6 依頼を受けてみよう
土日は更新お休みです。
なんだかんだ装備は整ったし、次は冒険者として初の仕事をしてみよう!
・・・そういえば、とりあえず冒険者になったものの、具体的にどんな仕事をするのかよくわからないな。
そもそも仕事って、どうやって受けるんだろう?イメージだと、依頼書とかが張り出してあるんだけど・・・。
「あの、装備も整ったことですし、早速仕事がしたいんですが、どうすればいいんですか?」
「それでしたら、向こうに張り出されている依頼書からお好きなものを選んで、私たち受付に持ってきていただければ、こちらで受理しますよ」
うん、イメージ通りだな!わかりやすくて助かるね。
「あ、ただし1つ注意点があります!依頼にはそれぞれランクがあって、ご自身のランクを超過する依頼は受けられないんです」
「あ、やっぱりランクとかあるんですね」
「はい。最初はGランクからスタートして、依頼をこなすことで、F、E、D、C、B、A、Sと、順に上がっていきます。ランクは個人とパーティで分けられていて、パーティ単位ではより高いランクと認定されることもあります。なので、高ランクの依頼を受けたい場合は、パーティを組むのが一般的ですね。」
「結構細かいんですね・・・とりあえず、今の俺が単独で受けられるのは、Gランクの依頼だけってことですよね?」
「そうなります!」
よーし、とりあえず感覚をつかむためにも、手軽そうな依頼でも探してみようかな。
俺はフローナさんにお礼を言い、依頼書が張り出された掲示板の場所まで移動した。
えーと、なになに?薬草の採取(Gランク)、ゴブリン退治(Gランク)、ホブゴブリン退治(Eランク)、商人の護衛(Fランク)・・・なるほど、こんな感じで色んな依頼がランク付けされてるんだな。
ほかにもいろいろな依頼があるみたいだけど、俺が今受けられそうなのは、薬草の採取とゴブリン退治ぐらいか。・・・ん?これは、ダンジョン探索の依頼?
ダンジョン・・・この世界にはそんなものまであるのか!依頼を受ける前に、フローナさんに詳しく聞いてみよう。
「あの、ダンジョン探索の依頼を見かけたんですけど、ダンジョンってどんなところなんですか?」
「ダンジョンですか?そうですね、世界各地にある地下迷宮、といったところでしょうか。いつから存在しているのか、何のためにあるのか、その一切が謎に包まれていて、今でもたまに新しく発見されています。」
「中には何があるんですか?」
「特別な魔道具をはじめとする宝物と、多数のモンスターが居ます。理屈は不明ですが、中のモンスターは時間が経つと復活するようになっていて、最奥にはボスモンスターと呼ばれる、強力な個体も居るんですよ」
おお!すげぇ・・・ほんとにゲームやラノベみたいだ。テンション上がってきた!
「是非行ってみたいです!ダンジョンってどこにあるんですか?」
「この街の東に、ちょうど初心者向けの低難易度なところがありますが、サイトさんはまだ入れませんよ。」
「え、なんでですか?」
「ダンジョンは比較的低い難易度の場所であっても危険なんです。最低でもFランクになっていただかないと、ダンジョン探索の許可は出せません。」
「そんなぁ・・・」
そういえば、さっき見た依頼にもFランク以上って書いてあったな・・・。せっかくワクワクしてたのに残念だ。
「じゃあ、どうしたら早くランクを上げられるんですか?」
「依頼にはそれぞれ評価ポイントが決められていて、一定のポイントを貯めることで、昇格できる決まりになっているんです。まあ、わかりやすく言えば高難易度の依頼ほど、ランクも早く上がります。でも、最初は薬草採取がおすすめですよ。」
「そうなんですか?でも、どうせならモンスターと戦ってみたいなぁ・・・なんて」
そのほうがランクも早く上げられそうだしな。
「うーん、サイトさんはまだ駆け出しですし、できればパーティを組んだほうがいいですね」
パーティか・・・正直、この世界のことを何にも知らない状態で、他人と行動を共にするのって、ちょっと怖いんだよな・・・。
それに、俺には{成長加速}のスキルがある。どれだけ早く成長できるのかはまだわからないけど、その様子を人に見られるのはまずいかもしれない。
最初さえなんとかなればあとは楽になると思うし、しばらくはソロで活動したいな。
「パーティを組むのがご不安でしたら、ちょうどいい方をご紹介しましょうか?」
心配そうに考え込む俺の様子を見て気を使ってくれたのか、フローナさんが提案をだしてくれた。
「ちょうどいい方、ですか?」
「はい。金碧のアリス、と呼ばれている方です。」
「金碧のアリス・・・」
「はい、金髪に碧眼が特徴だから、ということらしいです。私からすると、もう少し他に良い呼び名があるような気がするんですが・・・。ともかく、Aランクの方なので、実力は折り紙付きですよ」
Aランクの冒険者!?そんなすごい人、簡単に紹介してもらっていいんだろうか?フローナさんが紹介するからには、いい人なんだろうけど・・・。
「そ、そんなすごい人紹介されても、足を引っ張っちゃうだけなんじゃ・・・」
「あぁいえ、一緒に依頼をこなすのではなく、指導してもらうんです」
「指導、ですか?」
「はい。結構サイトさんのような方、いらっしゃるんですよね。足を引っ張るのが怖かったり、知らない人に背中を預けたりするのが不安で、パーティを組みづらい。かといって、ソロで行動するのも不安が残る、という方が」
「あはは、まさに今の俺ですね」
「ええ。なので最近は、実力と人望を兼ね備えた方に、面倒を見ていただくことが増えているんです」
なるほど、実力のある人に指導してもらうのは、いい考えかもしれない。それならスキルのことがバレる可能性も低いし、この世界について聞くこともできる。
「その人って、すぐに紹介してもらうことはできますか?」
「ごめんなさい、こちらから連絡はできないので、今すぐご紹介することはできないんです」
「そうですか・・・」
まあ、そうだよな。この世界に電話みたいな連絡手段があるとも思えないし・・・。
「なので私としては、今日は薬草採取の依頼だけを受けて、ゴブリン退治は後日アリスさんに指導してもらってからにする。というのがおすすめです」
うーん、確かにフローナさんの言う通り、指導してもらってからのほうが、安全にはなるんだろうけど・・・。
「やっぱり俺、今日戦ってみたいです。普通のゴブリンが相手でも、ソロじゃ危険ですか?」
「うーん。1対1かつ、危険な武器を持っていない個体であれば、倒せるとは思いますが・・・」
「わかりました。絶対に無茶はしないので、ゴブリン退治の依頼も受けていいですか?」
「はぁ、しょうがないですね・・・でも1つだけ約束してください。危険だと感じたら、無理に戦わずに逃げること。いいですね?」
「わかりました、ありがとうございます!」
俺は張り出されている依頼書から、薬草の採取とゴブリン退治を選び、フローナさんに渡した。
「はい、確かに受理しました。最近は薬草が取れる平原の近くの森で、ゴブリンの目撃例が増えていますから、本当に気を付けてくださいね!」
「わかりました!」
少し強引だったが、結局ゴブリン退治の依頼も受けさせてもらえた。ごめんなさい、フローナさん。そして、ありがとうございます!
俺は心配するフローナさんを背に、ギルドを出た。
フローナさんがやけに心配しているのは、才人がどう見ても戦闘経験なんてなさそうな素人だからです。