ep.8:Advanced Judas Fort
いーぱい、殺そー!
[#8-Advanced Judas Fort]
翌日、作戦決行日。
ラティナパルルガ大陸とユレイノルド大陸を結ぶ、《トリカノン海域》の《カデシュ・シー》にアドバンスドユダフォートは航行中。
アドバンスドユダフォート上空にエゼルディがマーク。フェーダは海上軍事基地直上までステルスモードで接近。
強奪作戦に参加するのは…
二ーディール、ヴィアーセント、そしてフェーダ上級官のスターセント、メイア、ギリス、ニケ、フェイを中心に構成された精鋭部隊。それとサリューラスだ。
作戦参加メンバーは、カーゴ搬入口、つまり落下プラットフォームに集まる。二ーディールが鼓舞する。
「よし、みんな聞け。
今からアドバンスドユダフォートを襲撃する。
目的はサリューラスのマザーコピー接触、そして破壊だ。マザーコピーは、リコールすればこちら側の大きな軍事力増強に繋がるかもしれん。だがマザーコピーの強大な力が、我々セカンドステージチルドレンに対して、錯乱攻撃を起こすんだ。だから、マザーコピーの奪取は行わない。破壊するんだ。あれが、人類の役に立ちすぎている。《電波ジャック:黒》による観測衛星を使ってアドバンスドユダフォートを調査した。あそこは、アンチSゲノムブッシュのメイン生産工場だ。」
「空母型の工場ってこと?パパ…」
「そうでもあるし、そうでも無い…とも言える。防衛機能も万全だ。メインライン生産工場だから、きっと高濃度なアンチSゲノムブッシュを携えた兵器がお出ましになる。」
「お父さん…」
「…下手をすれば…俺らは海上で死ぬかもしれん。」
「これは今までに類を見ない作戦になる。心して向かうぞ。」
「されど人類、余裕だっつーの。」
「スターセント、アルマダの指揮は頼むぞ。」
「はぁーい!」
「俺とヴィアーセントとサリューラスで、マザーコピーのある区画へと向かう。そして、コントロールブリッジで、全てのデータを消去する。アドバンスドユダフォートは人類社会の鍵となる母艦だ。ここを落とせば…」
「ウチら…ゴミ共を負かせちゃうね!」
「残りのメンバーは、エゼルディにて待機。マザーコピーの破壊と共に、応援部隊の降下開始。他メンバーは《ゲッコウブリッジ》にてオペレーターとアドバンスドユダフォート空域の警戒を。では、行こう。」
ステルスモードを解除、作戦参加メンバーはジェットパックを装備し降下ドックに移動開始。
「観測衛星から受信、以後5時間以内に異常気象の恐れ無し」
「ゲッコウブリッジ全オペレーター作戦準備セクションの全作業完了」
「アドバンスドユダフォート、飛行甲板に人影なし」
「ラティナパルルガ、ユレイノルドのターミナル都市への情報回線を遮断」
「降下作戦班アルマダ、スターセントを筆頭に降下準備即OK態勢」
「《オペレーションマザーミート》発動。アルマダ降下開始!」
ステルスモードが解除され、降下ドックが開く。そして、総勢24名の精鋭部隊アルマダが降下を開始した。
エゼルディは再びステルスモードを起動させ上空に待機、空域の警戒態勢に移行した。
──
「信号来ました!何者かがアドバンスドユダフォート直上に侵攻中。」
「SSC遺伝子信号をキャッチしました。」
「フェーダか…。何故ここに…まさか…!アンチSゲノムブッシュ生成ミニマムバリア起動!」
「ダメです!突破されました!」
「信号検知即敵レーザー発射。」
「航行中のフリゲート艦沈黙!」
「イージス駆逐艦の防衛システム発動!」
「イージス駆逐艦ヒューイ、巡航ミサイル発射。」
「索敵艦による観測衛星との交信不能!謎のXジャミングによる阻害と判明!」
「アドバンスドユダフォート、緊急戦闘態勢へと移行。」
「了解、《早期警戒管制ナノマシン・アシッドビット》飛行甲板より離陸。」
「アシッドビット、戦闘開始!」
「了解、アシッドビット、ブルパップフォーメーション展開。」
───
「うっげぇ!なんだアイツら!!」
「アシッドビットだ、なんの問題も無い、蹴散らせ!」
二ーディールの号令と共に、アシッドビットへの迎撃を開始。自身の体力消耗を危惧し、降下中での遺伝子能力の行使はせずに、SSC遺伝子を内蔵させた《ビームレスカービン》で攻撃。
人類が使うアンチSゲノムブッシュ内蔵兵器とは作りは同じだが、最新の遺伝子を使用している事もあり純度は抜群、威力極大。
精鋭部隊アルマダが狂気のままに自分たちの血を込めた銃弾を発射する。
圧倒的な戦闘力と暴虐の姿にサリューラスは、言葉を失う。
「サリューラス!なにやってんだァ?ボサっとすんな!」
スターセントが、スローペースで降下するサリューラスを見て喚起する。既にサリューラス以外の作戦参加メンバーは、飛行甲板に着艦していた。
大量のアシッドビットを諸共せずに飛行甲板を占拠。アドバンスドユダフォート周辺海域に、警戒航行しフェーダ襲撃と共にアシッドビットを放った戦艦らは、スターセントの《アズファイブ》と呼ばれる高エネルギー核加粒子砲で沈黙。甲板に現れた戦闘兵もサイコパワーで葬っていく。
サリューラスは攻撃に参加していなかった。
「サリューラス?大丈夫?」
「なんだ?無理してんのか?」
「なんで攻撃しないんだ?」
「内臓ひゅんってなっちゃった??」
アルマダの兵士が、サリューラスに向けてそれぞれの個性を魅せるかのように言葉を与える。
「すまない…大丈夫だ。」
サリューラスは俯きながら答える。気にかけたメンバーの顔は一切見ていない。その集まる姿にあの女が黙っていない。
「おい!テメェら!そこに“ダストマン”いんのか?拷問してんだったら私にも参加さセロ!!」
「スターセント違うよ!サリューラスが体調良くないんだよ。」
「はァ?何言ってんだお前。…………弱音を吐くな!これだから、若い男は。」
アドバンスドユダフォートには、警報が発令。
「アドバンスドユダフォート全区画員に対しての緊急事態発生のお知らせです。セカンドステージチルドレンの、侵入を確認しました。非戦闘員は、待避マニュアルを参考にし《緊急エスケープシステム》の使用をお願いします。マザーコピーの保護を最優先とし、戦闘兵は、コンバットモジュールへの高純度アンチSゲノムブッシュ装填を、速やかに実行してください。繰り返す、アドバンスドユダフォートにセカンドステージチルドレンの侵入を確認しま…」
「ウルせぇんだよ!」
警報音と共に鳴らされる機械口調のアナウンス。そのアナウンスが発されているスピーカーを蹴り飛ばしたスターセント。
「よし、ここからは、別行動だ。私とヴィアーセントとサリューラスで第1区画コントロールブリッジの占拠と制御ロックダウン、そしてマザーコピー。アルマダは目標物ツァーリ・ハーモニーが格納されている第5区画ハンジャールデッキ。そっちを頼むぞ、スターセント。」
「安心してパパ。気をつけてね。お姉ちゃんも頼むよ。その干渉ちゃんも。」
「うん、気をつけて。」
「ねえねえ、お姉ちゃん知ってる?これ」
「うん?なにこれ…うんうん、知らないなぁ」
「んね、わかんないよね…」
「何のために使うやつなの?」
「それが分からんのよ」
「じゃあ検索のしようがないね」
「でもね、最近、写真撮るだけで検索にヒットするんだよ?」
「え、うそ、、なにそれ怖っ」
「おっくれてるぅ」




