[#117-虚飾光柱【3】]
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Welny × Lepidus
「⋯⋯⋯どうしたの?ウェルニ」
「⋯⋯⋯⋯レピドゥス、私⋯⋯⋯みんなを殺めたくない」
「いや、今更何言ってんのよ⋯あと少しで、コイツらを屠れると言うのに」
「やめて⋯⋯⋯私の、友達なの」
「とも、、、だち⋯⋯⋯」
「そう、友達」
「説明しても、聞き入れてくれないと思うぞ」
「⋯⋯⋯じゃあ、私が奴隷になって⋯」
「馬鹿言ってんじゃないよ」
「レピドゥス⋯⋯ごめん⋯⋯」
「ウェルニ、通常人類は超越者を蔑視している。かつての仲間と再会出来た事に感動するのは分からなくも無いけど、アイツらからは微塵もそんなものは感じない。『超越者を奴隷にする』⋯その事しか、頭に無いんだよ。ウェルニ、このまま戦闘意志を持たずに居続けると、死ぬぞ」
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レピドゥスの提案を聞き入れる⋯⋯。それは、ベルヴィーとナリギュ達との“決別”を意味する。
「⋯⋯⋯⋯⋯私は⋯⋯⋯何のために⋯⋯⋯」
レピドゥスからウェルニへ。主幹制御が切り替わると、レピドゥスの時に巻き起こっていた感情の臨界点突破が消え失せていく。暴喰の魔女・レピドゥスの意識下にあった乳蜜学徒隊は、その管轄から次第に解除されていく。その光景を見て、レピドゥスは再び主幹制御を変わるよう、ウェルニに向かって神経伝達が果たされた。
しかし、レピドゥスの交信を却下するウェルニが現れる。
「ウェルニ!⋯このままだとコイツらがわたし達を狙って来る!殺されぞ!」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯いいよ。私が⋯奴隷になって生贄になれば、戮世界の寿命が伸びて、みんなが喜ぶんでしょ?だったら⋯一層⋯。そうなっても私は⋯⋯」
ウェルニの決断。当然ながらレピドゥスとしては看過できない意見だ。ウェルニが奴隷となり、生贄として大陸神に捧げられる事態にまで発展すると、暴喰の魔女・レピドゥスは宿主と共に戮世界から抹消。種生命反応はゼロとなり、ここから先の未来において一切のリスポーンが行われなくなる。
魔女として生き、元々の宿主であったノアトゥーン・フェレストルの身を離れたレピドゥスとしては大罪を背負っている存在が、そうも簡単に次なる種生命へ生まれ変われるとは限らない。
種生命の輪廻は不平等。
地獄、天国、煉獄。神曲に並ぶそれぞれの跡地には、大いなる神々の受け皿が用意されている。戮世界、そして原世界にしろ、そういった環境が死者を待ち受け、今後の魂の行き先を告げていく。
暴喰の魔女・レピドゥスは、宿主から離れ、超越者の身体に棲みついた行為がどれほどの罪に問われる事か⋯答えは魔女か、朔式神族のみぞ知ることだ。




