[Chapter.2:introduction〈blessing〉]
「Lil'in of raison d'être2」のあらすじ
[Chapter.2:introduction〈blessing〉]
『私は、使命と血盟を受け継ぐ女』────。
ジェノサイドフェーダ発生から半年。
全くの赤の他人だった4人の女が一つの集合地で会う。運命に導かれたかのように、4人は見ず知らずの関係性を受け入れながら、戦果の荒野を歩く。
時間が流れる。誰も助けには来ない。
最後に出会った女、エリヴェーラ・スカーレディア。
その内の一人は、特別な存在。その力が3人の運命を変える引き金となった。
彼女は、セカンドステージチルドレン。
やっとの思いで救助が来たと共に、それを兵士から伝えられた。
3人には全く理解できない内容だった。
そんな3人をこの窮地から救おうと、訪れた剣戟軍。そこにセカンドステージチルドレンがいるのも承知に。
────
「そこの後ろの女の子3人!早くその前の女から離れて!」
────
そう言っていた。
何を言ってるんだ。
エリヴェーラだって人間じゃないか。
まるで獣を保護するかのようにエリヴェーラを言いやがって。
そんなエリヴェーラの顔は、怒りに満ち満ちていた。
エリヴェーラは自身に宿る力を遺憾無く発揮。
そのエネルギー質量は、ファウンス、ラルース、アルマーレにも同様に検出。
人間だと思っていた彼女達も、セカンドステージチルドレンと化していた。
剣戟軍は作戦を変更。救助から抹殺へと移行する。
エリヴェーラは彼女達を傀儡とし、セカンドの能力を操作。
剣戟軍を攻撃した。
圧倒的な力の前に、為す術なく撃滅を受けた。
極大質量の能力ハリケーンが4人を包囲したツインサイド・カリーシを崩壊、荒廃したツインサイドエリアを更なる地獄と変貌させる。
4人はその場から姿を消し、遠方へ。
エリヴェーラの血を分けた者として、生存する理由を与えられた3人。
「本当だったらもうとっくに死んでたんだよ?」
エリヴェーラの言葉に、苦痛と憎悪を味わうアルマーレ。
アルマーレはエリヴェーラへ決闘を挑んだが、宿主である彼女を負かすことはできなかった。
するとエリヴェーラは、3人をとある場所へ連れて行きたい…と提案。
提案という名の強制連行だ。
そこへ行けば、セカンドステージチルドレンの能力を削除する事ができるという。
ユグドラシルの為政者。
目標はそこにあると云う。
多元世界のワームホールを超えて来訪した場所。
そこは──、
1515年後の原世界、日本の神奈川県横浜市みなとみらい。
『私の、復讐と現実を見つめ直す物語』───。
冷え込みの激しい冬。
ティザーエルはユレイノルド大陸のセントエルダ郊外プレードサークルエルダに家族と共に過ごしている。
ティザーエルには双子の弟がいる。彼女は弟達を溺愛、立派な姉として2人の前では振る舞っていた。
弟達の幸せな姿を見ていたい。
弟達は、彼女にとって生きる糧だった。
そんな弟達が、とある訓練地に向かう。
マスターデライト。
強化人間開発育成プログラムとして発足されたこの企画。
発案者は意思決定機関イサキオスのテキスパンド議長。
私達家族は反対している。
マスターデライトには恐ろしい対人訓練内容が組み込まれているから。
この企画、発案理由にセカンドステージチルドレンへの対策がある。今日、フェーダの動きが激化している。世界の重要拠点を破壊し、向かう敵全てを攻撃している。この甚大な被害に終止符を打つ為に生み出されたのがマスターデライト。
マスターデライトでは対象年齢を13~15歳までとし、それ以外の参加資格は無い。この応募資格のハードルの低さに、最初は1000を超える少年少女が集った。
それもそのはず、このマスターデライトの目的は、セカンドステージチルドレンと対等に分かり合える能力を持つ兵士の編成部隊の最終選抜。それに選ばれれば、なんと政府からの生活支援、食糧、消耗品、家賃、セントエルダ都内の高級ラウンジ配備、等…VIP待遇が成されるという。
だから、こぞって集まる。
だが、議長が企画したマスターデライトはそう生易しいものでは無い。
今まで13回に渡って行われたマスターデライトだが、該当者は1桁。
第2回からマスターデライトの噂は一気に広まり、参加者は激減したものの、常に100を超えるエントリー数ではあった。そんなエントリー数にも関わらず、該当者なし…のケースもあった。
マスターデライトから帰還した子供達は、変わり果てた傷だらけの姿で、開かれるパノプティコンアイランドを後にする。
その様を見た保護者は怒りの声が殺到。だが、これは了承の上。だからといって、あまりにもな結末を目にした保護者は、政府にまで持ち掛け、世界国家首脳会議にまで大陸間の問題として提示された。
異例の2月開催となった第14回マスターデライト。
心躍らないティザーエルに反して、弟達のやる気は漲っている。
弟達の気持ちを汲んであげたい。
そう思ってはいるが、中々に受け入れてはくれない。
そして、約束の日が来る。
…
…
…
…
2年後。
ティザーエルは第15回マスターデライトへ参加する。
強い復讐心に駆られながら。
『私の、失望とそれを傍観する外内の花』────。
花が咲く。
イメージされるでもなく、生み出されるでもなく、必然と何かを感じる。決してイマジナリーの範疇に収まり切るものでも無い。そうした花を彼女は、見ていた。
西暦2648年7月22日──。
世界はカオスになった。
ブラッディローメイ戦争により世界は、変革を遂げた。
次第に激化する世界の国々による、攻撃はとある特定の殺戮兵器を投入するにまで至る。
ロストライフウイルス。
その名の通り生物生命を終わらせる、無差別殺人バクテリアだ。ロストライフウイルスは、複数国が所有しており、日本も所有国に該当している。既存する兵器に含有させ、それを敵地に目掛けてぶちかます。主に弾道弾…核ミサイルに含有されるケースが多数。
西暦2799年10月1日──。
ロストライフアップデート。
ロストライフウイルスを含んだ兵器が一斉に投入され、世界は大混乱に陥る。世界戦争の最盛期。
その時、とある個体の存在により世界戦争は思わぬ方向へと向かう。
セカンドステージチルドレンの再発と新人種。
ロストライフウイルスを吸引した人間は、殆どが絶命。世界人口は極端なまでに激減。だが、ロストライフウイルスを受けても尚、生存し続ける生体がいる事が明らかになる。
それが、セブンスと呼ばれる者。
彼等はロストライフウイルスを受けた事で、人体細胞が変異。筋肉質にも多様な変化が確認でき、人間を超越した存在を形作った。
それとは逆に生まれた生命もいる。
セカンドステージチルドレンだ。
だがこれは、昔に大暴れした個体とは違う。
セカンドステージチルドレンは全て死滅したはず。
それに、昔の個体と比較しても明確な差異がある。
アンデッド化していた。
生物としての認知行動にバグが生じていたのだ。データによるセカンドステージチルドレンと同様に、攻撃を仕掛けては来るのだが、屍のように生気が無い。これを徘徊者と呼び、ダスローラーとも呼称。
ロストライフウイルスを浴びた人類は3つの進化へと分岐。
一つ目は、死亡。
2つ目は、セブンス。
3つ目は、ダスローラー(セカンドステージチルドレンの成り損ない)。
人間は圧倒的にセブンスへの進化を好んだ。
そしてセブンスは、戦争の兵器として使用されてゆく。
フラウドレス・ラキュエイヌ。
彼女もセブンスとして生まれた。
愛されて生きてきたが、3歳の頃にとある事件が起きる。
親を惨殺した。
セブンスを管理するマーチチャイルドに収容。
そこから、フラウドレスは地獄を経験する。
…
…
…
…
「姉さん?」
「う、、うん…」
「どうしたの?大丈夫?凄い厳しい顔してたけど…」
「大丈夫よサンファイア」
「着いたよ。目標ポイントの座標“SHG1001”」
「全てをゼロに戻す、《パーフェクトワールド》の始まりだ」