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16 気付き

 武具を購入した帰り道。俺達は宿に戻って風呂でも入ろうかと考えていた。


 ・・・あれ?風呂と言えば・・・そうだ、着替えがない!


 {アイテムボックス}に向こうの世界で着てた服は入ってるけど、こっちの世界の服は今着てるヤツしかないぞ!


 品質はともかく、あっちの服には英語が印刷されてるから目立ちそうなんだよな・・・。


「なぁアリス、普通の服も買いたいんだけど、いいかな?」


 本当はこの買い物が済んだら宿に戻って休むつもりだったけど、アリスに予定の変更を申し出た。


「あら?ええ、いいわよ」

「悪いな。服屋も知ってたりするかな?」

「ええ、近くにあるから行きましょ」


 危なかった。少し日が暮れ始めてきてるから、気付くのが遅かったら同じ服を着るか、向こうの世界のに着替えるハメになってたな。




 アリスに教えてもらった服屋での買い物では、無難なデザインのものを上下合わせて4セットほど購入した。


 特筆するようなことはあんまりなかったけど、しいて言えばアリスが今にもはちきれそうなパツンパツンのドレスを無理やり試着しようとしてたから、止めておいた。


「なかなかサイズの合う服が見つからないのよねー」

「アーウン、ソウダネ」

「あのドレス、よく似合っていたと思うのだけど、残念だわ」

「オレモソウオモウヨ」


 よし、宿屋に着いた。風呂に入ってさっきの光景を一刻も早く忘れよう。




「アリスは風呂どうするんだ?」

「私は深夜に入ることにするわ。この時間だと多少は人がいるでしょうから」

「ほーん、そっか」


 この宿屋の風呂は部屋ごとにあるわけではなく、公衆浴場のような風呂場が男女別で用意されているだけだった。

 流石のアリスも女性用の風呂にまでは入らないようだ。


「もちろん、サイトちゃんがどうしても一緒に入りたいって言うなら行ってあげても」

「――行ってくるわー!」


 ふぅ、危ない。やっぱりアリスって俺のことそういう目で見ているような・・・。


 そういえば、この街の門番さんにもいきなり求婚されたんだよな・・・。

 結局{モテスキル(男性用)}の効果もあんまりわかってないし、風呂に入り終わったらスキルの確認でもしようかな。




 脱衣所に行くと、あまり人がいないことに気が付いた。ラッキー!これならのんびり入れるかも!


「と思ったんだけど・・・」


 異世界のお風呂は、狭かった。

 タイル状の床は日本の銭湯に似てるけど、肝心のお風呂スペースはもろ五右衛門風呂だな・・・。


 向こうのと違う点をあげるなら、横一列に何個も風呂釜が置かれているところだろうか。

 それぞれスペースが区切られていて、一人一か所ずつ使うことが前提のような設計だった。


「銭湯みたいな広いお風呂を期待してたんだけどなぁ・・・」


 注意書きには、底が熱いので蓋を沈めてご利用くださいと、絵を添えて書かれている。

 そういえば五右衛門風呂はそうやって入るんだっけ。まあ、逆に新鮮な体験ではあるな。


 思ってたのとは違ったけど、これはこれでいいか。










「思ってたのと違あああああう!!!」


 風呂上がり、俺は宿屋の自室で叫んだ。


 お風呂や部屋に文句を言っているのではなく、{モテスキル(男性用)}の効果を確認していたのだ。



 {モテスキル(男性用) 男性にモテるようになるパッシブ/アクティブスキル――



「男性に、モテ・・・る・・・」


 『なんっっってかわいい顔だ!』『結婚しよう』『ホブゴブリンとの戦闘、カッコよかったわよぉ』 ――ッッ!!!


「そういうことかよ!?!?」


 そういえばあの時・・・『ちょっと!そのスキルは・・・』って、女神様が言っていたような・・・。


「バカだ、俺は・・・」


 ドンドンッ、部屋のドアを叩く音が聞こえる。


「サイトちゃん、大丈夫?何か大きな声が聞こえたけど・・・」


 アリスが俺の大声を聞いて駆けつけてきたらしい。偶然なのか狙ったのか、アリスは隣の部屋に泊まってるんだよな。


「あ、ああ。大丈夫!」

「あらそう?心配だから部屋に入っても」

「本当に大丈夫だから!部屋には入らないでくれ!!頼む!!!」

「わ、わかったわ・・・」


 スキルの正体がわかった今、アリスと部屋で二人っきりになるのは流石に怖い!

 何か、何か打開策を考えておかないと、今後の旅も心配だぞ・・・!


「と、とりあえず続きを読むか・・・」


 {モテスキル(男性用) 男性にモテるようになるパッシブ/アクティブスキル。パッシブ効果は自分に好意を寄せる可能性がある男性に対してのみ効果が発動。一度拒絶した相手には効果が弱まる。また、男性に対して魅了チャームスキルとして発動することも可能}


「なるほど・・・」


 大事なところは主に2つだな。


 1つ、"自分に好意を寄せる可能性がある男性に対してのみ効果が発動" つまり、もともと男に興味のないヤツには効果ナシってことだ。

 じゃなきゃ、もっと多くの人に目を付けられていてもおかしくないもんな。


 2つ、"一度拒絶した相手には効果が弱まる" つまり、はっきりと『その気はない!』って断ればそのうち効果がなくなるってことだ。

 そういえば、門番の人も断った後はしゅんとしてたな・・・もしかしたら、かなりキッパリ断ったから、モテスキルの効果がなくなったのかも。


「よし、危なくなったらはっきり断ろう、はっきり」




 ・・・・・・大丈夫かなぁ、それで・・・。


 すごーく不安だけど、今日はもう寝よう。なんだかどっと疲れた・・・。


 他のスキルは起きてからチェックすることにしよう、うん。

 いつもいいねありがとうございます!

 ついに才人がモテスキルの本当の効果に気付きました。

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