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7 薬草採取と初戦闘

 俺は薬草がよく取れるという平原にやってきた。ちなみに、ギルドで買った革製の鎧はちゃんと着てるぞ!武器や防具は装備しないと、意味がないからな!


 まあ、武器は{アイテムボックス}に仕舞ってるんだけどね。最初は喜んでその辺の草とかに振り回してたんだけど、ずっと持ってると結構重くて。

 結局、モンスターに出会ってから取り出せばいいと思ったんだ。


 とりあえず、薬草の採取からやっていこう。


「依頼にあった薬草は、ポーションに使われるキズナオセ草と、解毒薬に使われるドクナオリ草だったな。」


 まったく、ひどいネーミングセンスだ。わかりやすいのはいいけど、もうちょっとほかに良い名前は無かったんだろうか。


 雑草を鑑定したときといい、この世界は草に対して適当すぎないか?


 そんなことを考えていると、俺は冒険者手帳に載っている絵にそっくりな草を見つけた。


「お、あったあった。これがキズナオセ草かな・・・?{鑑定}!」


 {キズナオセ草。主に傷を治すポーションの材料として使われる。}


「おぉ!合っててよかった。よーし、もっと探すぞー!」


 その後、薬草を十分に取り終えた俺は、小さな人のような影に気が付いた。


「ふぅ、冒険者手帳と{鑑定}スキルのおかげで、簡単に集まったな。ん・・・?あれは、子供?いや、こんなところにいるわけないか。ってことはもしかして・・・」


 俺はそいつに気づかれないように、こっそり隠れながら近づいた。


「やっぱり人間じゃないな」


 人間の子供ほどの背丈のその生き物は緑色の肌をしており、腰に毛皮を巻き、手には棍棒を持っていた。――ゴブリン、そんな言葉が脳裏に浮かぶ。

 小鬼とも呼ばれ、人型で小柄な体躯のモンスター。何より、特徴的な緑肌が俺の中のイメージと合致していた。


「バレないように、{鑑定}!」


 {ゴブリン 森や洞窟など、いたるところに生息する小型モンスター。1匹1匹は大した脅威ではないが、徒党を組まれると厄介。討伐証明部位:耳}

 {種族 :モンスター}

 {Lv  :1}

 {力  :5}

 {耐久 :3}

 {器用 :5}

 {敏捷 :6}

 {魔力 :1}

 {スキル: }

 {ユニークスキル: }


 やっぱりゴブリンだったか、ステータス的には俺のほうが強いみたいだな。


 っていうか、討伐証明部位の情報まで見れるのか!フローナさんはギルドが決めた、って言ってた気がするけど・・・。

 まあいいか、見れるものは見れるんだし!


 俺は少し疑問に思いながらも、目の前のゴブリンに集中することにした。


「バレないように、こっそり・・・」


 ゴブリンはこちらに気づく様子もなく佇んでいるが、いつこちらを振り向くかわからない。

 {アイテムボックス}から剣を取り出した俺は、ゴブリンの後頭部を凝視しながらゆっくりと距離を詰めていく。




 一歩


 また一歩・・・。


 ガサッ!


 足元から音が鳴り響く。――ッッ!!!しまった、ゴブリンが振り向いてこないか心配で、足元を全く見ていなかった!


 背丈の高い草を踏みつける音は、俺が作り上げた静寂を打ち砕くのに十分な音量だった。


「ギギ?ゲギャ!」


 案の定、背後から聞こえてきた音に反応したゴブリンが、こちらを振り向いた。くそ、こうなったらやぶれかぶれだ!


「うおおおお!」


 俺は剣を両手でしっかりと握り、大きく振り下ろした。


 しかし、それが避ける隙を与えてしまったのか、俺の攻撃は空を切った。


 躱されることなど予想だにしていなかった俺は、地面すれすれのところまで剣を振り下ろしてしまっていた。


 それを好機と捉えたのか、ゴブリンは棍棒を横薙ぎに繰り出してくる。


 まずい、この体勢じゃあの攻撃は避けられない!


 俺は咄嗟に剣で受ける判断をした。頼む、間に合ってくれッ!!




 ――瞬間、剣を握る手に衝撃が走った。


「くっ!!」


 重いッ!けど、間に合った!俺は手が痺れるのを堪えながら、剣を振り上げ・・・られなかった。


「え、ちょ、食い込んでる!?」


 なんと、剣に棍棒が――いや、棍棒に剣がというべきか。ともかく、食い込んでしまっていたのだ。


「抜けねぇ!?」


 まさかの状況に焦る俺だったが、よく見るとゴブリンも棍棒が抜けずに困っている様子だった。


 『いやぁ、そちらさんもですか?』『おやおや、おたくの武器も抜けないので?』などと会話するかのように、一瞬目が合った。――って、そんなふざけたことを考えている場合じゃない!!


 何か打開策を考えないと・・・!


 いっそのこと棍棒ごと{アイテムボックス}に仕舞おうかと考えたが、ゴブリンが持っているからかそれは出来なかった。


 他に手は・・・そうだ!こいつは今、食い込んで抜けない棍棒に意識がいっているはずだ!


 そう、俺がゴブリンの振り向きに警戒するあまり、足元の草に気づかなかったように!


「おらっ!」


 俺は、棍棒に釘付けになっているゴブリンの死角から蹴りを放った。


「ゲギャッ!?」


 目論見通り、不意を突かれたゴブリンは蹴りをもろに食らい、棍棒をそのままに後方へ吹き飛んだ。


 しめたぞ、棍棒がゴブリンの手から離れた!今なら仕舞えるんじゃないか?


 試してみると、棍棒に食い込んだままの剣を{アイテムボックス}へ収納出来た。


 入れ替えるようにナイフを1本取り出し、疾駆。


「トド、メェッ!」

「グゲッ!?」


 何が起きたのか理解出来ずに混乱しているゴブリンが最期に見た光景は、自身の胸に白刃が吸い込まれる瞬間だった。


 か、勝った・・・。まさかゴブリン相手にこんなに苦戦するとは。確かに、1対1じゃなかったら危なかったかもしれないな。


 ナイフも予備の武器として役立ってくれたし、フローナさんには感謝しないとな。

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