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裏切り者の追跡83

 


 雨天の山コリカでユーリが使っていた、対となる加工された紅い宝石が入った、銀のロケットペンダント。


「憶測ですが、あまり距離があっては、爆弾は発動しないのでは無いかと思います。だから、ペンダントを持ったラナン家の誰かは、近くにいるはずです」


 ラナン家は、過去、ユーリーー紅い瞳を貶める時にも、紅の爆弾を使用した。ここぞとばかりに、使用している。今回も、使用する可能性は高い。


「なら俺達は、その隠れてる鼠を探し出してボコボコにすればいーわけね?」

「そうですね」

「でも、どこに隠れているかなんて……」


 王都から出て行ってしまっているのなら、手の打ちようが無い気がする…。


「間違い無くマドローナ側にいるでしょうね。ラナン家は、情報と引き換えに、自分達の地位を確約して貰ったはずですから」

「マドローナは迷惑没落貴族一家を守るって事ね……。ほんと、嫌いな国と嫌いな奴等が手を組んだって感じで、最高にムカつくよ」


 マフィアが牛耳る国……それだけで、ヤバそうな国って事は伝わる。そんな国が、アレンさんを殺してーーーこの国を、乗っ取ろうとしてる…!

 騎士団の人数は、普段よりも遥かに少ない。そして、向こうには紅い爆弾がある。


(……これって……結構、ヤバい状況なんじゃ……)


「大丈夫です。騎士団にはラット兄様がいます。ラット兄様が、簡単に負けるはず有りません」

 私の顔色の悪さに気付いたのか、カトレアは優しく私の肩に手を乗せると、安心させるように、声をかけてくれた。


「そうだよ。ラット騎士団長は強いんだから、マドローナなんかに負けるわけないでしょ」

 すっかりラット様に心酔しているクラ兄さんからも、安心する言葉が聞こえた。



「僕のこの提案は、マドローナの本隊に単身、近寄るもので、命の危険が伴う、とても危険なものです……僕専属に仕える者とは言っても、遠慮なく拒否して下さって結構です」


 敵の本隊に、私達3人だけで、ラナン家の裏切り者を探す。敵に見付かってしまえば、きっと、ただでは済まないーー。カトレアの言う通り、命がかかった、とても危険なものーー。


「俺は行きます」

 カトレアの問い掛けに、クラ兄さんは直ぐにYESと答えた。


「俺はこの国の騎士になりました。命を懸けて、この国を守りますーーは、建前で、正直、あんなチンピラみたいな国も、迷惑没落貴族一家も心底気に食わない。好き勝手にさせてやる気は無いね」



「わーー私も、行きます」

 続けて同意すると、クラ兄さんもカトレアも、何故か、微妙な表情を浮かべた。


「本当は、キリアにはケイの所に戻って欲しいんですけどーー」

「!嫌!!」

「言うと思った」


 確かに、ケイの空間魔法で守られているあの家なら、何処よりも安全な場所だろう。でもーーー


(怖い……凄く……怖いけど……逃げたくない!)


 ここにいる皆を捨てて、逃げたく無い。もう、アレンさんのように……誰も、いなくなって欲しく無い!それにーーー


「あの家の人達の罪から……私が逃げる訳には行かない。私も、あの人達が許せない」

 代々受け継がれて来た、ラナン家の罪が許せない。私が、きっと、裁いてみせます。


 私の覚悟を汲み取ってくれたのか、言っても無駄だと思ったのか、これ以上はクラ兄さんもカトレアも、私がついて行く事に反対しなかった。


「ではーーーラナン家の裏切り者を探しに行きましょうか」


 カトレアの言葉を合図に、3人は騎士団とは別に、マドローナ本隊へ向かった。




 *****


 マドローナは、王都のすぐ近くにまで迫っていて、肉眼でも発見出来た。

「いつの間に…!ここに来るまでの街は大丈夫なのかなーー?!」

 マドローナから王都までは、最短で2週間。その間には、幾つかの街や村がある。


「流石に街や村に被害があれば、王都にまで連絡が来るはずですし、彼等の狙いは、この国の主導権そのものでしょうから、わざわざ領地になる街を滅ぼしたりはしないでしょう」

 なら、一先ずは良かった。と、ホッと胸を撫で下ろす。彼等は、容赦なくアレン達を含む騎士、救護員を始末している。非道な彼等なら、何を仕出かすか分かったものでは無い。


「こんな時ジュンがいたら楽なのにーー」

 クラ兄さんの台詞に、私も同意する。

 ジュン兄さんがいれば、闇の魔法で、姿を隠す事が出来るから、隠密行動に最適なのに……。手紙を出そうにも、王都には紅の魔法使いのポストは無いし、家に戻るのも、どれだけ頑張っても最短で2日かかるので、そんな時間は無い。


「首に首輪つけて引き摺り出してでも、先生にワープ作って貰えば良かったって後悔してるよ」

 ……うん。首輪つけてうんちゃらは同意出来ないけど、もっとちゃんとお願いして、ワープかポスト作って貰ってれば良かったって言うのは同意。

「王都には戻りづらかったのでは無いですか?昔はお城に仕えていたわけですし、万が一にも、正体がバレたらと思うとーー」


「「それは無い」と思うよ」

 クラ兄さんと息がピッタリあった。


「カトレア様は先生を美化し過ぎ。お人好しし過ぎ。昔がどーあれ、先生は根がぐーたらなの。ただ外に出たく無いだけ」

「そ、そんな事はーー」

 ケイ先生の事を庇ってくれるけど、私も、ケイ先生はただぐーたらだから、外に出たく無いだけだと思うよ。根っからの引きこもり体質なんだと思う。よく城の魔法使いしてたなって思うもん。


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