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[#47-僕という記号を、君の胸に刺す]

僕が彼女の全てを手に入れたい。

[#47-僕という記号を、君の胸に刺す]


文化祭から休日を挟んで、またいつもの生活が始まった。と言っても、今日は芸能の仕事で幕開け。早朝から雑誌の表紙を飾る為、撮影の乱打。そこから雑誌の内容であるティーン向けファッションについてのインタビュー記事。昼を挟んで更にそこからは、ラジオとテレビの収録でメディアミックスのオンパレード。朝四時起床で始まる長い一日。私にとってはこれが生きがいだから、全く苦ではない。

にしても今日は詰め込みすぎではある。こんな日をヘビーローテーションに経験していなかったら倒れている。しかも女なんだから。私は強い。けっこう強い。タフ。めちゃタフ。まだまだいける。よし、昼の弁当食べて精力つけて、ここからの仕事もやっちゃいますか!


4時間後──。

今日は非常に満足のいく立ち回りができた。ラジオとテレビの収録。ラジオは毎週30分放送されてるものの、二週分を収録する内容。今回は視聴者から応募の多数あった、自身のSNSにて投稿していたおすすめパン屋についての話。視聴者が体験した奇天烈エピソード千本ノック。ストロングスタイルフリートーク。喋るのは大好き。アンリミング発信基地局として運営されている私のラジオ番組は、聴取率に於いて高数字をマークしており、多くのリスナーに愛されている。

それに比べてテレビの仕事は、私の苦手な芸能仕事の一つに分類されている。テレビの仕事はモデル仕事より多い訳では無いが、少なからずラジオよりもギャランティーが高額な理由で事務所からも、なるべく出演してほしい…とお願いされている。現場での立ち回りを見たら素人でも直ぐに判る。私はテレビが不得意だ。スポットライトがいつ当たるのか判らない心臓バクバクの展開には、いつも戦慄する。汗が止まらないんだ。だけど、私には日々テレビの仕事が舞い込んでくる。大した働きもしてないのに、オファーが続々と事務所には送られる。それもそうだ。

────────────

“置いとくだけでいいから”。

────────────

私には数字がある。番組表に私の名前を書いときゃあ、視聴率を稼ぐ事が容易なのだ。スタッフだって、他のキャストだって、なんでこんなのが出れてるんだって、そんな事羞恥なんだろう。

でも、最近はラジオでのトーク力が評価されて、テレビでの立ち回りをラジオ向きにやってみればいいんじゃないか…という企画のテレビに出演した。私の“テレビ苦手”を逆手にとって好企画だ。事務所も快くその提案を受け入れ、私の所に降りてきた。その番組に出演を決意し、私はラジオで発揮してきたある程度のパフォーマンスを披露する事ができた。

ただ、ラジオで魅せている100%の実力を出すには至らなかった。やはり私は、テレビカメラになると突然に緊張感を増してしまう。今日はそんな好きと苦手の両方を味わう仕事の日となった。


テレビ収録が16時半に終了。最終的に帰路につけたのは17時。ハピネメルとの約束の時間は16時。

なんと一時間の遅刻が生まれてしまった…理由は収録開始時間の後ろ倒し。だがこれは一時間半前までに事前告知されていた為、ハピネメルには連絡をしておいた。

セントエルダにあるテレビメディアセンターから、クローバーシーズまでは多少なりとも時間のかかる距離。《ユレイノルド環状線》で向かう。その間に私は、ハピネメルに規定の集合時間に遅れたことに対しての謝罪文を短文ではあるが送信。すると直ぐに返信が来た。

「大丈夫ですよ!今日は学校にいないんですよね?プリンセススクエアで待ってるんで、着いたら連絡してください!」

え…ちょっと待って…“学校にいないんですよね?”って、なんでそんな言葉で言うの?まるで、今日私が学校に居ない事を知っていたかのよう。私は問い詰める。

「ちょっと待って?ハピネメルさぁ、なんで私が今日学校いないの、知ってるの??」

「だっても何も…僕今、クレメンスベイ大学に居ますけど…」

えええーーーー!!!!

「いや!ちょと!!何してんのよ!ハピネメル!何勝手に学校にいるのよ!あんた学校は!?」

「僕、もう昨日から眠れなくて…!ああー、またアンリミングさんと会えるってなったらスッゴイ嬉しくなっちゃって…気がついたら、ここにいました…!」

「ちょっと…勘弁してよ…ハピネメル?まさか…あなた…誰かと話してないわよね…?」

返信が来ない。ハピネメルから、返信が来ない。先程まで私のメッセージを未来予知してるかのように、高速で打たれていた連絡が途絶えた。20秒程の沈黙が解禁される。

「ごめんなさい…話しました…」

かぁぁーーー…、、、そんな…いやいやいやいや、ちょと待って…まだハピネメルが私の事をクレメンスベイ学生に聞いた、と決まった訳じゃない。

「ハピネメル?誰と話したの?」

「コスプレ部の人です…すみません…!!ごめんなさい!」

やっちまってんな…ハピネメルううううう…!

電車内で私は落胆。立っているのがやっとの状態。不用意な事を聞いてないかと不安が募りまくる。ハピネメルが…部員達と接触したなんて…彼はヒートアップすると何を話すか判らない。そして何を聞くかも判らない。早く…早く…早く…早くついてーーーーー!!!!!

「誰と話したのよ…?」


遡ること、三時間前──。


そっかァ…アンリミングさん、遅れちゃうのか…まぁいいや、この時間どうやって潰そうかなぁ…って言ってもまだ授業あるし、元々の約束の時間は、アンリミングさんと僕の学校の終了時間を考慮して立てたもの。授業が終われば、丁度よく済んでた。だけど、その時間にアンリミングさんは来ない…。あーあ、この時間が急に退屈になってきたなぁ…嫌だなぁ、、、アンリミングさんに早く会いたい。アンリミングさん。。。アンリミングの写真。肉料理にを見て、とろけるように顔を朗らかにさせているアンリミングさんを、僕は激写した。

「ちょっとぉ、なにしてんのー?」

「アンリミングさん、良い顔してますよ!」

アンリミングさんは満更でも無い表情だった。アンリミングさんの写りが美しすぎた。

「ホント??」

「うん!ほんとほんと!!最高です!マジで可愛いです!」

頬張る姿。女の子の食べてる姿は本当に絵になるし、凄い可愛くて好きなんだけど、アンリミングさんはそれにプラスとして元々の美貌が付加されてるから、もう堪らない…。もう僕はシャッターを押す指が離れない。一生このままの時間が続けばいいのにと、馬鹿な事を思った。授業中、一昨日の出来事を永遠にループさせていた。アンリミングさんとの記憶を再生していれば、視界に映る世界から一旦エスケープし、憧憬世界を体験できる。

アンリミングさん…早く会いたいな…。

今日はなにしよう…何ができるのかな…。今日は前回と同様に夜ご飯とプリンセススクエアの買い物を約束している。こんなの最早デートじゃないか!アンリミングさんは僕とデートの気分で、来てくれるのかな…少なくとも僕はそのつもりで行く。あんな美人と一緒に平行に歩く自体有り得ないことなんだから!今の自分はアンリミングさんに似合う男だとはとても思えない。本来だったら、アンリミングさんに好きなタイプとか、好みの体格性格を隙あらば聞いていきたい。

でも、アンリミングさんなら、かなり条件をしぼめてきそうな気がする。それを許されるぐらいの素晴らしい素質の持ち主だから無理もない。頑張んなくっちゃ…。アンリミングさんに認めてもらえるような男にならなきゃ。それにしても…このカメラ目線…ヤバすぎだろ…よく俺失神せずにいれたな…授業と授業の合間の時間、自分は彼女を見るという過去の再生で、この一時を終えようとしていた。

────────

「それ、、、、アンリミング・マギールだよね?」

────────

「な!な、なにー?!?」

「ハピ、アンリミング・マギールの事好きなの??」

「《マリゲス》…!はぁお、もう脅かすなよ…お前」

「ごめんごめん、あまりに携帯凝視してるから、気になっちゃってさあ…んでぇお前、アンリミング好きなん?」

「、、、、、、え…?アンリミングさん知ってるの??!」

「いや、、、当然だろ…知らねえ奴いるかこの世代?」

「…、、、え??なんで???」

「あーー、そっかぁハピは全然そういうの興味ねぇもんなあ」

「“そういうの”って、なにぃ?」

「いやお前、芸能人とか興味ねぇだろ?」

「え、、、、こ、こ、この人、芸能人?」

「うん、そだよ」

「あ、(え…マジで…、、)なるほど…そうなんだぁー、、へぇー、、、ありがとネ!教えてくれて」

「いやぁそれにしても、その写真ほんとに可愛いなぁ…も一回見せてよ!」

「だめだめだめだめだめ!!」

「なんでよ!、、、まぁいいけど、どうせその写真、ネットから拾ってきたんだろ??直ぐに見つけてやるからよっ!」

うわ、やばい。アンリミングさんが有名人??って事はこの写真が世の中に出回ってない事が…、、、!!!!

「ねえねえねえねえ!!アンリミングさん、」

「なんでさん付けなのよ」

「アンリミング…、、」

「マギール」

「アンリミング・マギールって結構凄い人なの??」

「凄いも何も、超有名人よ。ハピぐらいじゃねぇの?彼女の事知らない男なんて」

「でも、この人の事、みんな学校で話題にしてなくない?」

「いちいち取り上げる事もねぇだろー。まぁでも確かに一時期の勢いは無いけどなぁ…まぁでも、全盛期が凄かったからな」

「全盛期って…いつぐらいの時?」

「8歳とかだったかな…天才子役として有名になってたのは今でも覚えてるわ。ハピ…お前これ…常識レベルだぞ?」

「あーー、、そうなんだぁ、、ウチ、テレビとか無いからさ…自分も観ないし…」

「うーーーん、、にしてもだけどな…とにかくアンリミング・マギールを知らない人はいないと思う!そんぐらい凄い人よ、今大学生なのもな。一昨日の文化祭も凄かったなぁ。コスプレ部のダンス!すっげぇ可愛かったよ」

「へぇ、、、、みたかったなあーあー」

「んでさぁ、その写真なんだけど…」

「悪ぃ!俺もう帰るわ!」

「お、おい!!まだホームルームあるぞー!?」

「ごめんーマリゲス!先生に言っといてー!腹壊したぁー!って」

「はぁ、、、まったく…、、、、ハピが見てたあの写真…最近のじゃ無いみたいだな…でも、顔はこの前ドラマで見た時と同じだ…どこから拾ってきたんだろ…」

ハピネメルが携帯で見ていた写真。そこには、高級レストランで食事をしているアンリミングが写されていた。だが、この写真は最近のアンリミングの様子ではあるものの、こんなレストランでの一コマはどのSNSにも投稿されていないものだった。

有料会員系のものか…?

いやいや、ハピネメルは今日、アンリミング・マギールを知っていた様子。マリゲスは、ハピネメルが何かを隠しているんじゃないかと悟る。

「じゃあ、ホームルームを始める」

ハピネメルが飛び出して、30秒程で先生が現れた。

「あれ、おい、ハピネメルはどうした?」

マリゲスは、ひたすらに過去のアンリミングに関連する画像と記事を虱潰しに探す。一貫してアンリミングが、“一人で食事”をしている写真が無かった。大体はモデル仲間、俳優仲間をツーショットで掲載していた。あの写真…誰かが撮っていたんじゃないか…?いや間違いない。家族や友人といった一般人に該当する、人物の可能性もある。

◈─────────

だったら、どうしてそんな写真をハピネメルが眺めていたんだ?

◈─────────

「おい!マリゲス?」

「は、さい!、はい!」

「ハピネメルはどこから知ってるか?」

「ええっと、、知りません…」

「そうか、、、何をやってるんだまったく!」

「ハピネメル…、、、まさかアイツ…」


時刻15時半──。


クレメンスベイ大学に来た。目的は一つ。アンリミングさんの頑張る勇姿を見たいから…!けど、、アンリミングさん、遅刻するのは全然大丈夫なんだけど、何してるんだろう…なんか急な用事だったら手伝って上げたいなぁ…僕がなにかできるって訳じゃないとは思うけど…。でもアンリミングさんに立ち塞がった急務なんて、きっと大変な事なのかもしれない。何かやってあげたい気持ちは十二分にあるのに、行動に移す事ができない。

それにしても、この大学は本当に綺麗だなぁ。

しかし再びこうして来てみたはものの、こっからどうやって学校に入ってアンリミングさんを探せばいいのか。折角ここまで来たんだから、アンリミングさんには内緒でサプライズをしたい。だからアンリミングさんには言わないで、成る可く近くまで接近してアンリミングさんの姿を見たい。

あれ…これって、、ストーカーかな…。ちょっとやり過ぎ感も否めない…。あんまよく考えないで気がついたら、大学まで来てしまっていた。感情的に動くとすぐこうなる。現状、僕はアンリミングさんに恋している。彼女の全てを知りたい。アンリミングさんを世界一、知っている人になりたい。

感情的に行動すると共に、並行して脳内で整理していた件がある。アンリミングさんが芸能人だったという件。考えてみたら当たり前っちゃあ当たり前。あんなの一般人で収めるには勿体なさ過ぎる。素材完璧すぎるし、人当たりもいいし、何より性格も優しい。口調も上品で親様に大感謝です。

僕はエンターテインメントに基づく、芸能情報についてほぼ皆無である。今、誰が活躍してるのかは突然の如く知らない。アンリミングさんも、残念ながらそれに該当する存在。

ここで一つ、引っかかる事案を見つける。アンリミングさんは、一昨日、僕に芸能関係の話をして来なかった。これは僕の勝手な妄想だが、芸能人って自分と一般人を、ハッキリと色分けしている印象がある。つまり、我々一般人を下に見ているという事だ。アンリミングさんには、そんな印象は一切見受けられなかった。もしこの事実を知った上でアンリミングさんと、あの校舎裏で接触していた…となると、自分はどうしていたのだろう。さすがの僕もアンリミングさんとはいえ、見て見ぬフリをしていたと思う。

聞いたタイミングが良かった。運命のズレが、僕とアンリミングさんを繋ぎ合わせたんだ。やっぱり簡単には諦め切れない。僕は改めて、アンリミングさんと付き合う覚悟を決めた。


クレメンスベイ大学にいるのかなぁ…アンリミングさん。校舎をずっと遠方から見ていても何も始まらない。どうしよう…この校門を超えて、、、いやいや、何考えてるんだ…それってただの不法侵入じゃん…。仕方無い…はぁ、、、潔く待つとするか…。「ごめんね遅刻するね」と予め言われていたにも関わらず、こうして大学前まで来てしまう始末。アンリミングさんのリアクションが楽しみだ。喜ぶかな…驚くかな…どうだろう…。

10分が経過した。

大学キャンパスエリアに響き渡るチャイム。

チャイムを皮切りに、学校から人が次々と現れる。

「よし、学校終わったのかな…」

ハピネメルは、校内から出てくる学生を一人一人チェックする。

いない、いない、いない、いない、いない、いない…。

アンリミングさんが放つオーラとは全っ然違う人間が湧き出てくる。

格が違うな…。

アンリミングさん…出てこないな…16時にプリンセススクエアに待ち合わせだったから、16時に大学で待っておけば、一緒にプリンセススクエアにも行けるし…と思っていたが過ぎても尚、彼女が現れない。

10分、20分、30分…。

どしたんだろ…大学から出れないぐらい放課後、急務が発生したのかな…。待機に値する以上に待たされる気がする。どうしようかな…もう一旦、帰った方がいいかな…未だにアンリミングさんから次の連絡が来ない。まだ二回目の集合時間を確約できない程に忙しいという事だ。

気になる。アンリミングさんが何に対して、想定の範囲以上の時間を費やしているのか。僕以上に優先する案件となれば、まったく問題は無いのだけれど彼女の性格上、優しすぎるが故に頑張りすぎる事があるようにも思える。

┠─────

なんで、そこまで感情の深淵まで汲み取っているんだろう

──────

一昨日、初めて顔を見たというだけなのに自分の感覚が何となく、そう彼女を捉え始めていた。彼女への想いが、愛という範疇には留まらない心情だと、自身の内側で落とし込んだ時、学校から見覚えのある女性が姿を現す。

「あの人…、、、なんかどっかで見たことある気がする…、、んああ!コスプレ部の人だ!」

学校から現れ記憶と現在の状況へ、違和感を覚えたのは、その女性が一昨日のダンスステージでアンリミングと立っていた人だったからだ。

「あの人!あの人に聞けば、アンリミングさんが今何してるのか、判るかもしれない!よし、行くぞ…よし、、行くぞ…やっばい…緊張してる…一昨日はあんな普通にアンリミングさんに話し掛けたのに…よし、行くよ?行くよ、行くよ…、、、」

ハピネメルは、校門へと歩いてきた女性に一気に距離を縮める。

「あの…、、すいません…」

「ん…なに??」

「あ、あの…、、」

間違いない。アンリミングさんと一緒に踊っていた。にしても、この方も非常に綺麗な人だ。露出の高い服装を纏い、目のやり場には困る。その様子はキョドり具合で相手方には十分伝わってしまっている。これがどういう方向に転ぶか判らないが、個人的には…“やってしまった”と情けなくなる。

「すごい…君、何年生?」

「僕、中学一年生です…」

「え、なんで中学一年生が、こんな所にいるの??あ!ひょっとして、お兄ちゃんお姉ちゃん待ってる?」

「えぇっと、、、…あ、はい!そす!そですそです!お姉ちゃんを待ってるんですよ!」

「へぇー!お姉ちゃん待ってるんだね、お姉ちゃん好きなの?」

─────

「大好きです!!」

──ЖЖЖ─

「凄いね…大好きなんだ…名前は?もしかしたら知ってると思うから、連れてくるよ?知り合いじゃなくても、ある程度の人脈で伝達できると思うから」

「アンリミングっていうんです」

「アンリミング!?」

「お姉さん、お姉ちゃんの事、知ってますよね?一昨日僕、コスプレ部のダンスステージ見てましたから」

「なんだぁ…知ってて私に声掛けてきたのね…もう!アンタやるね。ていうか、知らなかったよ。アンリミングに弟がいたとはね…。」

女は、ハピネメルの頭を優しくポンポン叩く。

「ごめんなさい、騙すつもりは無かったんです」

「いいのよ、で?ウチのアンリミングに何の用?」

「お姉ちゃんってまだ学校から帰らないのかなぁって思って…」

「ん?今日はアンリミングは学校来てないよ」

「え、、、」

「今日もこの後、部活動なんだけど、休みになってたはずよ、まぁ多分芸能関係の方を優先させてるのね。てか、弟だったら知ってるもんじゃないの??」

まずっ。

「いや!あー、そうなんですねー…あの、、今日僕、寝坊しちゃったんでお姉ちゃんと会ってないんですよ…そんな事しょっちゅうあるんですー…そうそう…」

「あっそうなんだね」

「そうっすそうっす…あの、、お姉ちゃんがいつもお世話になってます。失礼ですがお名前を聞いてもいいですか?」

「カルミリアよ。コスプレ部の部長やってます」



時は戻り、携帯間のメッセージチャット──。


「カルミリア!?ハピネメル、カルミリアと会ったの!?」

「はい!凄い良い方ですね!あ!勿論、弟設定は言ってますよ!」

「良い方です…じゃないでしょ!?もう勝手なことしないでよ…」

「すみません…」

「でも遅刻してるのは私の時間管理の問題だから…それに関してはごめんね」

「いいんですよ!全然大丈夫です!アンリミングさんのタイミングで来てください!」

「うん、ありがと。今、環状線に乗ってるからもう少しで、プリンセススクエアに着くよ」

「判りました!着いたら落ち合いましょう!」

カルミリアとハピネメルが対峙した。カルミリアは私の事なんて言ったんだろう。ハピネメルは弟の設定を守ってくれたみたいだけど、今まで弟の存在なんて言ったことも無いし、なんなら、きょうだいの有無について話していたかもしれない。まったく記憶に無い。

ちょっとした会話から「きょうだいいるの?」みたいな会話が、今まで起きていても全然違和感無いし、そこでの会話を覚えているとなると、カルミリアからしたら、ハピネメルの存在に乖離性が生じる事も有り得る。

一つの言葉から発生した点は、一つの違和感となる点が発生した時に思考回路が“繋ぐ”作業を開始する。この点と点を繋ぐ作業に、違和感を覚えると、彼女…カルミリアは、私達を怪しく思う存在へとシフトチェンジさせる。

更に付加される先日の言い合い。

私の事を、良く思っていないのは確実だ。このまま部活動からの追放で収まればいいのだが、カルミリアはそれで許してくれるような裏切り者に優しい女では無い。

彼女の過去は、みんなに良く知られている。


カルミリア・ラキュエイヌは、仲間からの信頼に満ちた女だ。責任感が強く強烈なリーダーシップで仲間をフォロー、統率と共に優れた的確なサポートでパフォーマンスへの指摘も的確、自身がコスプレとダンスのファンでもあるから客観視に於いても鋭い推察が可能。部活外でも個性溢れる才能を開花させている。成績優秀で勇猛果敢、男も女も憧れる完璧なプレイヤー。聖人としか想像し得ない人間だが、その裏には壮絶な家庭の問題があった。詳しい事は知らない。ただ、そんな噂が大学には流れ漏れた。

しかし、人間はこの噂を噂のままにする。本人には直接、定かでも無い噂程度のものを聞こうとせず、裏で拡散する者が現れる。その噂は肥大化し、元々の種として撒かれていた家族間のエピソードは、ありもしないでっち上げのゴシップへと変貌した。それは家族に一切関連しない極悪な100%の嘘。人権を侵害するレベルの卑劣な所業だ。大拡散されたカルミリアへ蔓延るゴシップは、当人が反応。

「今、存在する私への噂は全てが嘘。誰が撒いたのか知らないけれど全部嘘です」

、と当人が真っ向から否定。拡散されたエピソードの度合いがえげつない事も理由にあり、中々にその印象を払拭できないカルミリア。

そこで彼女がとった行動こそがコスプレイヤーとしての活動。それには抵抗があったものの、自分が自分では無くなるという不思議な魔法のような感覚に毒された。カルミリアはコスプレを通して、個性を爆発させ様々なキャラクターを演じる事で、人々の記憶領域から“カルミリア”のデータを改竄しようとした。

“みんなの中にいる、記憶しているカルミリアは別の人。これが本当のカルミリアなんだよ”

この願いはただの願い。彗星の流れに願いを唱えるかのように、人間に対してのテレパシーを発動させる。月日は掛かったが、見事カルミリアの願いは叶った。いつしかカルミリアの周りには人で溢れ、かつての“本当の信頼”を取り戻した。だが、彼女の内なる感情に醜悪で塗り固められた放出させるべきで無い感情が眠っている事は容易に想像がつく。

彼女の逆鱗に触れた私。彼女にもし、他者の境界を揺るがす程の攻撃的な悪意を備えているとしたら、“弟”として振る舞っているハピネメルが危険だ。ハピネメルが危険…それに私の身を按じた方がいい。

バレる。

私とハピネメルの関係性がバレてしまう。ロクでもない情報を垂れ流されて、芸能仕事に危機が生じる。何より、ハピネメルに不要すぎる迷惑も掛かる。それは本当に勘弁。彼は何も悪くない。最終的に私が彼を求めただけだから。彼を危険な目に遭わせる訳にはいかない。

早く着かなきゃ…こんな願いで電車の速度が変わる事なんて無いけど。

しかし、この願いとは裏腹に予想だにしない事件が起きる。突如、乗車中の電車が急ブレーキを掛けた。座っていた私は、受け身も取れず身体を大きく揺籃させられた。それは乗車中の客も皆同じ。パイプに掴んでいた者、どっしりと着座していた者、壁に寄りかかって直立していた者、そんな急遽にも対応できそうな人達ですら、足を掬われたり身体の軸がブレたりと、身体への一瞬の負担が、弱点を突いたかのように与えられた。

乗客は皆困惑する。私もそうだ。こんな事、初めての経験だ。


「お客様へお知らせ致します。只今、プリンセススクエア駅と《リゾーディング駅》の駅間に於いて発生した人身事故の影響で、急停車信号が発信されました。よって当列車は緊急一時停止システムの発動に伴い、急停車をさせていただきました。お客様にはご迷惑をお掛けしてしまい、大変申し訳ございません。運転再開時刻等の詳細な情報が出次第、直ぐにこちらからアナウンス致します。お客様にはそのままの状態でお待ちいただければ幸いです」

そんな…と溜息が漏れた。それは私以外にもそうだ。なんなら、少々の舌打ちすらも聞こえた。閉塞的な空間で一つ二つの舌打ちは、列車内にかなり響くものとして伝播。少なからず、私のいる六号車は最悪の雰囲気。眼前に座る大人には、苛立つの顔が伺えた。その顔を見ていた私に気づいて、素早く頭を上げた行為に驚いてしまい、判りやすくそっぽを向いたアンリミング。

おじさんの顔怖っ…

「お客様にお知らせ致します。只今、人身事故の影響を受け緊急停車システムが発動しています。よって列車の走行が困難な状況にあります。お客様にはお手数なのですが、ここからは線路を徒歩で歩いていただくことになりました。今から左側のドアが開きます。段差に注意して、線路を伝って次の《ダイナゴン駅》まで皆さんで向かいましょう。皆様、是非協力の程、宜しくお願いいたします」

うそー…私、今から線路の上歩くの…??うわ、、凄い経験だなぁ…いや、完全なタイムロスなんだけど、なんかレアな経験かも…

左側ドアが開いた。高架線路だから地上とは離れた所を闊歩している感が出ていて私は凄い嬉しい。普段、電車で見慣れている風景なのに、電車という閉塞感のある空間を失う事でこんなにも、情景が変わるものなんだ…。

「皆様、一列になって、安全にゆっくりと歩きましょう!」

言われた通り、一列になり、安全第一でダイナゴン駅へ取り敢えず向かう。当然の事ながら、七両編成の鉄道ともなると、乗客の多さは凄い。二列にした方が纏まり感があると思うけど、幅をとる訳にもいかないか…。それに一列にしたとて、線路の上なんだから無限に人を繋げられるようなもんだ。この状況をヘリコプター等の航空機で見ると、きっと凄い映像だと思うな。

と、思っていながら、SNSをチェックしていると案の定、現在の出来事が緊急ニュースとして報道されていた。上空映像も公開されている。これは今、私達が歩く線路では無い。自然豊かな緑の木々と透き通った川の流れる景色から察するに《ティレーズスクワーチ》だ。私が断定した後に、アナウンサーが「ティレーズスクワーチ」と明言した。

しかし、ここ南部で発生した人身事故の影響が北部の鉄道網にも甚大な被害を与えているのか…。単純に考えれば、この列車が停止すると後方で走行していた列車も停止せざるを得なくなる。その連鎖が巻き起こると、最終的には全ての列車が止まる状況に陥る事は考えられない状況では無い。ただそこまでの事なのかな…ユレイノルド環状線はその名の通り、大陸を一周する鉄道。工夫すれば、北部と南部を区切って運行でもできそうな気もするけど、そうはいかないのかな…。全部運行がストップしてる状況なよう。

これ、最悪な事にちょうど真ん中だ…。さっきの駅と徒歩で向かおうとしてる駅のちょうど真ん中にいた事を知る。落胆だよ…こりゃあかなり歩くぞ…寒いから汗をかくとか、外部からの女を殺しかけるオプションは無いから、まぁ良かった。それだけはマジで勘弁よ。今から男と会うんだから。

「アンリミングさん、、、なんかくさい…」

うわぁ…無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理。

ぜたい無理ぜたい無理ぜたい無理…。

ただでさえ褒めてくれる男からの、その発言はキツすぎる。ダメージ計り知れんて…。だって私が反応してないだけで、ハピネメルはどんだけ私に惚れてると思ってんの。知ってるんだよ?口にしてないだけで。彼だってそう。口にしてないだけで、私に対しての愛が漏れそうになる瞬間を何度も観測している。顔見れば判るよ。

こんな事口が裂けても言わないけど、私を見て仰け反らない男なんていない。自己領域だからこんな事言えるの。外になんか絶対出さない。イタいから。

なんて事で、時間を潰してるんだ。傍から見た自分の表情…今、大丈夫かな…

アンリミングが後方を見渡す。真後ろには女性が、私の後をついている。その時、女性の足が止まった。私はその異変にすぐさま対応、介抱をした。


「すみません、大丈夫ですか?」

「えぇ、ゴメンなさいね…ちょっと実は…やばいかもしれないの…急に来ちゃったみたい……」

「お腹…、、、!もしかして…!」

咳き込む女性。それだけで終わらず、女性は足を止め所持していた鞄を地面に落とした。女性から放出される力が、“直立を成し遂げられる”最低限のレベルに急降下した。

もしかしたら…と思い、アンリミングは女性のカバンの中身を無断で確認した。

「…この薬って…」

「うん、、、、、、持病でね…」

「そんな、、、すみません…!」

「あれ…君は…」

「あれ、!アンリミングじゃね?」

「ちょっと!アンリミングちゃんじゃん!」

アンリミングの掛け声で、一つの列として伸びていた集合体は途中から決壊。

「皆さん、すいません!この女性が危険な状態です!お腹の中に赤ちゃんがいます!この中にお医者様はいませんか?」

「私!救急車呼びます!」

「ありがとう!誰かー!!いませんかーー!」

アンリミングのたった一言の掛け声で、一列は決壊したが、沢山の人間が女性の介抱にやってきてくれた。そして50名ほどは集ったであろう中から、激運な事に、お医者さんを発掘。

「はい、私医者です。セントエルダ病院の外科医です」

「良かった…こちらの女性、お腹の中に赤ちゃんが…あと、この薬を携帯してるみたいです」

「心臓病ですか…判りました。おばあちゃんー!聞こえますかー?」

女性からの応答はあるものの、女性を窮地から救うためには医療キットが必要だった。この状況で、医療キットを持っている人間などいるわけが無く、駆けつけた医師はこの女性を急いで、ダイナゴン駅へ連れて行く事を進言。

「アンリミングさんだよね?ここは男に任せて」

「判りました…」

複数名の男性で構成された集団は女性を抱え込み、急いで線路を駆け抜ける。

私もそれに乗じて、ダッシュで線路を駆ける。

「お姉さん!大丈夫ですよ!!今、駅に向かってます!頑張ってください!」

お姉さんの顔が白くなりつつある。

「お医者さん!大丈夫なんですか!?」

「大丈夫です!とにかく急ぎましょう!」

先程救急車を要請してくれた女性が再び、救急搬送医と連絡を取り合っている。

「今、ダイナゴン駅に着いたようです!」

「判りました!ありがとうございます!行きましょう!」


15分は経過した。ダイナゴン駅に着き、みんなノンストップで走った事で疲労困憊。しかも男性陣はお姉さんを抱え込みながらのダッシュ。かわりばんこでなんとか、身体を休めながらのローテーションを行い、ダイナゴン駅までほぼ休憩せずに着いた。

なんとか、お姉さんを男15人体制でローテーションさせながら、最短距離3km先にて所在するダイナゴン駅に到着。ダイナゴン駅からも救急隊員が駆けつけ、十分な人員を確保した上での要救護者運搬となった。待機していた駅高架下にて待機していた。

「お姉さん!もう大丈夫だよ!!安心してね!」

「ハァ…ハァ…ハァ…、、あなたの、おかげよ」

苦しそうにこちらを見つめながら、丁寧な感謝をいただく。

お姉さんは、沢山の人のおかげで最悪の事態を免れて救急車に搬送された。

無事に送り届けられてよかった。お姉さんの救急介護に対応した皆で、喜びを讃え合う。やがて喜びの的は、私に集中する。

「アンリミングちゃんは、女神様だな!」

「アンリミングちゃんが声を掛けてくれたから、気づいてくれたから俺達が集まって来れた、本当に良かったです」

「迅速な対応で、我々も本当に感謝しております」

「テレビの印象通り、もっと好きになった」

「アンリミング・マギールが偶然居合わせ、救急看護に協力。好感度急上昇」

「天使様降臨したんだから、そりゃあ誰でも彼でも助かるに決まってる!」

生放送でドローン空撮しているという事は当然、ネットでは既に情報番組、ネット記事ではこのネタで持ち切りの状態。

有名タレント“アンリミング・マギール”が偶然その場にいた…というニュースは情報を取り扱う側としては最高の見出しだ。界隈は拍手喝采。

それもそのはず、列車が停車し介護に居合わせた一般人が撮影したアンリミングの様子が拡散され、大きな話題となったのだ。賞賛の声で埋め尽くされ、アンリミング・マギールの名前が更なる“好感度”で埋め尽くされる要因にもなった。

駅にはマスコミも駆けつけていた。アンリミング達がダイナゴン駅に到着した際には、マスコミ側はアンリミングが居合わせている事を知らない状態であった為、驚愕。アンリミングの姿を確認した時、マスコミのカメラレンズは、要救護者から直ぐにアンリミングへと向けられた。

「アンリミングさん!?」

「はい」

私は遠目からマスコミの存在を確認していた。面倒くさい事になっても困るし、お姉さんを人目の晒すわけにもいかない。マスコミへ、真摯に対応する事にした。

「いやー!まさかアンリミングさんがいるとは思いもしませんでしたよ!」

「私もビックリしてます」

「どういう状況だったんですか?」

◈──────────

「知っているとは思いますが、人身事故の影響で列車は急停車し、線路上を歩く事を余儀なくされました。一列になって、歩いていると真後ろに歩いていたお姉さんが、腹痛でもしたかのように止まったんです。私は異変に直ぐ気づきました。そこから私は、大声で有識者の方を集める行動に出たんです。そこから私は何もしてません。お姉さんの容態を気にかける素振りはしました。「大丈夫ですよー!」と声を掛けた時の応対に変化があったからです。男性の方々が、大勢集まり、お姉さんを運んでくれました。全員が男性だと少し、気持ち的にも落ち着かないかな…と思い、私も彼等と共に走って付いてきたんです。ただそれだけです。皆さんには感謝しかないですね」

◈─────────

マスコミの取材は10分程掛かった。

「では、アンリミングさんすみません、こんなにも長く対応してくださって…」

「いえいえ、大丈夫ですよ。皆さんも道中気をつけてくださいね」

「すいません…では失礼致します」

今日のマスコミは失礼な事を言う人間が居なくてよかった。「好感度うなぎ登りですね!」なんて言う輩が出たら、どうしようかなと思っていた。“最低限の常識”を携えた取材団の対応に私は安堵した。

さて、駅に着いたはものの、ここかはダイナゴン駅。目的地であるプリンセススクエア駅へはあと一駅。電車は勿論、ストップしてしまっているし…仕方無い…タクシー使うか…。

この考えに落ち着くのは、アンリミングだけじゃない。バスとタクシーのターミナルは、既に大行列状態。

「うんそー…そんな…えぇー、、、どしよ、、ここからプリンセススクエアまでは…ゲッ…3キロ、、またぁ…???」

歩きで行くしかないか…そう思った刹那、着信音が鳴る。電話の相手はハピネメルだ。


「アンリミングさん!大丈夫ですか!?」

「知ってるのね」

「当然ですよ!もうニュースで凄い盛り上がってますよ!」

「あんま嫌なんだけどね、こういう注目のされ方」

「アンリミングは無事なんですね…良かった…もう、本当に心配しました…」

一昨日の会合した際の顔面パターンから算出するに、ハピネメルの電話越しの表情が見て取れた。心臓を抑え、立っていられないぐらいに緊迫した状況だったようだ。

「心配させちゃったみたいね、ごめんね」

「いえ!大丈夫です!で、、今、どこにいますか?」

「そう、今ね、ダイナゴン駅にいて、タクシー使おうかなって思ってたんだけど、案の定、使う人沢山いてね…もう人口パンク状態よ…」

「そうですよね、、、そうだ!僕そっち行きますよ!」

「いやいや!それは大丈夫よ!」

「まさか、ここまで歩きで来る気ですか??」

「…、、うん」

「そんなことさせられるわけないじゃないですか!僕タクシー呼んで、そっちに行きますから!」

「ほんとに?子供にそんなことできるかなぁ…」

「アンリミングさん…?バカにしてますー?」

「無理しないでね、待ってるから」

「今捕まえました!」

「激早っ。なんかちょっと散策してるから、着いたら教えてね」

ハピネメルがタクシーで、ここまで来てくれるし私は今、彼の到着を待つのみ。ここで溜まりに溜まっていた疲労がグッと身体を襲う感覚に見舞われる。あんな長距離走ったの、久々だよ…公園…あるかな…

ネットで周辺地域を調べる。ダイナゴンはいつも通り過ぎるだけ。最低限の消耗品を購入するストア、ファミリーレストランが一店舗、居酒屋、診療所、理髪店等が点在している小規模な街。直近にはプリンセススクエアがある事で殆どのテナントは、そこに集中した。少し歩いた先に公園を確認。この駅周辺、特に座るスペースも無いし、ここにずっと居るとなると折角マスコミの包囲から離脱できたのに、また騒がれてしまう。もうそれ勘弁。

公園に着いた。坂道の上り下りを繰り返し、勾配なエリアに所在する《ブランチェイト公園》。結構広い。遊具もそれなりに豊富で、子供が持て余した時間を使うのには丁度いいエリアだ。

しかしまぁ、夕方にもなると放課後の学生達が公園に来て、あーでもないこーでもない話をしに来るかと思いきや、案外静まり返った公園だ。ベンチに座る。目の前には広大な自由敷地。野球はやれそうに無いけど、フットサルぐらいならできるかな。

座るともう一気に、睡魔に襲われる。そういや、今日私、仕事もたんまりやってたんじゃん…なんかすっかりそんな事忘れてたよ…大変だったなぁ…やばい…寝ちゃうかも…ねむい…、、、、、、、


よろしくお願いします。

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