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“俗世”ד異世界”双界シェアワールド往還血涙物語『リルイン・オブ・レゾンデートル』  作者: 虧沙吏歓楼
第拾四章 ギンヌンガガプの使徒/Chapter.14“Finale:MilkyHoneyFestival”
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[#119-現実の残滓【1】]

[#119-現実の残滓]


───Side:ウェルニ・セラヌーン。


どういう訳か、私は自分の中にいる別の個体と言い合いになってしまった。

暴喰の魔女・レピドゥス。

彼女は私だ。

私も彼女だ。

彼女が私を大切に尽くしている通り、私も彼女を大切に、そして、必要としている。元々は、アリギエーリ修道院のノアトゥーン院長の異形生命体ティーガーデンを宿主としていたが、ウプサラの虚想空間にて、旧式ヒュリルディスペンサーを受けた時に、全てが変わった。


私の人生は華色になった。

見えないものが見えてくる。

それでいて、今までの記憶が編集され、全くのゼロからの再スタートとなった私の人生において、暴喰の魔女・レピドゥスの存在は大して、阻害されるようなものとは感じなかった。

彼女が居たから、今の私がいる。

決断をする時、いつもレピドゥスが私のアシストをし、どんな状況に陥っても、最適解なルートを模索。

彼女に頼りすぎ⋯と思う時もあったが、彼女の一言二言は私にとって、重すぎる言葉の連続なのだ。レピドゥスを損失したら⋯と考えてしまう時が何度もある。


その度に、レピドゥスが私の思考回路にバリケードを張り⋯


『わたしがいなくなる事は無い。もし、そんな事が起きようものなら、それは、ウェルニが命を落とす時だ』


私が死ねば、あなたが死ぬ。

あなたが死ねば、私も死んだ事になる。


二つで一つ⋯そんな綺麗なものでは無いけど、私はレピドゥスが居て、ようやく完成する個体なんだ。


私の想いに応えて欲しい。

戮世界テクフルが、私の命と引き換えに良くなるなら⋯もう、私の人生は消えてしまった方がいいのかも⋯。

ベルヴィーとナリギュが、そう望んでいるんだ。私の命と引き換えに、戮世界テクフルの未来を選択した。そこに偽りは無いのだろう。

当然だよ。私は、戮世界テクフルで生き延びていく事は難しくなるだろう。今日の奴隷帝国都市ガウフォンの乳蜜祭を襲撃した件で、戮世界テクフル全体にて、再び超越者をあぶりだす作戦が再編される。私たちの行動のせいで、戮世界テクフルにのさばっている生き残りの超越者が、捕獲されるのだ。

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