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ep.15:Ark Jamming Post 100

信じられません。まったくもってこの事態を受け入れる事ができません。ですが、我々はこの光景を甘んじて受け入れなければいけないのです。この戦いから離れてはいけません。見向きもしてはいけません。皆さんの声で、勝利を手にするのです。私達はアイツらとは違う。一人では無い。

[#15-Ark Jamming Post 100]


エゼルディがアドバンスドユダフォートから姿を消したその様子は、遠方にて捉えていたテレビクルーが全世界へ同時生中継。


海上要塞とも言われている母艦基地が大火災を発生させ沈没するという禍々しい映像。

世界はその地獄とも言えるリアルから外れた恐ろしい現実に対して、虚構を願った。


アドバンスドユダフォート脱出から12時間後──。


エゼルディは《第44回世界国家首脳会議》が開催される《ツインサイド大統領府》の最上空、成層圏に中空していた。


サリューラスは《電波観測衛星ホークアイ》をブラックジャミング。


当該衛星は、商用目的のために宇宙空間に存在する衛星。これをジャミングする事により、地球上から発信される全データベースへの侵入が可能になる。


超膨大な人類のネットワーク《インフィニティネット》。


インフィニティネットへの介入は、通常サーバーでは到底困難。更にネットワーク上に存在する門番メサイアが自動防衛システムの役割を果たしており、サイトシステム関係者以外の立ち入りを一切禁じている。

この先、メサイアを突破できる手段がこのホークアイを使用した作戦だ。電波観測衛星ホークアイが地球上の強力な発信を行える観測所元を洗いざらい捌き、全ての“発信”マキシムハッキング砲門をインフィニティネット《ゴッドゲート》へと向ける。

観測所元それぞれには、電波信号の特性がある。


大小の幅、微弱振動による波長で情報伝達を行う等、コピーペーストした観測機構もあるがその多くは、個々の特徴的な波長指数で構成されている。通常衛星では成功する事が長期間に及ぶハック作業をホークアイでは、数分で終結させる事が可能なのだ。


陸上そして海。戦艦からも発信されている電波信号。

地球上全てのマキシムハッキング砲門がメサイアを殲滅、残存したマキシムハッキング砲門がゴッドゲートへと攻撃を開始。そのゴッドゲートを突破し、“向こう側”へと行き着いた。そのゴッドゲートには世界が秘密裏にしている様々な裏のデータが保管されていた。その中にはサリューラスの目に止まる資料が一つ隠されていた。


「ユベル…」


他のネットワーク情報には目もくれず、サリューラスはそのサイトに目を向けた。多くの情報が裏世界にて保管されているゴッドゲート。

ここに眠る全ての情報を握る者が現れた場合、この世界の源と衝突する未来が待ち受けている。

文字が列挙されていたり、謎の図式で暗号化された“封殺の書”。

一つの個体の力では無い、多くの生物がそれぞれの過去を見つめ直し、多様な観点から作られる。

宇宙への旅が一つの命で成し遂げられた訳が無い。

広大なネットワークフィールドを使用し、フェーダが策略する事。その一つは、“監視”だ。

現在、ツインサイド大統領府は一年に一度の世界会議ともあり、パレードが開かれている。《グローバルワーキングコネクション》では、各国のリーダー達が会合をすると共に、国同士互いに手を取り合う、溝を取り除いて親交を深め合う、尊重を忘れる事無く、問題を抱え込まずに。


世界の情勢を重んじて、次なる一歩を慎重に進もう…というあまりにも平和を大事にしすぎているパレードだ。

豪華な飲食店の催しや、その国特有の消耗品、家具、アクセサリー…国々の良さを存分に発揮させた異国情緒溢れる毎年大盛況のパレードだ。《グローバルワーキングコネクションパレードエリア》の広さは3万4千平方メートル。

かなりの民間人の参加が見込まれる。


世界国家首脳会議開催は定刻19時。


エゼルディからのブラックジャミングでツインサイドを監視する。ツインサイドの防衛体制はアドバンスドユダフォート襲撃の件もあってか、相当数の部隊が領地を警戒・巡回していた。

戦車が大隊編成、攻撃ヘリコプターが8機等間隔で警備。


「ありゃー、こりゃあ、すごい警備の数だね。。。」

「だが、マザーコピーを破壊した今、最新のアンプル装填は不可能だ。よって、今装填されていたとしても、烈火の一途をたどっている攻撃を浴びる事になる。」

「って言うことは、、、」

「そこまでのダメージは無い…って言うこと?」


「唯一の警戒すべきポイントは、これ。《レッドテラフォーミング》」


「ツァーリ・ハーモニーを奪取した理由のやつだね。」

「そうよ、このツァーリ・ハーモニーが役立つのは、このレッドテラフォーミング突破。このデカブツに一役買ってもらうわよ。」

「通常のアンチSゲノムブッシュは、時間が経つ毎に効果の低下が作用する。だが何故か、レッドテラフォーミングには、それが作用しない。今の今まで、アンチSゲノムブッシュが装填されてからずっと、“原液”なんだよ。永続的な効果をみせるレッドテラフォーミングは、今までフェーダが見過ごしてきた理由の一つだった。」


「オリジナルユベルを失った今、人類は防戦一方の状態だと言える。そこを突く。」

現在のツインサイドは、国際的な祭典、そして昨日の襲撃事件もあり世界最大の軍事師団を投入している。まもなく、緊急の連絡で応援に向かう部隊も各国から到着する。だがそんなのは、フェーダからしてみれば最後の悪足掻きにしか見えなかった。


┠─────────

ツインサイドにて…とある兵士の想い。


昨日、アドバンスドユダフォートが大打撃を受けた。攻撃を決行したのは他でも無いフェーダ。彼等は無差別に兵士を殺し、アンチSゲノムブッシュのマザーコピーである“オリジナルユベル”を簒奪した。

サリューラス・アルシオンという男と融合したと思われる。フェーダがサリューラスを欲しているように、人類側もサリューラスを必要としているのだ。

それは、サリューラスの人体に流れている血液だ。サリューラスの血液をとり、高次元な科学的療法を行う。

もし、それが成功すれば“セカンドステージチルドレンを人間に戻す”事が可能かもしれない。人類は、もう戦いなどはしたくないんだ。フェーダと戦争なんかしても勝てる訳がないんだ。だから、フェーダとは和平交渉を締結させ、メンバー全員にその《リヒューマン化》させる特殊遺伝子を投与させる。それを望んでいる者が少なからずいた。

でもそんなのは希望的観測。


「話し合いなんかできるわけがない。」

「あいつらに殺されたんだぞ!」


セカンドステージチルドレンを人として見ていない者、復讐心に駆られた人間が多くいる。

セカンドステージチルドレンは人間なのか?人外生物なのか?彼等は“人間”だ。

間違った進化を遂げたただの人間なんだよ。言語を喋る生物なんて、人間以外にこの星に存在しないから。

そして彼等は人間以上に感情的な部分がある。


人類がセカンドステージチルドレンにしてきた数々の行為は聞いた事がある。信じられない。それは子孫達…今のフェーダメンバーも怒るに違いない。


ニゼロアルカナの収容制度には、問題が多くあったように思える。人間として扱っていない。完全に生物として扱っている。人間側はセカンドステージチルドレンと話すつもりは無い。彼等から血を取れればそれでいい。

彼等は抵抗する事もできず、力が抜けた状態でそれを繰り返される。メインの作業が済めばほぼ用済み素体として、“生物としての可能性を探られる”日々。その血の使い方は間違ってる。絶対に間違っているんだ。


勝てない。勝てるはずが無い。

セカンドステージチルドレンの力はコピーをした軍事力では無理なんだ。それが証明されたのに、今…この軍備に設営はなんなんだ。戦争を起こす気満々で大量の兵士がこぞって来ている。ここには世界各国のリーダー達があと少しで集う。確かにその警備として考えれば妥当な数なのかもしれない。だがここには、民間人もいるんだぞ…。


ここで戦争なんか起こしたら、大変なことになる。それに昨日はフェーダの皇帝を殺したんだ。これは人類の勝利とも言えるが敗北へと一歩でもある。ツインサイドは国際司法の頂点に君臨する高次法人グローバルシステム。世界経済を支える重要施設も多く立ち並ぶ都市。一気に暗黒に陥れるには持ってこいの場所。逆の立場ならそう考える。更に皇帝殺害の復讐も相まって最悪の戦いになるに違いない。

人類とセカンドステージチルドレンの共存は本当に不可能なのか?

僅かな希望の光を信じる者

わかる人にはわかっていた

今日がこの都市にとって、最後の日になること。

─────────┨

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