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土下座します9





でも、その大富豪の手にお菓子が渡ってしまったら、高額な値段で売り出されるのが分かっていたから、安い値段のまま、皆に親しみ安く食べて欲しいリトのママは、条件を全て断った。

街の人達は、当然、リトママのお菓子を欲する。結果、露店を営む大富豪の店は赤字になる。それを恨み、大富豪はリトママの店に過度な嫌がらせを行うようになったーーーと。


『酷い人達だねー!信じられない!最低!』


完全な逆恨みです!本当に美味しいお店なら、最後にはお客さんは戻って来てくれるはずだもん!てか、他人の努力を、嫌がせとゆう形で貶すのは良くない!そもそも、お客さんの事を考えて、出来るだけ多くの人に気軽に食べて欲しいっていう立派な心意気を無下にするなんて良くない!


「街の人達ね、ママのお店を守ろうとしてくれて、ギルドに警備を依頼してくれたり、色々してはくれてるんだけど……」


街の人達はリトママの味方なんだ。それは安心。


「今度は、ママの命を狙おうとしてるって話が聞こえてきてーー単なる噂かも知れないし、本当でも、街の人達が守ってくれてるから、大丈夫ーーだと思いたいんだけど、やっぱり僕……心配で……」

『命を?!』


当たり前!自分の母親が命狙われてるなんて、気が気じゃないよ!てゆーか最っっっ低!!


『そうだよね!それは心配だよ!』

「だから、紅の魔法使いさん達に、ママを助けて欲しくてーー!」

(ん?紅の魔法使いさんーー。って、私達の事かーー!!!)


時に優しく、時に共感し、相手に寄り添って話すキリアによって、だいぶ緊張も解れ、依頼の要件を聞き出す事には成功したが、問題はここからである。

キリアは、先日からお世話になり、本日より魔法使いの授業を受け始めた新米も新米。何も出来ない。にも関わらず、ジュンを押し退け、リトの話を聞いてしまった。


(やばい……依頼を受けるか受けないかはジュンさん達の判断に寄って決まるのに、当の本人達を差し置いて、私が話を勝手に聞き出してしまったーー!!!)

駄目だよ!って注意までした!こんな私如きが!元・奴隷の分際で!(元・家族の扱いが酷過ぎた)

キリアは恐る恐る、後ろにいる筈の2人に視線を向けた。


「ん?どうしたの?」

「何だよ?ここまで話聞いといて、受けねぇのか?」


「わ、私如きが本当に……申し訳無く、厚かましい態度をとった非礼を詫びます……」

「ええ?!何で土下座?!」

「止めろ!師匠に見られたら俺等が怒られんだぞ!」


視線が合った途端、へたり込む様に土下座を披露するキリアを、ジュンもクラも慌てて止めた。

「お怒りはご最もです…」

「いや!誰も怒ってねーんだよ!」

「しっかり!一旦目を覚まそうキリア!」

両脇を抱え、必死で土下座を回避させる。


「ほら、見て!急に声聞こえなくなったから、リトも不安になってるよ?」

「リト……そうですよね、謝ってばかりでは駄目ですよね」

何とかリトの名前で正気に戻る事が出来たが、このままで良い訳が無い!

キリアは冷静になった。

冷静になり、2人の腕から離れるとーーー今度はきちんと、正座をし、ゆっくりと頭を下げたーーー

「いやいやいやいや!何で?!」

「誠心誠意、リトの依頼を受けて欲しいと、お願いをしようと思って…」

「普通に頼めや!てか、勝手に受ければいーだろーが!」

またしても普通に土下座をしようとするキリアを、ジュンがおでこを掴んで止める。

「わ、私が勝手に受けても、私1人では何も……」


助けてあげたくても、助けて上げる事が出来ない。自分に、他の誰にも無い力があったら、理不尽な目にあっている人達を助けてあげる事が出来るのに。

助けてあげる。そう言ってあげれない自分は、なんて無力なんだろう。


「?何でお前が1人で依頼受けんだよ!100万年はえーわ。調子乗んな!俺でもまだ単独で受けた事ねーのに!」

「ーーへ?」

あれ?なんか思っていたのと違う方向で怒られてる気がする。1人で依頼を受ける事が調子に乗る?でも、勝手に受ければいーだろ!とも、言われた。それは即ち?


「わ、私が依頼を受けるかを判断してもいいのー?」

「うん、勿論」

「好きにしろよ。ホントに嫌な奴なら止めるけど」

「いいの?本当に?こんな私なんかの意見を聞いていいの?」


元・家族からの8年の仕打ちが尾を引いていて、中々に自己肯定感が低くなってしまっている。


「執拗ーーぐふっ!」

「とりあえず、住んでる場所とか、その大富豪の名前聞いといてくれる?一応、裏付けとかとるから」

ネガティブ発言を執拗いと一刀両断しようとするジュンに、それを腹パンで阻止するクラ。

「はい!」

このままリトを放置するのも忍び無い。クラの言いつけ通り、キリアは住所、犯人と思しき大富豪の名前を尋ねた。





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