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“俗世”ד異世界”双界シェアワールド往還血涙物語『リルイン・オブ・レゾンデートル』  作者: 虧沙吏歓楼
第拾四章 ギンヌンガガプの使徒/Chapter.14“Finale:MilkyHoneyFestival”
135/150

[#117-虚飾光柱【1】]

[#117-虚飾光柱]


───Side:ウェルニ・セラヌーン。


ブラーフィ大陸 北方区域ホースベースフィールド

奴隷帝国都市ガウフォン カナン城


「ベルヴィー⋯⋯ナリギュ⋯⋯」

レピドゥスに身を任せていたウェルニは、自我を我へと移し替える。それは当然の所業だ。眼前に広がるは、かつての仲間たち。己の欲望と選別に抗いながらも、屠られた現実に真っ向から向き合う事で、過去との決別を果たした同志。中でも、ベルヴィーとナリギュはウェルニにとって初めて出来た友達と言える存在。

友達なんて⋯自分には出来ようはずが無い存在だと思っていた。自分が超越者だから⋯それを隠していく人生が確約されていたから⋯。

そんな時に、新生活としてセラヌーン家は引越しをし、新たな人生を再スタートさせ、出会ったのがこの二人。


「二人とも⋯⋯⋯久しぶり⋯⋯」

「挨拶は必要無い」

ベルヴィーは硬い眼差しでこちらに視線を送り続ける。彼女はそんな性格じゃない。もっと相手の気持ちに慮り、他人が嫌悪を抱く内容が混在する対応は絶対に行わないタイプ。それはナリギュも同じだ。そんなところに、ウェルニは好意を抱いていた。だが、現在の二人にその面影は一切無い。眼前に見えるは、旧友の姿かたちを帯びた“契りの他者”。


「ウェルニ。あなたは戮世界テクフルに居るべきでは無い存在。故に、シキサイシアにて大陸神グランドベリートへ捧げられる運命にある」

ベルヴィーからナリギュへ。

「だけど、ここまでの戦闘を繰り広げられた以上、七唇律聖教が黙っていようはずも無いよね?私達にまで、影響を及ぼすような事、しないでもらえる?」

「⋯⋯まだ⋯⋯⋯二人が七唇律聖教に関与しているなんて、思ってもいなかった」

「あなたがそんな事言える?」

「ベルヴィー⋯何が言いたいの⋯」

「旧式ヒュリルディスペンサー。私達はその餌食になった。私は左腕を。ナリギュは右目を。マディルスは左手の小指と薬指。パレサイアは両足の小指⋯⋯みんな、身体の一部分を削ぎ落としてまで、強さに拘った。あなたも“記憶”を削ぎ落としたのよ」

「姉さんから聞いたよそれは」

「ミュラエさん?あーいたね。そんな人。あの時、剣戟軍から私達を離してくれた人。あの人はどこ?」

「⋯⋯⋯知らない」

「どうして知らないの?」


────────

「コイツらを殺す。わたしに変われ、ウェルニ」

────────


だめ⋯⋯それは

それは⋯⋯ダメなの⋯⋯⋯⋯。


「お姉さんは何処にいるの?お姉さんにも用があるからさ、こっちに呼んで、みんなで話そう。話せばきっと分かってくれるから」

ナリギュが落ち着いたトーンで言ってくる。それは、とてもとても、苦痛でしかない音の数々。私を見放す訳でもなく、本域で問い掛けてきているようにも思えたし、なんならその真逆を行っているようにも思えた。とても一つの方向に集中した文言とは思えない、複数感情に思いを馳せる事が可能な発言。胸が苦しくなる。


「姉さんは、大陸神グランドベリートの捧げ者にはならない。私もならない」

「それは⋯⋯戮世界の未来には不適切な発言だよ。あなた達は超越者」

「ベルヴィー⋯⋯私の正体を受け入れてくれたんじゃないの⋯⋯」

「人間というのはあまりにも単純な生き物。⋯その時その時の想いだけで、人という者は完結しているんだ」

「ナリギュ⋯⋯」

「私達の考えは変わった。そう、あなたが居なくなってから」

「私達を置いてったのは、あなたでしょ?ウェルニ」

「ベルヴィー⋯ちがうよ。⋯⋯違うって⋯⋯」

「否定する権利は無い。超越者は、通常人類に従う運命にある。今や、超越者など、人類の手中にあるのも同等。ウェルニ、もうちょっと戮世界テクフルの現状を“慮って”ほしいものだね」

「ベルヴィー、七唇律聖教に何か言われたんでしょ⋯?」


「そうだね。ウェルニ」

「⋯⋯⋯マディルス⋯⋯⋯」

アリギエーリ修道院では、ベルヴィーとナリギュを中心にウェルニは交友を共にしていた。そんな中で、マディルスを始めとする仲間たちとも一定量の関係値は構築出来ていた。

七唇律の説教や神曲。人性的なブロックをフォローアップする能力は単体だけでは済ますことなんて出来ない。仲間との繋がりと触れ合いが、ウェルニのモチベーションにもなっていた事は事実だ。


影響を与え、影響を受け、影響の向こう側を観測する。


「『七唇律聖教に言われた』⋯そう言ってしまうと、なんだかマイナス的な意味合いが込められていて、とても不愉快だ。俺的に訂正し直すとするなら、『ご教示して頂いた』というのが的確に思えるな」

「儀式は偽りだった。あなた達が強くなろうとして受けた儀式はただの実験台だったの!」

「そんな事、ウェルニが知る前からとっくに知らされたよ」

「ベルヴィー⋯納得したっていうの、、、」

「なっとく⋯??なっとくってー⋯なんか小賢しい事を言うなぁ⋯あんまりこういうのを旧友に向かって言うのもアレなんだけどさ、まぁそれに⋯超越者だし?⋯⋯」

「⋯⋯⋯⋯なに」

───────────

「⋯ウェルニ、、、、あんたもうこの世から消えた方がいいよ」

───────────


「⋯⋯⋯いい加減にしろよ⋯」

ここから更新頻度をガラッと変えます。

二日に一度のペースを目標に更新します。

媚びようと決めました。

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