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後日談 各々視点93

 


 後日ーーー。


 あれから、予想通り、ラナン家は完全に没落した。

 ラナン家に仕え、命令通りに、嘘の救助を国に申請した使用人達も、国を危険に落とし入れたとして、何らかの罰を受ける事になった。

 敗北したマドローナは、全ての領地を私達の国に明け渡す事になり、今、私達の国は、必死で膿の排除と、立て直しを行っている。数年経てば、マドローナの領地だった場所も、我が国の領地として、綺麗に生まれ変わるだろう。

 サウィルンは、裁判にかけられ、今まで暴かれなかった罪も全て表に晒され、残された一生を、日の当たらない小さくボロい牢屋で、1人、過ごす事になった。

 現当主である父、母、兄の姿は、未だに見付かっていない。マドローナに引渡しを求めたが、そんな奴等は初めからいなかったと言われた。それが、どんな意味を持つのか、分かってはいたが、それ以上は何も求めなかった。どんな目にあおうとも、それは彼等の責任。


 私はと言うと、国を救った英雄として祭り上げられる寸前まで言ったが、猛抗議して、何とか、紅の魔法使いが世界を救った。と、名前を伏せて貰う事で落ち着いた。

 ちなみに、時間の魔法の事も、強大過ぎる力は好奇の目に晒される可能性があると、秘密にしてくれた。

 ラナン家の裏切りなど、細かい事情は周辺諸国には出回っておらず、マドローナと私達の国では、元からの戦力的にも、私達が圧勝するのは目に見えて分かっていた結果なので、私の時間魔法の事が無くても、不審には思われなかった。

 ただ、国内外問わず、紅の瞳の優秀さは周知される結果になった。



「きゃーー!!クラ様ぁー!!!!」

 騎士団の練習場。

 練習場を囲うようにフェンスがあり、そこには、見学に訪れた国民達で満員だった。皆、騎士達が訓練をしているのを見て、おー!と歓声を上げたり、拍手をしたり。その中で、一際大きな黄色い歓声を浴びているのが、クラだった。


 歓声に答えるように、笑顔で観客に手を振るクラ。

 きゃーーー!!!と、女性を中心にした甲高い声が上がる。


「ーー何ですか?この見世物みたいな練習は?」

 笑顔の裏で、隣にいるアレンにだけ聞こえるように、毒を吐くクラ。

「仕方ないだろう。マドローナとの戦いに勝利し、我ら騎士団の人気が上昇した結果、国民からの強い要望があって、練習の様子を1部公開する事になったんた」


 国民からの人気が高まるのは、悪い事では無い。寧ろ、国にとって、支持が集まるのは有り難い話だ。

 不満を口にしているが、クラも理解しているから、表面上、笑顔で見学者達に愛想を振り撒いているのだろう。


「良かったじゃないか。元・紅の魔法使いの一員としても、クラが1番人気らしいぞ」

「嬉しく無いけど?」

 今や、紅の魔法使いは、国を救いし英雄として名を馳せ、クラは紅の魔法使い出身として、英雄の1人として扱われている。

 その上、クラは外見も綺麗に整っているし、表面上、笑顔を絶やさず、礼儀正しく振舞っているので、国民、特に、女性からの人気が高い。

「はぁ……紅の魔法使いの一員に戻ろうかな」

「馬鹿言うな。つい先日、副団長に就任したばかりだろう」

 クラの胸元には、副団長の証となる階級章。


「……クラ……」

「!」


 騎士団団長である、第3王子ラットが、クラとアレンの背後から、音もなく現れ、2人の体がビクッ揺れる。


「ラット騎士団長……気配を消して背後から現れるのは止めて下さい」

「すまない」

 謝罪後、微動作1つせず、クラを見つめるラット。


「……………………」


 何か言いたげに、クラを見つめながら、沈黙を続ける事5分ーーー。


「ーーっ!分かってますよ!嘘です!紅の魔法使いの一員にはまだ戻りません!ちゃんと、副団長として、ラット騎士団長を支えます!」

 ラットは何も話していないのだが、クラには充分、ラットの思いは伝わったようで、顔を真っ赤にしながら、勢い良く吐き捨てた。

「そうか」

 クラの言葉に、ラットは無表情で頷いた。


「……」

(俺には一切分からないんだが…)

 その隣で、一切何も伝わっていないアレンは、目と目だけで会話をする二人に挟まれ、気まずそうにただ黙って立ち尽くしていた。




 海辺の街コムタ。


「《水魔法(クラーク)》」


 大きな水の魔法を放ち、砂場に乗り上げてしまった船を海に戻すジュン。

「ほぉほぉ。いやー噂に違わず、凄い魔法の威力ですな。流石、紅の魔法使い様!助かりましたわい」

 長い髭を触りながら、ジュンに向かい礼を述べる海辺の街コムタの街長。

 先日振った雨の影響で、船が座礁してしまったらしく、困った街長が、紅の魔法使いに、船を海に戻して欲しいと依頼したようだ。


「ちゃんと碇でもロープでも縛って固定しとけよ。危ねーだろ」

「いやはや、ごもっともです」


「ねー☆成功したから、これ、貰っていっていーんだよね?」

 キラキラした目で、用意されていた酒瓶の数々を前に手を広げるのは、ケイの姿で、ジュンは、苛苛を隠さず、ケイにぶつけた。


「ふざけんなよ師匠!俺に任せっきりで何にもしてねーくせに!」

「えー、だって、空間魔法でそんな大きい船なんて移動させるの、しんどいじゃんかー!それなら、ジュン君がパパッと魔法使って動かすほーが良いって☆」

「ざけんな!」


 街長を他所に、言い争いを始める2人。



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