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“俗世”ד異世界”双界シェアワールド往還血涙物語『リルイン・オブ・レゾンデートル』  作者: 虧沙吏歓楼
第拾四章 ギンヌンガガプの使徒/Chapter.14“Finale:MilkyHoneyFestival”
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[#118-裂け目より来たりし【7】]


黒色粒子がふんだんに使用されたエネルギー量子光線。“光線”と表現されているのに、見た目からは“光要素”は一切無い。ダークマターは見事に奴隷超越者へと直撃していく。ホーミング機能が搭載されている訳ではない。基本的にダークマターは一直線で空間を突き進む。だがそれは、有限なものでは無いようだ。


⋯⋯⋯有限なのかもしれない。それでも、黒色粒子螺旋は次第に、うねりパフォーマンスを終了させ、先程の黒山羊形態へと変化。白色粒子は黒色粒子とは異なり、奴隷超越者への攻撃は行わずに形態変化。ニュートリノ・シリーズが一度、前段階フォームへと退化行動を起こした理由は⋯二重螺旋形態に相当する鴉素エネルギーと蛾素エネルギーのフォームの方が、小回りが効くからだ。


相手は縦横無尽に空を駆け巡る事が可能な遊弋型の超越者。鴉素エネルギーを搭載させたままの二重螺旋形態なら、動きにも余裕があるし、攻撃手段もニュートリノ・シリーズ状態に引けを取らない強さを持つ。


鴉素エネルギー消費量は数多いと思われるが、黒山羊となり、正真正銘のニュートリノ・ヤタガラス『ジャールヴィ』となった今でも、ダークマター発射は継続中。


ウェルニを襲う奴隷超越者。

その奴隷超越者を殲滅するノアトゥーン院長の司教兵器。

ウェルニもノアトゥーン院長の隙を窺っているのか、奴隷超越者からの空間裂傷を回避する際に、動向を逐一チェックしていた。

乳蜜学徒隊カナン・ヴェロニカは、奴隷超越者とウェルニの捕獲に死力を尽くすべく、フル戦闘が可能な白鯨の回復を待つ。


三つ巴の抗争が勃発している中、上空から紫の裂け目が出現。


次元裂溝だ。


誰もが次元裂溝の出現に驚きを隠せない時、その裂け目の部分から、黒い刀剣が放たれる。


ダークマターよりも非常に強力かつ、未知なる力が漲っている刀剣は、ニュートリノ・ヤタガラス『ジャールヴィ』の身体へと命中。ジャールヴィは戦闘行動に障害が発生。臍帯により痛覚が繋がっている宿主・ノアトゥーン院長にもジャールヴィの“痛み”が伝播。苦しみから解放されるなら、臍帯を切らなければならない。しかし、それにはリスクがある。宿主から離れた司教兵器が、また再び宿主の元へ帰還したケースはごく稀。繋がりを宿主自らの手で断絶してしまうと、司教兵器は宿主からの“不要信号”と勝手に受信。やがてその姿は、視認出来なくなり、どこかの世界へと消えていく⋯。


だから、この痛みは味合わなければならないのだ。それが司教兵器を操る存在としての務め。


ジャールヴィが倒れる。その時でも次元裂溝から放たれる刀剣は留まることを知らない。黒色粒子で生成されたニュートリノ・シリーズに、ほぼ同色のモノを放つ⋯。

ジャールヴィからは出血が確認される。突き刺さった刀剣は消えていき、次元裂溝の裂け目の部分へと空間転移。そしてまた、射出精度を向上させた進化状態で対象を痛ぶっていく、明らかに“狙い”のある攻撃行動。意志のある戦闘方式だ。


ノアトゥーン院長は裂け目に何者かがいる事を予測する。

「誰かが、いる⋯」

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