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Lil'in of raison d'être/リルイン・オブ・レゾンデートル  作者: 沙原吏凜
第二章 祝福の臨在/Chapter.2 “Blessing”
39/81

[#35-私、相手の気持ちよりも先に自分の考えを述べる]

力があれば。

[#35-私、相手の気持ちよりも先に自分の考えを述べる]



西暦3703年1月10日──。

3年契約によって、3年遅れて施設へ送還されたアイオーニス。マーチチャイルド箱根湯本局地。そこには、後に友情を育む事となるタイダリザンがいた。アイオーニスとタイダリザンの他にも、複数人、8人程度は施設に入った。この3年間、セブンスとしての力が迸るシーンが数多くあった。

3歳児。言語を覚えるには十分な時間だった。


「お前、なんで3年間施設に来なかったんだ?」

タイダリザンが話しかけてきた。初対面の人物に“お前”?とは思ったが、まぁセブンスってこういう人達ばかりなんだろうな…とアイオーニスは理解した。

「親がね、3年間一緒にいたいって言ってくれて…だけど、あんたは?」

これが普通だと思っていた。だから、タイダリザンのこの質問には、若干の不可思議さがあった。でも、次の言葉を聞いて私は腑に落ちた。

「殺しちゃってよ」

「あー…」

「生まれて少しして、親からすっごい愛されてたんだよ、俺もそれはよく覚えている。だけど、それがなんかウザくなってよ。ンでぇ、少し力込めたら、親が吹き飛んでさぁ、なんか気づいたから、2人の右腕と左足だけが、俺の目の前にあったっていうこと」

「…それで?」

「ンでぇ、騒音ですぐ見つかって、セブンスの施設に連れていかれるかと思いきや、まさかの“戦争に連れていかれてさ”」

「…!!」

「だよなぁビックリだよなぁ、この年齢で、異国の人間を何人も殺した。でも、全然迷わなかった。なんでだろうなぁ…」

「そうなんだ…んで、なんで3年契約で施設に来た…と?」

「そゆこと。法律だからな」

「…」

「安心しろって、誰彼構わずに殺す訳じゃないし、ある程度の訓練もやってきたから自分の能力の制御もできる。大丈夫だよ」

「…そう」

「それに、アイオーニスだよね?仲良くしよーな、なんか良い奴に思えるから」

「そう、、、ありがと」

タイダリザン、別に悪い印象は感じない。こういう存在もいるんだ…と思った。

施設での生活。それは機密情報として漏洩する事は無かった。だから入る前からどのような所なのか…全く把握ができない。


そして、“収容”された。

そこは、思っていた場所では無かった。

一人ずつ検査を終えて、隔離室に入れられた。隔離室の中に入ると、力が一気に抜けた…。なんだこれ…力がグッと抜けたんだ…、、段々と抜けていく力が直立するにも絶えないほどに、抜けていく。隔離室から何かが放出されている。間違いなかった。“赤い粉塵”…?色彩が見えた。赤かった…灰色にコーティングされた見るからに冷たい印象を持たせるこの部屋…。床、壁には衝撃を吸収する素材で作られていて、中に入った者が決して暴れても、破壊される事が無いよう、対応がなされていた。そんな暴動なんて、できやしなかった…。

───────

「今日の分は、これだけか?」

「はい、そうです」

「ほう、、この子達は使えるのかな?」

「そうですね、369と375は使える人材だと思いますよ」

「…今日は、そんなもんか…」

「後の子達はどうしますか?」

「ある程度の使えるエネルギーを出し切ったら廃棄だ」

「了解」

────────

何…いま、、、なんていったの、、

「この女の子と…この男の子です」

研究員が、隔離室にて仕込まれている監視カメラで外部のリサーチルームから様子を捉える。

「ほう、このガキが…親を殺して、0歳から戦争に参加させられた奴か」

「はい、非常に危険な素体です」

「《レッドチェーン》を付けた方がいいんじゃないか?」

「いえ、問題ありません。《レッドスパーダ》のみで369の能力制御は可能という判断が下されています」

「それ、ほんとに大丈夫なのか?信用していいのか?」

「…まぁ、大丈夫だとは、、思いますが…」

「、、、付けとけ」

「了解しました」


「Code:369 シェルターアンロック」

「、、、、クソが…おい、、何しやがった…、、」

「369、君は危険な存在だ…よって、これを装着させる」

「アアアアァァア!!!」

タイダリザンの咆哮が施設に響く。

「タイダリザン…!?」

アイオーニスはそれに気づき、信号を送った。セブンス同士に送受信する事が可能な、テレフォニングシステム。文字で通信をするのではなく、線と線の描写で、感情の起伏を伝える。大きく揺れていると感情が昂っているサイン。線が複数あると…生命危機の信号にも繋がる。

「何が起きてるの!?タイダリザン!!」

「…クソ…、、だめだ、、、だ、、アイオー、、、ニス…ここは、、らちがうら、、あああああァァーーー!!!」

「タイダリザン!!!」


私達はこの日から、人間達の下僕となった。

戦争の兵器として扱き使われ、用済みとなったら、破棄される。家族には、それ相応の嘘で誤魔化されていた。

私達は真実を知った。

日本国が、勝てたら、それでいい。

他国との戦争に、勝てたら、命なんてどうでもいい。

目の当たりにした、獣の思考。

私達には、物理的な力がある。

純粋な人間達には、引けを取らない程の醜悪な心がある。それを実行する力がある。


「どうだ?これでもう、人間を殺すまでの力は出せまい」

「そうですね」

嘲笑ってる。そんなの、俺の立場だけかと思っていた。

まさか、同じ国の人間からこんな仕打ちをされるなんて…俺は思ってもいなかった。

戦争に参加した時、俺は0歳。言語能力は無いが、話し手からの受信のみで、事は伝わった。

暴れる精神。心の抑制。神経に電流が流れてるかのような、刺激的な血液が流れる。内側から彷彿する圧縮されたバネのような力…。とても歯止めが効かないんだ…。出さなきゃ…って。出さなきゃって…なるんだ。。

そうしないと…苦しいから。生きてるのが…、、“意地”なんだと思う。

でもいつしか、人間の評価で自分のアタッカーコントロールが制御されていった。誰かの傀儡になっているようだった。でも結局裁きを下してるのは自分。自分が最後の判断を決定している。

でも、何故か…。そう思う。

誰かに、言われてるから。

誰かに、そう習ったから。

誰かのを、見たから。


…、、、、、、


判らない。

でも、取り敢えず、意地である“答え”を継続させた。

親が吹き飛んだ時を覚えている。

肉片が家中に散る事が無く、胴体が壁に叩き込まれた。真っ白い壁は、血で覆われ、肩から突き出す骨は赤い壁となった事で、よく目立つ。めり込まれた2人の身体。足へ滴り落ちる血液が、自分と同じ心臓のビートを刻む。心地よい鼓動のリズムと共に、ポトン…ポトン…ポトン…とそれは着々と音を変えた。ポチャ…と。床に広がる多量の血液が、溜まりとなった事に音楽で気づく。吹き飛ばされた時に、2人は瞬時に何かを掴もうとした。出っ張り、扉。轟速で飛ばされたが、2人はその速さを自分の力で減らそうとした。その結果、母は手を。父は足を失った。裂かれた部位から、多くの流血が確認できる。身体に置いて行かれた部位。流血は多いが、諦めているように感じた。代わりに血管がビンビンしていた。肉体を求めてる。探している。突如引きちぎられた管は、未だに家主を待っている。床へ、無惨に置かれた手と足。部位からハッキリと目視できる、か細い血管。切断部分からはみ出すように、それは…“よく目立つ”。

「……、、」

2人が俺に話しかけている。でも言葉では無い。息。息で伝えようとしている。無理なのに。無理なのに、この2人は、何かを伝えようとしている。

諦めればいいのに。

息で言葉を形成しようとするが、息を吐く…吸う…この言動が、2人の生存率を極減させる。なんと言ってるのか…何を喋ろうとしているのか。生気は感じ取る事ができる。

でも、もう無理。

俺は、2人に、申し訳無いとは思えなかった。

必然的な出来事だと思ったんだと、今考えてみれば判る。

西暦3700年6月29日。

俺は両親を殺した。

同年7月1日。俺はその力を見込まれて、戦域に投入された。人々が阿鼻叫喚する血腥い場所へ。俺は役目を果たした。日本は戦争にて、初のセブンスを投入した事により、世界から非難された。

─────

「まだ0歳である能力者を兵器として採用するなんて、人の心が無い!」

「日本は、恥という文字を知らない!」

「子供でもない、まだ理性も何も無い、腹から出た直後の子なのに!」

─────

当時の日本は、勝てたらそれでよかった。俺も言われるがままに行動してたと思うから、深くは考えてなかった。今、考えたらめっちゃムカつくけどな。


そんな兵器としての役割は、突然終わりを迎える事になる。その原因は、俺にあった。

運命を変えたのは、あの日。

西暦3702年12月29日──。

アメリカとオーストラリアと日本とマレーシア諸島群。

4つの国による、互いの力の示しを合わせる戦いが始まった。戦場となったのはアメリカ領内・ハワイ島。奇しくもこれが1761年前に起きた、《真珠湾攻撃》と重なるシーンが多々あった。この戦争はブラッディローメイ戦争中に起きた巨大戦争の一つ、《パールハーバー大戦》と呼ばれる。

まず、日本がハワイ島への先制攻撃を開始した。日本は1761年前の真珠湾攻撃を彷彿とさせる殴り込みを敢行。無人稼働航空機による特攻を行い、歴史のアップデートを行った。アメリカは当然、それに激怒。日本の暴走を止めようと、オーストラリアも参戦。一時はアメリカとオーストラリア、そして日本の対立構造が発生していたが、そんな簡単に人を信じれる世界では無くなった。

オーストラリアは、アメリカに近づき、戦況を一変させる程の大打撃を与える事に成功した。虚をつかれたアメリカには、長時間の回復期間を設ける必要があった。だが、そんなものを待つような生易しい国は、この地球上にはいない。

スプラトリー諸島連合軍とマレーシア軍が、この機を逃すまい…として、ハワイ島へ機動部隊を参戦させる。

──┨┠

日本vs米国vsオーストラリアvsスプラトリー諸島&マレーシア軍

┨─┠

この小さな領土で、ここまでの国が参戦する戦争になるとは思っていなかった日本。戦場からの撤退も一理あったが、ハワイ島周辺には、スプラトリー諸島連合軍の艦隊が配置されていた。機動部隊を投入し、遅れてやってきた本隊が、闘争を画策する他国兵士を皆殺しにやってきたのだ。タイミングといい、完璧な作戦と言えよう。

疲弊し尽くした兵士なんて、歩いている肉体も同然。

ハワイ島内では日本、米国、オーストラリア、スプラトリー諸島連合軍&マレーシア軍が、恐怖と混乱と憤怒に駆られながら、争う時間を過ごしていた。どの国も引けを取らない最高戦力とも言うべき、開発兵器で、“圧倒”を連鎖的に生み出す。

その中でも特筆すべき存在は間違いなく、俺…にしたかったが、敵国でもセブンスを投入する戦線を企てていた。

米国から2人のセブンスが本土からハワイ島へ直行。

タイダリザンと会敵する。

「あんたも浮けるのね」

「君、日本のセブンスだよね?」

「…、、、だったら何?殺されに来た?」

「ハッハッハッははは!笑わせるよね、ほんとジャップってむっかしから変わんなーい!」

「自己紹介しよう、私は《デイスクワーシュ》」

「んで、私は《エルディスキス》、殺しに来たの!ヨロシクね!あんたは…アノー…、、えぇーっと、、、ナンダケ?」

「タイダリザンだろ?」

「そう!!ソレ!タイダ!ねぇええ?タイダぁ?あんたの噂はよく聞いてるよ。世界で一番最初に戦争に投入されたセブンスなんでしょ?」

「…、、」

「イイなぁ…私達、暇してたんだよぉ?“まだこの子達は早い”って…なのに、日本はもう既に使ってるって言うじゃない!ほんと、あんたらって勝てたら何してもいいんだね。1000年前の真珠湾攻撃から何にも変わってない」

エルディスキスの顔が、後半になるにつれて、険悪な表情となる。

「お前達が攻撃した場所。どこか判ってやってるんだよね?」

「あたりめぇだろ。だから狙ったんだよ」

タイダリザンは、睨みながら語気を強めて吐いた。

─────

「あんた達、、、ほんんとにサイッテー」

「ジャップが」

─────

不敵な笑みを浮かべるタイダリザン。

「なんかあんたとは分かり合えるかなぁって少し思ってた」

「そう、同じセブンスだから」

「でも、もう無理」

「もう無理だ」

「お前を、殺す」「貴様を、殺す」

「、、、、ハァ……光線撃っときゃ終わりだと思ってたけど…そんな感じじゃ終わんないのかな…」

タイダリザンは、2人を馬鹿にした口調と言葉で腐す。

「舐めるなよ」

「そうよ、あんまり、、舐めないで…ネェ!」


「隊長、マウナケア地区サウスコハラリゾートにて、タイダリザンが米国セブンスと会敵。戦闘が開始されました」

「能力者同士の戦いか…巻き込まれるのは御免だ、我々はプナルウ海岸からキラウエア火山へのルートに変更だ」

「キラウエア火山ですか…」

「そうだ、キラウエア火山の火口に向かい、ナパーム式リモート爆弾をお見舞いしてやる」

「それ…上空からの航空爆撃でイケるんじゃ…」

「お前、能力者同士の戦闘が、地上で終わると思ってるのか?」

「…、、、まさか…!」

─────

「そうだ、セブンスは…“空をも舞台にする”」

─────




「…ウバァ…、、、ハァハァハァ…、、、おい…、、お前…ハァ…、、なんなんだよ…、、」

「弱ァ」

「はぁはぁはぁはぁはぁ…おい、、、デイス!…」

「二度と歯向かうなよ」

タイダリザン、デイスクワーシュとエルディスキス。

1対2となったセブンス能力者同士の戦いは、タイダリザンが勝利した。タイダリザンが2人よりも強かった…と言えば、戦闘報告データに向き合う時間は大きく省略する事ができるだろう…。セブンス同士の戦いは、書き記すべき事案が発生してしまった。簡潔には詳細を纏めれない。

─────

タイダリザンが、米国セブンスの並べ始めたのだ。

─────

3人の戦い。始め、戦況は互角とも言うべきものだった。セブンスは、現在2歳児。彼等セブンスは、自身に宿されている高エネルギー熱源機関を外部へ出力する事で、それを具現化し、戦闘手段の代理として使用している。《擬似顕現“ルケニア”》とも言う能力。

タイダリザンが顕現するルケニアは、“ケルベロス”。三頸の狼。暗黒に塗れたダークマターエネルギーを彷彿とさせる闇の力だ。

米国セブンスのデイスクワーシュは“白鳥”。エルディスキスは“コウモリ”。ケルベロスに比べると、攻撃性のあるルケニアとは言えない日常世界に害を与える事はない生物。だが、セブンスの手にかかると生物は、顕現者に対して力を与える。顕現者には、対象となる生物のこれまでの“アーカイブ”が、全脳にインプットされる。セブンスの人格形成はルケニアの性格を多分に継承しているとも言われている。

ルケニアとしての役割は、一つ。セブンスである“創造主”の身体を守護する事。ルケニアの種類がどのようにして、創造主であるセブンスの身に宿るのかは、確固たる結論が出ていない。遺伝子レベルによる問題とも噂されているが、未だにそこは研究対象になっている。

ケルベロスの元に、白鳥とコウモリ。主に飛行を生存本能として持つ後者の2体。ルケニアの戦況はそんなものでは変動する事は無い。結局は力と力のぶつけ合い。タイダリザンの顕現ケルベロスには、高い跳躍力がある。瞬発性と機動性に優れたケルベロスにとって、米国セブンスの顕現はどうってことない。

顕現白鳥からの両翼から出力されるエネルギー波による波状攻撃。ハワイ島の沿岸部は顕現白鳥のソニックブームにより、大津波を引き起こした。スプラトリー諸島連合軍の艦隊はその影響により、一個大隊を壊滅させられた。顕現コウモリからは、可視化される超音波波動。周辺にて戦闘を行う、米国以外の兵士には当該超音波は、人体への絶大なダメージ損傷に十分なものだった。

でも、タイダリザン、顕現ケルベロスには効果が発揮されない。どころか、目標を捕捉することができない。そのぐらいに回避性能に長けている顕現ケルベロス。

《顕現獣》の攻撃に隙を発見したタイダリザンは、2体のルケニアに一矢報いる攻撃を果たした。顕現獣が戦闘行動を起こせないレベルの事象になった場合、その顕現者には同等の影響を付与する事となる。ルケニアを背負う者としての“代償”…或いは“呪縛”という事になる。

「お前、、、その三頸…なんなんだよ…」

「もう二度と姿見せんな」

「よせぇーー!!!」


───◈───

デイスクワーシュ、エルディスキス、殺害。

───────


この報せは、直ぐにハワイ島全域で戦闘を引き起こしている兵士に伝わる。米軍は最高戦力を失い、意気消沈。もう殺されるのを待っているかのようだった。日本軍とスプラトリー諸島連合軍とマレーシア軍は、米軍艦隊への集中砲火を開始。米軍は大敗を喫した。

3つの国は互いに休戦協定を結び、ハワイ島からを後にする事となった。だがそれについて、タイダリザンは許せなかった。

何故…?

なんで、ここまでの戦争を起こしたのに、こんな中途半端な形で終わるんだ…。

お前たちは何をしに来たんだ?

人を殺しに来たんだろ?

最後までやり通せよ。

貫けよ。

なんで曲げるんだよ。

どうせ、誤魔化してるんだろ。

他国を潰さなきゃ、日本に未来は無い。

現在、日本は他国との抗争激化によって、支援を要求するフェーズに入っている。

はぁ?なんでだよ。

なんでそんなことをする?

俺のような存在がいるのに。何故かそんな守りに入る様な感じになってる。

┠──────┨

ねぇ?

───────

あぁん?

┠──────┨

ねぇえ!さっきっから、ずーっと呼んでたんだけど!

────────

なんだこいつ。

┠──────┨

あなたってほんとうに、どうしようもないぐらいに感じ悪いよね。

────────

誰か知らねえけど、何を言いに来た?

┠──────┨

あなたの言う事、尊敬してる。確かに、戦争するためにこんなにもの人類が集まったのに、協力関係を築こうとしてるのはおかしな話だよね。だから…

────────

┠──────┨

変えてみよーよ!あんたの力で!

────────

何言ってんだ。…、、、、、、

┠──────┨

どう?なにか感じない?何かがさぁ、流れる音。身体の中で、暴れ回る細胞を。どうにかしないと、中から身体を破壊しそうになっちゃうよ?

出さなきゃ。ねぇ?出してみてよ。

それともなに?人みたいな感じになるのー?

一緒じゃないんでしょ?

あなたは。じゃあやってみてよ。

“見ててあげるから”

────────


判らない。誰か…女が俺の耳元で囁いた。

気づいたら、自分の身体からは大爆発を放っていた。

最終的に下したのは、自身の決断。だけど何者かから、背中を押されたのは否めない。

俺が起こした爆発。

それはもう、どうにもならない程に、全てをリセットするには相応しい殺戮能力を有していた。ハワイ島は壊滅。兵士諸共、無差別に命を奪った。当該爆発は、ハワイ島で収まらず、日本が前線基地として建設したラボ等の施設があるオアフ島にまで影響を与えた。

広島、長崎の原爆を想起させる、超極エネルギー搭載の熱線、中性子線とガンマ線が融合した攻撃性に振りまくった悪魔的な殺戮システムが、タイダリザンの引き起こした爆発にはあった。効果は絶大。だが、無差別になってしまい日本軍の拠点も破壊。それどころか日本軍兵士も全員死亡。その時に生存していた兵士は、いなかった。

どの国の兵士も、タイダリザンの爆発で死亡。あまりにも結末に、上空、応援部隊としてハワイ島への爆撃を予定していた日本軍航空船団は言葉を失う。

気を失っていたタイダリザンは、船団によって回収。要注意人物として指定され、これ以上の戦争への参加を禁じられた。タイダリザンの再処遇に関して、政府は一つの解を提示。

それが《マーチチャイルド》への送還。もう少しで、生まれてから3年。それに元々は親を殺した直後に、送還される予定だった。だからこの政府の回答は当たり前。


そして、現在。

西暦3703年1月10日──。


施設での生活。それは、今まで日本政府が隠し続けてきた現実を直視する事になる。


私には全てが無い

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