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[#33-私、あなた達を拭いたくない]

更なる物語。

[#33-私、あなた達を拭いたくない]



花が咲く。私の前に花が咲く。一輪の花が、これでもかってくらいに咲いている。綺麗な花。私はその花に惚れていた。花の事を考えていると、自身に植え付けられた“過去”を一時ではあるが、忘却する事ができるからだ。一時…うん…そう。完全にぬぐい去る事なんてできない。一輪の花が揺れる。私の今の脳みその動きを表しているかのようだ。頭が痛い。痛い。痛い…、、、ズキズキする…、、内側から攻めてくる…雑音とノイズを発生させながら、私を追い込んでいく。無造作に流れるピープ音の中には、二度とは聞きたくない兵器の音が聞こえる。これを聞くと、私は…気を失いそうになるんだ。苦しい…。

┠──────┨

「あの日に、戻りたい…。」

────────




「こちらデルタシックスナイン、目標地点との距離、あと120」

「了解した。こちらは予定通り、マクシオスにて待機する」

「高速飛行形態起動。ウィングパージ」

「キルアウト殲滅対象、現在の所、増加傾向なし。依然警戒を続行する」

「アシストレーザー、給弾及び全電力の回路を当該兵器へ最優先」

「緊急時用のインターセプト強襲機を円環シフトで固定」

「航行機関による廃熱煙が予定値よりオーバーしている」

「了解、担当職員は至急、第6シェルターでのプレハブ技工に着手して下さい」

「右舷側にタイムパワーの効力を損失した箇所を発見した」

「左舷の状況は?」

「左舷側は問題なし」

「で、あれば応急処置の必要は無い」

「多次元ホールの兆候は?」

「未だ開門する気配すらありません」

「インターセプト挺に伝えろ、多次元への兆しを発見次第、メインウェポンでのカチコミでこじ開けろ」

「了解」

「全隔壁搭載中のダメージコントロールはC5からT7までをマキシムに設定して下さい」

「現在、気象性に不安定な微弱即振動を確認中」

「ウェザーウェーブW2機構で対応可能なマッチングポイントを検索しろ」

「飛行に問題が無ければ、全ての諸問題は今の内に解決しておけ」


西暦3717年4月23日───。

空、航空機内──。


「でな、俺がシングルでやってる時にぃ!こいつが助けてくれてさぁ!本当にありがとなぁ〜」

「ちょっと、もういいって判ったから!集中してくれない?」

「いいってそんなの!もうどーせ、しょうもないヤツらしか残ってねぇんだからよ。大体こんだけの人数の要請なんだからさ、きっとヘナチョコ達の集まりだろ?」

「うーん、、、まぁそうなんだろうけどさぁ…ねぇ、もうあんたもなんか言ってくれない?」

「…なに?」

「はぁ…もうこのチンカスがうるさいんだよ…」

「誰がチンカスだ!俺はそこまでの底辺のカスじゃない!」

「フンっ、カスはカスって言うことなのね」

「アァん?なんだとこの尻軽女がァ!!?」

「なによ!やるっていうの??」

「うるさいなぁ…もう」

「だってこの男が!」「だってこの女が!」

「2人とも…静かにしてよ…」

「はぁ…判ったよ…《フラン》」

「フランが言ってるから、止めてるの?あんたダサいねぇ」

「ぁあん?」

「あんたフランにボコボコにされてたもんね…アッハハハ!」

「このアバズレが…ァァァ」

「《アイニス》、《タイダ》には教育的指導をしただけよ?次はあなたにもしようか?」

「…!、、、私は、、理解してる…から、、だいじょぶ…」

「そう…、、なら、いいけど」

────────

2人がフランから遠のく。

「もうフランってほんと、あんなに可愛いのに、怒るとめちゃくちゃ怖いんだから」

「んな、もうフランには大人しくしてもらわなきゃな…」

「あんた…フランとの決闘の事…全然話さないけど、、、」

「ああ、、フランは…違う…俺らとは違うんだよ…」

「はぁ、またそれしか言わない気ぃ?もっとシャキッとしなさいよ!シャキッとぉ!!」

「うるせぇーな…お前もフランと殺り合ってみろよ」

「やだね、あんたの血だらけの姿だけ見て、フランと決闘しようなんて、思うバカなんていないよ」

「そうだよな…」

「あんた、、、ほんとに馬鹿ね。大バカよ」

「はぁ、、なんでなんだろうな…なんで、フランに仕掛けたんだろうな…」

「何言ってんのよ、あんたのいつもの事じゃない。“気に食わないやつは食う”」

「でも、私の事は、、、食ってないよね」

「当然だ、お前は強い事が直ぐに判ってるからな。同じ《セブンス》の力を出す身として」

「フランもそうじゃない」

「フランは…判らなかった…」

「はぁ?」

「わかんねぇんだよ、最終的にフランはセブンスだと識別されて、今俺達と一緒にいる…」

「ほんと…わかんないのよね、、あの子…」

「末恐ろしいな…」

「あんな可愛いのに…」「あんな可愛いのに…」

─────

「2人とも…何してるの?」

「エェッ!」「ウェエオッ!」

「ふ、フラン!?」

「2人とも何してるの?なんかずっと私から避けてる気がするんだけど…」

「イヤイヤ、んな事あるわけねぇだろ?」

「ホント?」

「ああ」

「ホント?」

「う、うん…そだよ?」

「そ」

フランが立ち去る。

「まさか、聞こえてた?」

「んなバカな…《サイトカイン》を埋め込んでるんだぞ?同じセブンスだからと言って、それとこれとは別の話だろ」

「フランは…なんか私達とは違うんだよ、おかしいもん。あの強さ…」

「あの日か…」



同年2月3日──。


そう、あの日。私…《アイオーニス》と《タイダリザン》は、《第10次SSCキルアウト》、つまりセカンドステージチルドレンの成り損ないの信号を確認したとして、セブンス総合指揮所から急行した。私とタイダは、セブンスと呼ばれる進化人類の完成系だ。


西暦2648年7.22──。


今後の世界を変える大災厄《ブラッディローメイ戦争》が起きた。戦争の始まりはちょっとした小競り合い。経済と金融。そして、とある兵器開発による予算の援助。絡み合った糸と糸が次第に途切れていき、それは引きちぎれるほどに両端へと引っ張られていく。小国と小国の戦争だったものは、激しさを増す。隣国への影響を多分に受けさせた凄惨な戦い。地域戦争は世界を歪める血に塗れた大戦争となった。最初はヨーロッパ方面からの進行だった。思惑が人を悪魔に変えた。いや、悪魔は元々、人に存在していた。ただ、そのリミッターが外れただけ。

ヨーロッパの国々では大勢の民が恐れを為し、逃げ惑った。地域戦争までの出来事は対岸の火事、世界の国々にとってはそんな程度の話だった。ヨーロッパ中の逸脱した攻撃思想は、“開発中だった特殊兵器”を投入させるまでにシークエンスが移行した。もはや実験場のような、“試しの場”としては最適だったのかもしれない。国々が秘密裏に開発していた兵器。一つの国が投入すると、俺達も、私達も…と悪魔の思考は伝染していく。そうやって、地獄の一路が辿られる。多種多様なテクノロジーの成功と失敗が地上にめり込まれる。成功は、他国兵士の殺害。失敗は当該兵器の不良爆発による周辺人物及び、兵器のシステム管理統括兵士の死亡。

連鎖的に発生する人の叫び声。終わりの見えない果てしない戦い。人の思考というのはあまりにも単調だ。何万もの脳みそがあるにも関わらず、最終的には皆が“同じ考え”へとなる。非常に意味の無い、マッチメイクだった…と結論せざるを得ない戦争。戦争に参加した人間は、疲弊し、皮が削がれていき、肉体を破壊した。だが、肉体よりも先に、精神面…及び、心の問題が先行していた。心にダメージを与え、戦闘行動を行えない事態にまでパニック状態を発作した。それにより、戦場となって市街では、肉体が残置されたままで、兵器の攻撃をまざまざと受けてしまう…という地獄が作られた。

ヨーロッパにて行われた地域戦争は、国家間の威信がかかった世界戦争の引き金に過ぎなかった。ヨーロッパから発展する地獄の流れ。血の流れ。流血はそこで留まるレベルの事態では止まらない。止まることは無かった。核弾道弾《ストームシャドー Crosspress》が英国から発射され、戦争は急変する。英国が発射した核弾道弾が、何者かの影響でロシア領内に方向転換。落下地点は、オーストリアの予定だった。英国の意図にそぐわない、当該攻撃によりロシアの反感を食らうことになる。

ロシアの反撃が始まり、戦争は第2フェーズへ移行。人が人として生きられる世界は、もう消えてしまった。世界中の人々は毎日、戦争と隣り合わせの世界を生きる事となった。人の心がいつ何時も試用される、人類史上最悪の時代の幕開けとなったのだ。

戦争は人の奥底を変える力を付与した。人格の覚醒は、様々な場面に於いて、大きな働きを露わにしていく。大きく分けて2つの言動が世界中で発生。

1つは、争いへの参加。2つ目は、戦争への反旗、レジスタンスとも捉えられる事案だ。奔走する人は少ないどころか、多くの現場でその模様を確認する事ができた。人々は声を上げ、戦争への反対運動を行うが、“他国への勝利”という甘い言葉に踊らされた人々によって、反乱の肉声はかき消されていった。

戦争とは相反して、加速していた世界各地で起こる謎の自然現象デザートスナッチ。所謂、砂漠化現象。この砂漠化現象は地上に咲く花へと影響を与えていなかった。単なる地球に対しての、攻撃性のある自然現象では無い事が上記の不可解な事案で理解できる。

そんな悪影響を受けていない花が、人間による悪性に満ち満ちた愚行で、塵と化す。戦争は非力な人間の生命を奪うだけでは無く、植物としての在り方さえも葬り去る。崩壊した都市の地面は砂漠化し、機銃掃討の弾痕が戦の禍々しさを物語る。花園であった場所は、敵国への殲滅兵器と兵役の生活、管理、鍛錬を想定し、城塞が築かれた。この人類達に、人間以外への生命に対する信条などは無い。可憐に咲いていた花。数多くの兵器による攻撃を受け、花園は焼き払われる。とても見れた光景では無い。

戦争によって植物性のある生命は、極端に減少。だが、不思議な事に自生する生命が一定数確認できた。地球が何らかの信号を発信しているのか…或人はそれを《花の魔力》と提唱した。戦争の影響で汚れた外気。多くの生命体がその外気汚染で枯れ果てた事に対し、現存しえる個体もあった。

──────❈─────

戦争が生命を変えている。

────────────

これは人間だけじゃ無かった。生命の進化は人間だけでは無い。特に、植物は強かった。戦争へのレジスタンス集団は、その強き花を囲み、神からの贈り物として守護した。彼等はそんな花々を《メリバ:コードJD》と呼んだ。

戦争を嫌う者達の意に反して、現存する地球上の人類7割は戦争に出ている。この相対する2つの人種。血道をあげる時代は長きに渡り続く。それによって崩壊も早い。連日更新される戦況は、生存する人間を少しずつ変化させていった。最初は少しずつの変化だったが、段々と“変革”という言葉が適切なまでに、戦果の環境に適応した存在を生むことになった。

最終局面を迎える世界戦争。アメリカは抑制してきた大量殺戮兵器を投入。核融合によって発生する熱核エネルギーを保有させた“中性子”。この中性子が弾道ミサイルに含有され、落下する直前で中性子が広範囲にばら撒かれる…という最悪の兵器。中性子はマイクロサテライトとも呼称できる、小型爆弾。半径6kmを中性子が飛び散り、落下地点であるミサイル爆心地には、当然の結果が確認できた。

アメリカの惨き一手によって、雪崩を打つように他国の進撃は激化する。同時に、人間には更なる進化が求められたかのように思われた。


この偉大とはとても言えない、醜い…醜悪を尽くしている戦火の後の世界…。

ブラッディローメイ戦争が起きてから、349年後…。


《エリヴェーラ編》

《ティザーエル編》

《???》

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