!はぁーーそれにしてもビックリしたー、まさかこんなビッグゲスト引き連れてるなんて思ってもみなかったからさ」

「あの、、、」

「はい、じゃあ脱いで?」

「ぬ、脱ぐ??」

「だってぇー、その格好じゃ怪我の処置もできないでしょ?だから、その布全部脱いで?」

悪気なんて一切感じない美人が故の可愛らしい顔で言うから、受け取る言葉だけだとめちゃくちゃに変態。でもサレアさんの指示に従おう。

「ハピネメルのおかげね。深い傷が至る所にあるけどなんとか応急処置は済ませたのね」

「そうみたいです…」

「アンリミングちゃんは大丈夫?」

「はい、もう特には」

「あなたも強いよ?少しの時間はこの時間を保持したままだったんでしょ?」

「そうですね…」

「アンリミングちゃんは強いよ。セカンドステージチルドレンと相対しても、自己を守ったんだから。本当に強いよ」

「サレアさんは、ハピネメルとどういった関係性なんですか?」

「うーん、、難しいねー、、、養子かな…簡単に言うと」

「親御さんは…」

「ハピネメルの両親はね…色々あるのよ…」

「そうですか…本人にこの事は触れない方がいいですかね」

「そうしてもらえると有難いかな」

「わかりました、サレアさん」


「アンリミングさーん!大丈夫ですか…」

リビングにて。

サレアが怪我を見るため半裸状態のアンリミングの元に、上階からハピネメルが駆け下る。

「ハピネメル!?ちょ、ちょっと待って!!」

「あー!!すみません…!」

リビングでの現状を早急に把握したハピネメルは、直ぐに廊下へと身を隠す。

「サレア姉さん、アンリミングさんは大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫よ。彼女、強いね」

「良かったぁ…アンリミングさんは強いんですよ!」

「ハピネメル。まだケア終わってないんだけどー」

「あ、すみません!」

アンリミングの状態を本気で心配するハピネメルの感情が抑制できず、身体を捻りこませてアンリミングを視認する。アンリミングは向こうを背に、背中の前にサレアが立つ。アンリミングのそういった光景を見るのは、ハピネメルにとって魅力しか感じない。服を脱いだアンリミングという興奮材料にもなりうるシーンだが、ハピネメルには、そんなやましい事情は無い。本気で彼女の身体を心配した上での行動だ。


「ハピネメルとはどういった関係なの?」

突然、思考を抉るような質問が投げ掛けられ、アンリミングは戸惑い、挙動不審になる。

「え、え、あの、、」

「偶然とはとても思えないんだよね…なんか前もっての計画でもあったって思ってるんだけど…??前々から集まる約束をしてたーとか」

「え、、、」

「ハピネメルの顔を見れば判るのよ。あんた達、何か隠し事してるでしょ?」

「え、、と、、あ、そ、そうなんです…私、クレメンスベイ大学の学生なんですけど、一昨日の文化祭に来てくれたんです。その時にダンスステージがあって、彼も観賞してくれたみたいで…んでぇ、、、あの、、ハピネメルが凄い勢いで、私に近づいて来て…」

「あなた…付き合ってる?」

「え、、、!!」

「ンハッハッハッ!!そんなの顔を見れば判るよ。ハピネメルは勿論、アンリミング、あんたもね」

「サレアさん…」

「好きなんでしょ?ダテに数重ねてるわけじゃないんだよ」

「サレアさん…、、、」

「あんたからもヒシヒシと伝わるよ。相思相愛だね。」

気づかぬうちに顔が火照る。汗もかき、とても人前じゃみせられない女の垂れ幕が、これでもかと襲う。

「サレアさん…いけないのは判ってるんです…でも私は、ハピネメルに…」

「ンなもん言わずもがな伝わるよ。惚れたんだろ?」

「…!!」

「恐れを成した相手をこれでもかとコテンパンに叩きのめした男に、惹かれたんだろー?」

「…!!!」

「図星だね。アンリミングちゃんってほんと、可愛い子だね。テレビで見てるのとだいぶ印象が違うよ」

「…、、、いけませんよね…」

「そりゃあそうね、ガチガチに未成年者だからね。ハピネメルは」

「私、どうしたらいいのか…判らなくて…本当にわかってるんです。やっちゃいけない事だなんて…でも、、彼と居ると、心が浄化されるんです…まるでハピネメルをずっと追い求めていたかのように。一昨日初めて会ったのに、初めてじゃないような。憧れの人会ったような。不思議な男の子なんです。私は、ハピネメルを手離したくないって思いました。だから、、、私の傍にいてほしいんです」

「本当に、それだけ?」

「、、、え、、?」

「アンリミング・マギール、いや、あなたの名前。本当は違うんじゃないの?」

「、、、サレアさん?何を言ってるんですか?」

「私にとぼけようだなんて無駄だよ」

「、、サレアさん…本当に…“何を言ってるんですか?”」

「血が集うわけだ」

「…」

───────

「あんた、《ロストージャ》だろ?」

───────

「…!サレアさん!?」

「フン、そうだろうと思った」

「何でそんな事知ってるんですか?」

「見れば判るだろ?セカンドステージチルドレンなんだから。いや、違うか…ロストージャは」

「私、その言葉を聞くのは久々です。ずっと前、ちっちゃい時に親から聞いた事があります。頭の片隅に入れておいてねって。その言葉を思い出した瞬間は、その日以降ありません。サレアさんは何処でその名前を知ったんですか?」

「知り合いがいたんだよ。いたけど、死んじまった」

「死んじゃった…?」

「あんまり掘り起こしたくないな…この記憶は」

「わかりました」

おかしな話だよね。私、本気で好きになっちゃった。こんなのでいいよね。相手を選ぶなんて。好きなんだもん。。しょうがないしょうがない。この先に出会う人には嘘ついちゃうもん。比較しちゃうから。巡り合ってしまった以上、もう私のだからね。

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