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19 俺氏チート説

「いい?サイトちゃん、スキルポイントというのは普通、1Lvにつき1ポイントずつしか貰えないのよ」

「・・・はぁ!?!?」


 スキルポイントが、1ずつしか貰えない・・・!?


「その反応、やっぱりレベルを誤魔化してるんじゃなくて、本当に1ポイント以上貰ってるのね・・・」


 もうだめだ、誤魔化しようがない。まあアリスにならバレてもいい・・・のかわからないけど、白状するしかないか・・・。


「う・・・はい」

「高速成長系のユニークスキルね。過去に例がないわけじゃないけど、みんな伝説級の偉人よ」

「・・・」


 マジかよ・・・っていうか、スキル説明にそんなこと一言も書かれてなかったんですけど!?

 たしか、獲得経験値が増えるとかなんとか書かれてるだけだったよな!?


 まさか、技術的な面でも成長速度が上がるって書かれてる部分がそれとか・・・?いやいや、だとしたらわかりにくすぎだろ!

 ・・・あ、あと例の文字化けか!


 文字化けの部分がある時点であのスキルはなんか変だし、そういう隠し効果みたいなのがあってもおかしくはない、か・・・。


 はぁ、なんにせよ、他にもこういうことがあるかもしれないから、あんまり余計なことは言わないようにしないとな。


「まあ、納得ね。いい?間違っても迂闊に人に話しちゃダメよ?」

「わ、わかってるよ」


 てっきりレベルが上がりやすいだけだと思ってたけど、まさかもらえるスキルポイントまで増えてたとはな。


 {成長加速}って、思ってたよりチートスキルなのかもしれない。いやまあ、強いのはわかってたんだけどさ、まさかそこまでとは・・・。

 俺氏チート説が出てきたな。




「そういうことなら、ランクを上げてもいいかもしれないわね。ちなみにいくつずつ貰えてるのかしら?」

「ん、ああ・・・3ずつだね」

「3ね・・・それなら後半はともかく、最初は簡単に上げられそうね」

「うん、だからとりあえず取れるスキルは全部取ったんだ」

「なるほどねー、いいと思うわ」


 {罠感知のランクが上がりました}


「よし、上げてみたよ」


 使ったスキルポイントは3だから、残り10ポイントだな。


「それじゃあ壁や床に意識を集中してみて」

「わかった」


 んー・・・壁や床・・・壁や床・・・・・・あ!


「あったかも!」

「あら、じゃあ見に行きましょ」


 やたらと長い一本道を進み、突き当たりの壁が見えた頃。違和感のあった場所の床を見ると、そこだけわずかに動いた形跡があった。


「ここだ」

「なるほど、確かによく見るとここだけ動くようになってるわね。すごいじゃない!この距離でわかるなら十分頼りになるわよ!」

「そうかな?」


 褒められると照れちゃうな。

 ランクを上げてまでわからなかったらどうしようかと思ったけど、見つけられてよかった。


 なるほどな、{気配感知}は生き物の気配を感じるスキルだから、そこに"何かが居る"って感覚がある。

 けど、{罠感知}は気配を感じるっていうより、"そこに何か違和感がある"ってもやもやした感じがするんだな。


「ふぅ、無事に見つけられて良かった」

「ええ、そうね」


 カチッ


「・・・ん?"カチッ"?」

「ちょっと!手、手!」

「・・・あ」


 気を緩めて手をついた壁がへこんでいる。もちろん俺の力が強すぎて壁をへこませたわけではない、もとからそういう造りになっているだけだ。


 ・・・あれ?これって・・・。


 状況を飲み込んだのも束の間、ゴゴゴゴゴと何かが転がってくる音が聞こえる。


「走るわよ!!!」

「ッ!!!」


 嫌な予感通り、さっきまで立っていた場所に天井から大きな丸い岩が転がってきた。

 ざっと見て縦横3Mほどだろうか。ダンジョンの道をギリギリ通れる大きさで、壁にぴったり張り付いたところでやりすごせそうにはなかった。


 いつのまに天井に穴が!?っていうかあの岩、こっちに転がってくるんですけど!?

 これどっかで見たやつだー!!!!


「やべぇ、早いぞ!!」


 どうやら天井から落ちてきた岩は相当な傾斜のついた床を転がってきたらしく、かなりの速度だった。


「なんでっ、よりによって!こんなっ長い、一本道っなんだよ!!」


 息を切らしながら思わず愚痴をこぼす。{罠感知}で初めて見つけた罠が、よりによって長い一本道の奥にあるなんて・・・!

 突き当たりにはまだ道があったみたいだから、そっちへ逃げたほうが良かったかもしれない。


「はぁ、はぁ・・・はぁっ!!」


 もはや振り返っている余裕はなく、前を見続けてひた走る。しかし、それでも背後から聞こえてくる音が徐々に迫ってくるのがわかった。


「やべぇっ、追いつかれるっ!!」


「・・・仕方ないわね。サイトちゃん、下がってて」

「え、下がるって・・・」


 下がるも何も、あの岩から逃げないといけないんだが!?


「はあああああああ!!!」

「え、ちょ、危ないぞ!?」


 アリスが急に立ち止まり、何やら気合のようなものを溜めている。気のせいか、オーラのようなものを身に纏っているように見えた。


 まさかアレを止める気じゃないだろうな!?流石のアリスでも無理だろ!?


「どりゃあああああ!!」


 猛スピードで迫る大きな岩に、アリスが正拳突きを繰り出した。


 いやいや、そんなんで止まるわけが・・・。












 バゴオォオオン!と、盛大な音を立てて大きな岩が砕け散る。


 えーーーー、止めるどころか砕いたよ、この人。





 いやほんとに人か?



「ふぅ、ケガはないかしら」

「は、はい・・・」

「あら?どうしたの?」


 いや、どうしたのはこっちのセリフなんだが。


「い、いや・・・っていうか、そんなこと出来るなら最初からやってくれよ!?」

「あら、前にも言ったじゃない。自分でどうにか出来る状況は自力でなんとかしないと、って」

「まあ、そうだけどさ・・・」


 俺氏チート説、訂正。アリスのほうがチートだわ。

 いつもいいねありがとうございます!

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