ep.18:終局の宴
知っていますか?
人の頭の中を。
人の頭の中って、善と悪が混在して出来ている。
その2つの相反する人間性って、結局は双璧を成すものでも、真逆に位置にあるものでも無いんだ。
全ては人間がどう操るか。自らの感情をどう制御していくかによって2つの感情っていうのは、同じものになるんだ。
じゃあ制御していない時は?
それは…
人を壊す時さ。
#18-終局の宴
「降下攻撃部隊、アンカーレス!降下シークエンス移行開始!」
「了解、これより出撃する。」
「にんげーん!まっててねぇーん。」
「ポッドドングリ、降下軌道残像ラインへ。」
フェーズ2が始動。
《コードメイア》《コードギリス》の2つの部隊が先陣を切る。
ツインサイドへの第1アタッカー部隊が遂に降下を開始。エゼルディ乗員のオペレーター達は、巨大なスフィアシュバルツを生成。ツインサイドと周辺領域を分断。
遠方からの援護を断ち切ったのだ。それと共に、もう確実にツインサイドからの脱却は不可能になった。
その壁状になったスフィアシュバルツは宇宙空間にまで続いている。宇宙から飛来する者以外の侵攻を阻害した。
周辺領域から目視できるツインサイドは、亜空間のように漆黒な世界。時折に見せる変色のタイミングで内部の状態、薄黒い膜を通してツインサイドを視察する事ができた。
「凄いね!!人間がウジャウジャ騒いでるよ!」
「情けない…こんなに騒いでも意味ないんだ」
「最後の生存の時…楽しませてあげようじゃねぇか。」
「そだね!見飽きたら殺ソ!」
「これが、新世界。」
「これが、長年夢見てきた光景。」
「これが、みんなの願い。」
─────
そうよ、わたしがでてくるいみでもある。
─────
エゼルディがサークルを描くように航行中。
高高度降下空挺攻撃部隊、第1波コードメイア、コードギリスが地上に向けて遊覧中。地上の軍隊がフェーダ目掛けて発砲を開始。総攻撃を仕掛ける。
「ちょっと!!壊れるでしょーが!」
「まったく、、、空気というものを読めないものかね。。」
ポッドドングリが急加速。
ふわふわしながら、地上はの航路を歩んでいたが人類からの先制攻撃に腹を立てた。
セカンドステージチルドレンへの制圧兵器を完全に失った今、人類に残された攻撃手段は保有している軍事力を最大限に活用する…ということだ。逃げも隠れもできない…。だったら受けて立つしかない。
守る者のために。愛する者のために。自らの命に懸けて…。やれるだけのことをやる。
──◈
「ねぇ、今さぁ?何かを決心したよね?」
◈─
「したよね?今ぁ??キャッハッハッハッ!!くだらない ぁーい!私お前らみたいなゴミの分際で「いきなきゃ!」とか抜かすヤツ、だァァァいキラッい!早く殺してあげる。」
「おい…今の聞こえたか?」
「はい、、、聞こえました…。」
第1波の降下する地上に迎え撃つ兵士全員に、その声は聞こえていた。脳裏に烙印を焼き付けられたように、それは痛く聞こえた。
ツインサイド防衛人工知能が第1波の降下攻撃部隊に高エネルギー反応を確認。その数値は今までのフェーダとの交戦記録から算出したデータよりも圧倒的な戦闘力を提示した。
「桁違いの数値だ…。」
「オリジナルを食ったか…、、」
「各部隊に連絡する。セカンドステージチルドレンがまもなく現着。剣戟軍は現在ツインサイド領域に出現した謎のバリアの突破を画策中。成層圏にまで達している事から、スターシップでの“ツインサイド直下突撃”が最短でのルート確保だと思われる。それまでに耐えてくれ。」
「緊急事態宣言発令、緊急事態宣言発令、オリジナルユベルの識別信号が、降下中フェーダメンバー全員に検知されました。格段な能力の増強を遂げています。…ハイスピードリサーチ成功、サリューラス・アルシオンの微量な細胞粒子を並びに検知。彼が《ユベルゲノム》を分与した模様。現在、彼らの感情を読み取る《“内的宇宙の盗人”イマジナリーシーク》は不可能。暗黒で埋め尽くされた冷酷非道なマイナス思考。結論、戦争を予期。」
多次元医学人工知能スーパーコンピュータ《アルフォンソ》が回答を提示する。
地上で各々が所持する武器を構える陸軍兵。汗が滴り落ちる。渇ききった唇と歯軋りで自身の身震いを静止させる。動揺が止まらなかった。
「はじまる…。」
「ああ、そうだ。セカンドステージチルドレンがツインサイドに降りてくる…。」
第1波が《ツインサイド・ノースタートルズ》に降着。
「さぁ!人間どもぉ!今日で人生、終ワらせテあげる。」
エゼルディ空挺内──。
「遂に降着したな。ツインサイドに」
「目的はここからだ。ん?なんだアレは?」
「んー?どれ?」
「あそこだよ」
「え?」
「あそこ」
「どこ?」
「あれだって」
「なによ」
「あれだよ」
「はぁ?」
「あーれ」
「はい?」
「あそこに見えない?」
「あーーー、、?」
「え?」
「あれよ」
「どれよ」
「んん?」
「もういいよ」
「…え?」
「はァ」
「ん?」
「ん?」
「あれ?」
「うんそう!」
「あれか!」
「うんうん!あれあれ!」
「あれね!」
「そそ!」
「絶対にデッキとユウチ近づけんなよ」
「血管引き抜こうとするからな」
「腕掴んでそれをもぎ取ってな…」
「風穴が空いた所に指突っ込んで、血管触るんだぜ?」
「うーわ、もうアイツら頼むわ…マジで」
「俺絶対にそこ居合わせたくないわ」
「俺も」