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Lil'in of raison d'être/リルイン・オブ・レゾンデートル  作者: 沙原吏凜
第一章 夭折の叛逆/Chapter.1“Rebellion”
21/78

ep.12:ひとりの欠片

聞こえる。

奥の奥から密やかに、それも、求める声。

不安と不全。

[#12-ひとりの欠片]


全ての管制システムをサリューラスは破壊する。アドバンスドユダフォートの生き残り兵士が、雪崩込んでくる。

「君達は、全員死んでくれ。」

止まらない銃弾の嵐。サリューラスの前に発生する、防御膜がそれを許さない。

「だっる。」

右手を前に向け、発現される磁力。

「なんだ…、、、、、!!!」

眼前にいる50人の兵士から、何かが溢れ出てくる。血液だ。唾液も。その液体らは、サリューラスに収束した。

「君達のからだの中にある、ぜーんぶの液体を取り除く。やがて、萎れていき…直立がままならなくなる。そうなると…吸い込むものが無くなるよね?てなったら、内臓も出てくるよ。内臓が出てくる前に、目玉…歯…舌…爪…取ろうと思えば取れる部位は全部ここに集まる。」

兵士達は、激痛の声を上げる。穴という穴から血液が、唾液が…

「おい、なんだ…これは…。」

その者の姿を見ると、口から内臓が露呈していた。

「おい…ウォウェウエボボボボヘェ…」

「助けて…く、、、だ、、、さ、、、、…」

「いたい!いた…い、、いいたい。」


「いいね、君達。美しいよ。かっこいい。紅く染めた方が生き物っぽいよ。うん!凄くいい!素晴らしい!けど、ちょっとうるさすぎ。耳が汚れちゃうよ。じゃあもう終わりでいいから。」

右手から発現された収束は終了。

兵士達は、身体がミイラのように衰退。

「あと、その姿キモすぎ…もう二度とこの能力つーかわない!」

右手を見る。

「この“中身たち”、需要あんのかな?」


第2区画シーウィードプラント、レッドチェーン生産工場に到着。収束帯を纏うサリューラスに恐れひれ伏す研究員達。

「やめてくれ、命だけは…俺達は雇われだ…君たちを恨んでない。」

「でも俺たちはお前らを恨んでる。」

「…、、、、、頼む…。殺さないでくれ。。負けだ。」

抵抗すること無く、降伏宣言をする研究員達。

「いいよ、君達だけは、逃げていいよ。」

「あ、、ありがとう。感謝する。」


「ころして。」


その声を聞いた途端、サリューラスは光線を放っていた。

「見逃してくれるんじゃないのかよ!!!!」

「気が変わった。やっぱ殺す。」

そこから、サリューラスの暴虐性はエスカレート。先程までは、自分の特殊能力を行使していたが物理的な暴力へと発展。見かけた兵士は、次々に殴り殺していった。次第に兵士の数は減り、襲いかかる敵数は激減。群体となり最低でも5人グループを形成しながら、サリューラスに攻撃をしていた。そんなグループワークはどこへやら。

もう、来る者はいなくなった。

「やりすぎたかな…。まぁいいや。ん?この感じ…。」

レッドチェーン生産工場のメインラインに到達。その中心には、レッドチェーンがあった。そのレッドチェーンには、今までに無い紅い輝きを放っていた。今まで見た…やられた物には、黒いオーラを放ち、熱線を帯びていた。だがこのレッドチェーンには、陰のエネルギーを感じない。

そんなレッドチェーンに、引き寄せられていくサリューラス。見惚れるように接近する。

まるで“共鳴”してるように。

「これ、、、、これ、、、これは…」

サリューラスはそのレッドチェーンに手を挿頭した。するとその刹那、脳に訴えかける女性の声が聞こえる。“彼女”だ。何かのトリガーがあるのか…たまに現れる彼女の声。だがいつもその声は明確じゃない。子供というか…子供のような口調をしているのに、何故か大人のような冷静さがある。そして我儘。ここは子供だと思う所のポイントに含まれる。


きた?きたのね!


君なのか?


そうだよ。わたしだよ?やっときたの??


…ていうことは、ここが…


そうだよ、よくみつけてくれたね!


いや、君目当てじゃないんだ。


えー、、、、なにそれ…がっかり。。


あ、、ごめん。酷く言った…


ううん、ヘイキ。ちょっとからかっただけだよ、ンフフ。


なんできみがいるの?


ずっとまえからいるよ。うごけない。


人間の仕業か?


すきでいるとおもう?


どうしたらいい?


はいりたい。


え?


ひとつになりたい。あなたと。とけあうの。おたがいのたましいとうつわが。そうすれば、わたしはここからでれるの。


わかった。


ありがとう、サリューラス。んーちょいまってね。


ねぇ!君の名前は?


ん?、、、、、、…きこえなーい!ンフフフフ…。


彼女との逃避夢を終えた直後、体験したことの無い出来事が視点映像として目に映る。

「誰かの記憶…。」

全く見覚えの無い光景と相手。

今までのような、乱れのあるものでは無い。クリアな視点映像からは情報が沢山引き出せそうな予感がした。

「誰だ?いっぱい…人がいる。巨大な白い建築物。子供達だ。」

映像が切り替わる。素人が編集しているみたいな適当なぶつ切り感覚だ。

「森…周りには誰もいない。さっきはあんなに居たのに…迷子になったのか?必死になって走っている。アラートだ。そのアラートが聞こえる方向に走ってるんだ。中々目的地には辿り着かない。転んでも、木の枝が足を引っ掻いても走り続けた。なんだ、何だこの音は?上から聞こえてくる。隕石だ。隕石が…真上から落ちてきた…そして、そこからは…ノイズが激しくなっているが、決して映像が停止した訳では無い。ノイズの向こう側には、多数の人間と思われる姿が。視点映像は仰向け。その人間達により、視点映像が再生される。男が多い。女はいないかもしれない。男達の声が微かに聞こえてくる。“求めてた”?。助けに来たんじゃないのか?担架に乗せられ、警報アラートが鳴る方に連れていく」

そんな救出が行われていた視点映像が終了。

だが、その映像には続きがあった。その映像は、先程の映像が終わり、黒幕と続きの視点映像が交互に流れる構成。その一通りの映像は時を刻む毎に、高速になる。やがて、目では追えない段階にまで差し迫る。秒速で交互の映像が点滅し合う。この内容…サリューラスには、理解が容易だった。


「家族だ…彼女は…。」

サリューラスは全てを、理解した。

この…彼女は、“セカンドステージチルドレンで一番最初に人類からの被害を受けた者”だ。そして、何十回にも渡る人体実験を繰り返された被検体。何年もの間、誰にも愛されること無く、一人で死に絶えた女。彼女の死骸データを数値化し、マザーコピーを生成。これの元となる者こそ、《オリジナルユベル》。

本名、《ユベル・アルシオン》。

サリューラスは、彼女との邂逅を果たした。マザーコピーに触れた事で満身創痍となったサリューラスへ、手を差し伸べるユベル。


ありがとう、サリューラス。まってたよ。だれのこどもなのかな…。《マースレス》?《フレイジア》?《ジュエング》?あにとあねをおもいだすなぁ。


もうひとりじゃない。俺がいる。だからもう、独り言みたいな、口調はやめろ。俺が聞いてる。絶対に聞いてる…そして答える。もう無視したり、蔑んだり、嘲笑ったり、お前を化け物扱いする者はいない。いたら、俺が殺す。


ほんとうに?ころしてくれるの?


全部、殺してやる。お前が“最期に願った事”があるだろ?叶えてやるよ。


ほんと!?うれしい!サリューラス!ぜったいだよ?


そのためには、お願いだ…力を貸してくれ。


わたし…つよいよ?ふふふ。つまんないかもよぉ?


見せびらかすんだよ。畏怖のどん底に落としてやる。


いいかおしてるね。カッコイイ。イケメンにはよわいなぁ…いいよ。あげる。うけとめきれるかわからないよ。いちおー、ぜんぶあげるね!


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3人はちゃんとご飯食べれてたの?

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