表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/96

《生きている間は自由に過ごして良い》80

 


「騎士団への救助要請ですか?そう言えば、人が足りないからとアレンも駆り出されましたね」

「ああ。周辺の街で災害が起きたから助けて欲しいやら、治療が必要な病人が大勢出た、魔物が出没したなど、救助要請が国へと多々届いている状態だ」

「へぇ……紅の魔法使いさん達が活躍して、大分城への要請が来なくなっていたと聞きましたが……」


 キリアやクラが抜けた事で、依頼の処理が間に合わなくなったのでしょうか?ケイは家から出ないと聞いていますし……


「なんにせよ、父様が婚約を断って下さったので、僕にちょっかいを掛けてくることは無くなりますね。安心しました」

 ニコッと笑いながら言うカトレアをジッと見つめると、王様は、釘を刺すように、次の言葉を発した。



「お前も、腐っても第7王子だ。今までは自由にさせてきたが、婚姻は、自由にさせてやる事は出来ん」

「あれ?《生きている間は自由に過ごして良い》と言って下さったじゃないですか?」

「時効だ。あれから何年経っていると思ってるんだ!」

「……」


 そうですね。確かに、僕は、兄様達と違って、自由に過ごさせてもらいました。王族として産まれた以上、きっと、何かしらの不自由は与えられるものなのかもしれません。

 でもーーー



「僕は、キリアに好意を持っています」

 ハッキリと、父様の目を見返して答える。



「はぁ。諦めろ。王族に産まれた者の宿命だ」

「そうですか」


 父様に反対されてしまっては、今の自分ではどうする事も出来ない。否定も肯定もハッキリとせず、ただ、話を終わらせる事にした。これ以上討論しても、父様は譲らない。

「では、失礼致します」

 頭を下げて、王の間を出ようと、背を向ける。


「あ、そう言えば父様」

 扉に手をかけた所で、カトレアは振り向き、王様に向かい笑みを浮かべた。


「1つ言い忘れましたが、きっと、父様の方から、キリアを逃すな、捕まえろ。と言ってくる事になると思いますよ」


 これは紛れも無い本心。

 今は、何を言っても無駄ですが、きっと、近い将来、父様の考えは変わる。そう、信じています。

 自分の言いたい事を伝えるだけ伝えると、そのまま、カトレアは王の間を退出した。


「………カトレアが言うと、本当にそうなりそうで怖いな」


 1人残された王様は、カトレアが去った方を見ながら、呟いた。




 *****


 キリア私室ーーー。キリア視点。


 王の間にカトレアが呼ばれたので、私は1人、私室で待機。アレンさんは、昨日から、別のお仕事で、地方に出立した。

 カトレアの専属騎士なんだけど、アレンさんは優秀な騎士なので、ちょくちょく騎士団の仕事に駆り出されるらしい。何せ、カトレアの専属騎士になる前は、副団長を勤めていたらしいから、優秀なのは当然。

 カトレアも、『住民が困っているなら、僕の事は良いので助けに行ってあげて下さい』と、すんなりOKを出すので、アレンさんはほぼ騎士団と兼任している。


(だからクラ兄さんとも、あんなに面識あるのね…)

 2人の言い争いは、馴れ合ったものだった。


 家から持って来たジョウロで、持って来た植木鉢達に水を上げる。魔法で水を出せば良いじゃん。って思うかもしれないけど、魔力が勿体無いし、そもそも、魔法でパッと片付けちゃうと、情緒が足りない気がする。やっぱり、1つずつ、思いを込めながら、手で水をあげて行くのが大切だよね。


「元気に育ってねー。あ!凄い、綺麗なピンクの花が咲いた!あはは。この花の実、私達と同じ紅の色してーーるーーって、コトコリカ?!咲いた?!」


 何も考えずに一瞬普通に喜んだけど、え?!コトコリカ?!あの幻の花?!咲いた??本当に??


 咲いた花は、間違いなく、幻の花コトコリカを植えていた植木鉢のもの。

 半年以上も咲かずにいた花が、やっと花開いた。

 信じられなくて、何度も何度も、花を見返してしまう。カトレアから聞いていた通りの、ピンクの花弁に、紅い実。

(嬉しい…!)

 カトレアの自由研究には間に合わなかったけど、万病を治すと言われている、貴重な紅い実。紅色に苦手意識を持っている人間を変えるキッカケになるかもしれない。


(早くカトレアに教えなくちゃ…)


 コトコリカのピンクの花弁の中心にある実は、5つ。その内の1つが、ポロッ。と、土に落ちた。

「……」

 恐る恐る、紅い実に触れる。


 普通の植物に生える実とは違い、どこか、薄らと光っているように見える。きっと、何か特別な魔力が含まれているのだろう。

 キリアは紅い実をハンカチに包むと、そのまま、ポケットにしまい込んだ。


「そうだ、先にクラ兄さんにーーー」


 興奮しているのもあって、早く誰かに言いたいし、見て欲しい!普段なら、騎士団で訓練をしているクラの邪魔にならないよう、騎士団に行かないキリアだが、いつ戻って来るか分からないカトレアをただ待っているだけなのが、落ち着かなかった。


 部屋を出ようと、走って、扉を開けようとした手を伸ばしたーーー


『緊急事態です!緊急事態です!』

 ピーーーーーと、大きな警告音とともに聞こえる、スピーカの声。

 ケイ先生が使う、空間魔法とはまた違うが、これも、声を他の場所に届ける魔法の1つ。特殊魔法の、伝令の魔法。

 新しく城に迎え入れた、紅の魔法使いの魔法。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ