17 スキルチェック
「ふぁぁ・・・よく寝た」
異世界のベッドはそこまで寝心地のいいものではなかったが、色んな意味で疲れが溜まっていた俺はぐっすりと眠ることが出来た。
「えーとたしか・・・そうだ、スキルチェックの続きをしようと思ってたんだ」
昨日は{モテスキル(男性用)}の効果が思ってたのと違うことがわかって、ショックを受けて寝たんだったな。
他のスキルの詳細も確認しておかないと、思わぬ落とし穴があるかもしれない。ちゃんとチェックしておかないと。
「たしかまだ確認してないスキルは・・・{鑑定}、{アイテムボックス}、{言語理解}、{成長加速}の4つか。順番に見ていこう」
{鑑定 対象の情報を確認できるアクティブスキル。使用するだけで基本的な情報が閲覧できるほか、使用者の意思でより細かな情報を見ることが出来る。ランクが上がると効果対象が増え、より詳細な情報を見られるようになる。また、ロックの掛かった情報へのアクセスが可能になる}
「なんだ、これ・・・?」
ホブゴブリン戦で考えていた通り、『弱点が見たい!』とか思いながら使ったら、普段と違う情報が見れるってのは合ってたみたいだな。
ランクが上がったら効果対象が増えるとか、より詳細な情報が見れるとかも理解できる。
けど・・・ロックの掛かった情報って、なんだろう?
ぱっと思いつくのは{鑑定阻害}みたいなスキルがあって、普通は鑑定出来なくなってるものも見れるようになる、とかかな。
「んー・・・よくわかんねぇや」
まあ、考えていても仕方ないし、いったん忘れて次のスキルでもチェックするか。
{アイテムボックス 他者に所有権がない無生物を自在に収納できるアクティブスキル。ランクが上がると容量が増える}
なるほど。人の持ち物を勝手に仕舞うことはできないようになってるみたいだ。
まあ、そうだよな。もしそんなことが出来たら泥棒し放題だもんな。
前にゴブリンが手に持ってた棍棒を仕舞えなかったのは、ゴブリンに所有権があったか、ゴブリンごと仕舞おうとしたことになったってとこかな。
ランクが上がると容量が増えるってのは、アリスとのやり取りでわかってた通りだし、{アイテムボックス}についてはこれぐらいでいいか。
{言語理解 あらゆる言語を理解出来るようになるパッシブスキル。文字の読み書きも可能}
シンプルだな。特に見落としていることもなさそうだ。
次は{成長加速}だな。
{成長加速 モンスター討伐時の経験値獲得量が増加するパッシブスキル。また、技術的な面でも成長速度が上がる。■■★■★■■★★}
「・・・!?」
なんだこれ、文字化け・・・?にしては、何だか変な気がするけど・・・。
「・・・あ」
"ロックの掛かった情報へのアクセスが可能になる" って、もしかしてこれか・・・?
スキルに{鑑定}なんて、そもそも出来るのかわからないけど。
「{成長加速}に{鑑定}!」
{成長加速 モンスター討伐時の経験値獲得量が増加するパッシブスキル。また、技術的な面でも成長速度が上がる。■■★■★■■★★}
ダメだ、普通に{成長加速}の説明が出ただけだ。
「んー、ロックの掛かった情報って、こういうことじゃないのかな・・・?」
悩んでいると、コンコンとドアをノックする音が聞こえてきた。
「サイトちゃん、起きてるかしら」
「ん、ああ、アリスか。悪い、ちょっとスキルを見てたんだ」
「あらそうだったの、関心ね」
今日はダンジョン探索に行くことになってるから、起こしに来てくれたみたいだ。
時計がないから時間がわからないけど、ずっとスキルのチェックをしてたから、待たせちゃったかもしれないな。
あ、そうだ、アリスにこの文字化けについて聞いてみようかな。
「それで、見てたら気になることがあったんだけどさ・・・」
俺は部屋にアリスを招き入れながら、文字化けについて聞いてみた。
ちょっと不安だけど、今はこれが気になる。
「スキルの説明文に文字化け・・・?文字化けというのがよくわからないけど、ちゃんと読めないということかしら?」
「ああ、そうなんだ」
「うーん、そんな話、聞いたことがないわね。どのスキルがそうなっているのかしら?」
「あ、えーと・・・」
しまった、{成長加速}ってユニークスキルがあってー、なんて言えないよな・・・。
「もしかして、ユニークスキルだったりするかしら」
ギクゥッ!!
あ、アリスさん勘が良すぎじゃないでせうか。
「あ、あはは・・・」
「正解みたいね」
「・・・なんでわかったんだ?」
「そりゃ、冒険者登録してその日のうちにホブゴブリン討伐なんて、普通じゃないもの」
あー・・・ヤッパソウデスヨネー
「もちろん、元王宮仕えの兵士とかならわからなくもないのだけど・・・サイトちゃんはどう見てもそんな柄じゃないもの」
「・・・返す言葉もございません」
「まあ、無理に言わなくてもいいわよ。ユニークスキルなんて、そう人に教えるものでもないでしょうし」
「ああ、悪いな・・・」
「でもユニークスキルについてじゃ、私じゃ力になれそうにないわね。サイトちゃんしか持ってないスキルってことだもの」
「え、そうなのか?」
「ええ。もしかしてユニークスキルについても知らないかしら?」
「うん」
なんとなく普通のスキルよりレアそうだから、特に内緒にしたほうがいいんじゃないかとは思ってるけど、よくわかってないんだよな。
「ユニークスキルというのは、この世界に同時に1つしか存在しないスキルのことよ。もっとも、過去に存在したといわれるスキルと同様のものが発現するのも稀なのだけどね」
「そうだったのか・・・!」
「だからその文字化け?というものがなぜ起こっているのかは私にもわからないわ」
「そうか・・・」
アリスでもわからないんじゃ、手詰まりだな。
「でもそうね、ユニークスキルの中には、特定の条件を満たさなければ使えないものもあるって聞いたことがあるわ。もしかしたら、何らかの条件を達成したら読めるようになるのかもしれないわね」
何らかの条件を達成、か・・・。
「ありがとう、参考になった」
「ええ。それじゃ、朝食を食べに行きましょ。ダンジョンに行くならしっかり食べておいたほうがいいわ」
「ああ、そうだな」
少し気になることはあるけど、とりあえず今はダンジョン探索に集中しよう。
ま、いつかわかるだろ、いつか。
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