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18 初めてのダンジョン

 俺たちは朝食を取った後、近くのダンジョンへと向かっていた。


 事前にアリスから聞いた話によると、ヴァレッサの街近くにあるダンジョンはかなり初心者向けで、三階層しかないらしい。

 まあ、今回はスキルの感覚に慣れるのが目的だから、ちょうどいいな。


 最奥にはボスモンスターが居て、そいつを倒すと入口に戻れる魔法陣が使えるらしいから、日帰りも十分出来るみたいだ。


 もっと難易度の高いダンジョンだと、数日から数週間かけて攻略することもあるらしいから、だいぶ気が楽だな。




「探索許可証か冒険者カードを提示してください」


 ダンジョンの入り口に着くと、武装した門番に話しかけられた。なるほど、ランク不足ならここで止められるんだな。


「はい」


 俺が冒険者カードを取り出そうとしている間に、先にアリスが見せていた。俺と違って手慣れてるな。


「Aランク・・・!?あぁ、あなたがあの金碧のアリスさんですか!・・・では、そちらは?」

「こっちはサイトちゃんよ。今日はこの子の鍛錬のためにここへ来たの」

「なるほど、そういうことでしたか。ではどうぞ」


 てっきりアリスだけ先に通されるのかと思ったが、門番さんは手の仕草で俺のことも中へ誘導してきた。


「え、俺のカードは見なくていいんですか?」

「ああ、大丈夫ですよ。アリスさんが一緒なら、パーティ単位ではFランク以上と認められますから」


 そっか、そういえばフローナさんが言ってたな。ランクは個人とパーティで分けられてて、パーティ単位だと個人のランクより上って認定されることもあるとか。

 まあ、俺は個人でもFランクだから、どの道入れるけどね。


 なんて考えつつ、俺たちは地下迷宮(ダンジョン)へと続く階段を下りた。




 ダンジョンの中は思ったよりも綺麗だった。壁と天井はレンガのようなブロックで出来ており、床は大きな石畳になっていた。

 まるでどこかの参道みたいな床だな。


 これ、どう見ても人工物だよな・・・?もっとこう、自然の洞窟みたいなのをイメージしてたんだけど・・・。


「なぁ、ここってもしかして、初心者用に人工的に作られたダンジョンだったりするのか?」

「あら?いえ、確かここはずいぶん前に現れたダンジョンだったはずよ」

「現れた、ってどういうことだ?誰かが作ったんじゃないのか?」

「ええ、違うわ。ダンジョンは恐らく、その全てが突然出現するものだと言われているわね」

「こんなのが突然現れるのか!?」


 ダンジョンは今でもたまに新しく発見される、ってフローナさんは言ってたけど・・・そういうこと!?


「ええ、何の前触れもなくね」


 え、なにそれ怖い。


「だからダンジョンの出現位置によっては、どの国に属するかで揉めることもあるのよ。それが原因で戦争が起こったこともあるわ」

「そうなのか・・・」

「ええ。ダンジョンに出現するモンスターが外に出ることはないけど、撃破されたときに落とすアイテムやお宝は外に持ち出せるの。だから、国からすればダンジョンというのは、無限の資源を生み出す工場みたいなものなのよ」


 出現したダンジョンが原因で戦争か・・・異世界も色々複雑なんだなぁ。


「まあ、ここは大したモンスターやお宝は出ないから、平和だけどね」

「そっか・・・」


 モンスターはともかく、お宝はちょっと興味あったんだけどなー。まあ、今は{罠感知}や{気配感知}の感覚に慣れることに集中しよう。


「さあ、さっさと進んじゃいましょ。罠があるのは三階だけだから、駆け抜けるわよ」

「ん、わかった」




 一階と二階はアリスの案内もあって、難なく抜けられた。たまに他の冒険者とすれ違ったけど、やっぱり駆け出しって感じの人が多いな。


 俺の鍛錬のために来てるから、アリスは俺がピンチの時以外は戦わないんだけど、道中で遭遇したゴブリンは俺一人でも簡単に倒すことが出来た。


 ステータスが上がったのはもちろんだけど、剣の切れ味が前よりもいいし、新しい防具も動きやすくて助かるなー!


「少しは{気配感知}の感覚がつかめたかしら?」

「うん、結構つかめてきた気がする。・・・お、噂をすれば。この角を曲がった先に、多分2匹いるぞ!」


 {気配感知}で感じた通り、曲がり角の奥には2匹のゴブリンが居た。


 だいぶわかるようになってきたぞ。これなら目を瞑っててもモンスターの接近に気が付けそうだし、戦闘中も敵の位置がわかって戦いやすい。


「そらっ!」

「グギャ!?」

「グェー!」


 俺は流れ作業のように2匹のゴブリンに駆け寄り、剣で上半身と下半身に二分した。

 分かれた傍から、ゴブリンの体が光の粒子になって消えていく。


 こんな感じで、ダンジョンで息絶えたモンスターはすぐに消えて、運が良ければドロップアイテムが出る仕組みになっているらしい。


 証明部位をはぎ取ることはできないから依頼の達成にはならないけど、経験値とドロップアイテムは手に入るってわけだな。

 こっちのほうが、はぎ取る手間がかからなくて楽だな。


 {レベルが上がりました}

 {Lv16になりました}


 お、またレベルが上がった。ここに来るまでにも1回上がったから、これで2回目だ。


「そろそろ罠があるはずよ、意識を集中してみて」

「お、そうか・・・どれどれ・・・んー」


 壁や床に意識を集中してみるが、よくわからなかった。


「んー、わかんねぇな・・・もう少しランクを上げたほうがいいかな?」

「あら?スキルポイントに余裕があるのなら上げてもいいスキルではあるけど・・・そんなに余裕があるのかしら?」

「ん、ああ。ここに来てからまたレベルが上がったし、結構溜まってると思うよ。1回確認してみるか・・・ステータスオープン!」


 {サイトウ サイト}

 {種族 :ヒューマン}

 {Lv  :16(+2)}

 {ジョブ:盗賊}

 {力  :40(+4)}

 {耐久 :35(+3)}

 {器用 :53(+5)}

 {敏捷 :58(+6)}

 {魔力 :0}

 {スキル:鑑定(S) アイテムボックス(S) 気配感知(C) 忍び足(D) 剣術(C) 観察眼(D) 罠感知(D) 鍵開け(D) 急所突き(D)}

 {ユニークスキル:言語理解 成長加速 モテスキル(男性用)}

 {獲得可能スキル: }

 {使用可能スキルポイント:13(+6)}


 うん、やっぱり13ポイントも溜まってるな。これなら{罠感知}のランクを1上げるぐらいはしてもよさそうだ。


「13ポイント余ってるね」

「13ポイント!?サイトちゃん、あなたレベルいくつよ!?」

「え・・・」


 流石に貯めすぎってことかな?まあ確かに、上げようと思えばダンジョンに入る前から上げられはしたと思うけど・・・。


「じゅ、16だけど・・・」

「はぁ?あなたたしか、{気配感知}も持ってるって言ってたわよね?」

「う、うん。そうだけど・・・」

「計算が合わないじゃない」

「・・・?」


 計算が合わない?1Lvにつきもらえるスキルポイントは3だから、{気配感知}と{罠感知}を取っても13ポイント以上余っててもおかしくはないと思うけど・・・。


 あ、もしかして、{剣術}とか取ってることを報告してなかったからかな?


「ああ、えっと、俺{剣術}とかも取ってるからさ」

「はぁ!?レベル16で{剣術}、{気配感知}、{罠感知}まで取って、13もスキルポイントが余るわけないでしょ!」

「え・・・?」

「本当にわからないの?」

「う、うん・・・」


 あれ?もしかして俺、なんかまずいこと言ったか・・・?


「・・・はぁ、そういうことね・・・。大体わかったわ」


 ちょっと!俺は全く何のことかわかってないんですけど!勝手に一人で納得しないでくれよ!


 一体どういうことなんだ・・・?

 いつもいいねありがとうございます!

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