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42 ダンジョン攻略

 レイさんとの連携でダンジョンを進み続け、あっというまに5階層まで来てしまった。

 途中で罠を見つけるたびに『サイトさんすごいです!』とレイさんが褒めてくれるので、とても気分良く進んでこられた。


 やっぱりパーティに褒めてくれる女の子が居るっていいね!

 ちなみに宝箱も何個か見つけたけど、中身はポーションだったり罠だったりで大した収穫はなかった。


 わかってはいたけど、マジックバッグは相当運が良かったんだな。

 その代わりかドロップアイテムが結構出て、レッサーコボルトの毛皮やら牙やらが手に入った。


 どうやらそこそこの値段で売れたりポイントになったりするらしいので、こっちのほうはラッキーだな。


「そろそろボスの部屋に着くわよ」

「お、もうそんなとこまで来てたのか。結構あっさり・・・っと、どうやらもうちょっとだけ頑張らないといけないみたいだ」


 気配に振り向き、通路の奥に目を凝らすと3つの影が見えた。

 多分レッサーコボルトだ。流石に3匹は多いから、1匹はさっさと倒して、残りは足を狙おうかな。


「3匹いるから、1匹はすぐ倒しちゃうね」

「わかりました!」


 もはやいつも通りというべきか、俺が前線を張ってレイさんが後ろから援護をする布陣で近づく。

 向こうもこちらに気付くやいなや、3匹同時に駆けだしてきた。


「ふんっ!」

「キャン!」


 まずは1匹!


「そらっ!」


 2匹目も足を斬りつける。


 よし、このまま3匹目も足を・・・ってあれ?俺を無視してレイさんに向かってる。

 珍しいな、けど・・・!


「させるかっ――って、うわっ!?」

「ガルルッ!」


 傷が浅かったのか、3匹目の背中を追う俺のさらに背後から2匹目のヤツが飛び掛かってきた。


 咄嗟に剣で爪と牙を受け、そのまま力任せに押し返す。


「!?!?」

「おらっ!」


 不意打ちを受け止められた上、押し返されて混乱した様子のレッサーコボルトを両断し、反転。


「レイさん!」


 まずい!こっちはなんとかなったけど、だいぶ距離が出来てしまった。

 アリスがいるから大丈夫ではあるだろうけど、なんだか申し訳な・・・!?


 レイさんに向かう毛むくじゃらの背中から、血しぶきと共に氷の棘が生える。

 これは・・・正面から槍状の氷が貫いたのか。


「大丈夫です!」


 おぉぅ・・・心配要らなかったみたいだ。


「ナイス!だけど・・・結構エグいことするね」


 ちょっと力加減を間違えたら、貫通して後ろにいる俺まで危なかったんじゃないだろうか。


「半分は杖のおかげです。どうしようか迷ってたら槍みたいな形の氷が頭に浮かんで・・・」

「あー、そういえば意思があるとかって言ってたっけ。こいつー!確かに助かったけど、貫通したら俺まで危なかったんだぞー!」


 杖をつんつんしながら愚痴をこぼしてみた。


「あはは、力加減はボクと杖でちゃんとしてますから大丈夫ですよ!・・・あれ?わぁっ!」


 杖が光り、冷たい風が吹雪く。


「ん?これは・・・」


 氷で地面に描かれていたのは、変な顔をした鶏の絵だった。

 よだれを垂らしてるし、両目がそれぞれ上下を向いていて、いかにもアホそうな顔だ。


「えっと、サイトさんの似顔絵・・・らしいです」

「こいつっ・・・!」


 杖を睨んでいると二人から『まあまあ』と諭されてしまった。


「ふんっ!まあレイさんを助けてくれたから許すよ!」

「杖相手に何やってるのよまったく・・・ふふっ。さ、もうじきボスよ。スキルポイントの割り振りなんかは大丈夫かしら?」


 そうだ、ボスはより一層気を引き締めないとな。アリスがいるとはいえ、基本的に二人でなんとかできるようにならないと。

 レベルは・・・俺も1だけ上がったけど、割り振りに関しては今はいいかな。


「はい!ちゃんと割り振ってます!」

「そう、それならいいわ」


 そっか、結構戦ったからレイさんもレベルアップするよな。

 まだLv1だったはずだし、{成長加速}のスキルがないレイさんでも結構上がったんじゃないだろうか。


「いくつになったんですか?」

「えっと・・・4です!」

「おぉ・・・」


 あれだけ戦って4なのか・・・。

 あくまで俺の感覚でしかないけど、{成長加速}の効果があったらLv10以上は絶対に行ってると思う。


 低レベルのうちは相当上がりやすいはずだし、普通の人はこれぐらいの成長速度なんだな。

 改めてスキルのありがたみがわかった。


 そうだ、スキルと言えば・・・。


「魔法使いのスキルってどんなのがあるんだ?」

「今は多分{初級魔術}しかないはずよ、ちょうど3ポイントで上げられるはずね」

「はい!魔力の操作が上手になるスキルなんですけど、ランクを上げたのもあってさっきの技が出せたんです!」

「なるほど、ずっとこれぐらいの大きさの、ただの氷塊だったもんね」


 大きさを思い出しながら、手で円を作りつつ話す。


「はい。スキルが強くなったので、杖が槍状にするイメージを出してくれたんです」

「なるほどなー、あれならボス戦でも役に立ちそうだね」


 たとえレベルが低くてもレイさんの魔法は有効打になりそうだし、二人で連携すればアリスに頼らなくてもきっと勝てるだろう。

 休憩が終わったら、いよいよボス戦だ。ここのボスは一体なんなんだろう・・・?




 休憩を終え薄萌葱色の道を少し歩くと、見えてきたのはツェンノインでも見た黒い鉄の両扉がある広い部屋。

 扉に刻まれた緑色の魔法陣は、周りの色と同系統でありながら彩度が高く、この先の危険度を表しているようで身が引き締まる。


「いよいよだな」

「二人ともファイトよー!危険そうなら私も参加するから、全力を出し切るのよ!」

「はい!」

「すぐ入らないと別の部屋に行っちゃうらしいから、気を付けてね」

「わかりました!」


 ツェンノインでアリスに教わったことをレイさんに共有しつつ、扉の先へ足を踏み入れた。

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