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ケイの過去③76

 


「こんな遅い時間に、私達家族に何か御用ですか?」


 クラ兄さんも、カトレアに呼ばれたけど、まだ話の内容は聞けていないみたい。

「はい。ケイからの許可も降りた事ですし、お2人に話しておきたい事がありまして……」

「先生からの許可ですか?」

 ……関係ないけど、クラ兄さんがカトレアに敬語使ってるのがすっごい違和感……。


「紅の瞳が差別されるようになった原因。父様から説明がありましたよね?」

「ええ。確か、どこぞやの紅の魔法使いが、街を1つ吹っ飛ばしたのが原因だとか。その性で、紅の瞳が差別されるようになったのなら、こちらとしては大変迷惑な話です」

 クラ兄さんは、怒りを滲ませながら、吐き捨てた。当然だ。そのたった1人の紅の魔法使いが起こした惨事によって、長年、紅の瞳は虐げられる事になったのだから。


「その原因とされる紅の魔法使いは、ケイです」


「ああ、そうーーーって、は?!」

「っ、ケイ先生?!」

 キリアの台詞に、私も、クラ兄さんも、身を乗り出して驚いた。

 ケイ?ケイ先生?私達の保護者の???


「何言ってーーるんです、か?紅の瞳が迫害されるようになった事件は、数百年も前の事だとーー」

「ケイはエルフです。長命の彼等なら、100年どころか、1000年は生きれますよ」


 いや、そうだけど!え?何?ケイ先生が、昔、街を1つ吹っ飛ばして、紅い瞳の差別を生み出したの??信じられない…!


「それはーー有り得ません。先生は、攻撃魔法はそう強く無いはずです。ジュンなら街1つ吹っ飛ばすくらいやってのけれるでしょうが、先生には出来ません」

「そ、そうです…!それに、ケイ先生は、普段は呑んだくれてて、頼りなくておチャラけてるように見えるかもしれませんが、本当は、とても優しい方です!罪の無い人達を巻き込んで、街を壊すなんて、絶対にしません!!」


 衝撃のカトレアの告白を、直ぐに否定する。

 そうです。ケイ先生がそんな事をするはずがありません!例えお酒に……飲まれていたとしても!


「あはは。ケイは信頼されていますね」

「……先生が原因ではありませんね?」


 カトレアが呑気に笑うのを見て、クラ兄さんはジーと睨みながら、尋ねた。


「そうですね。正確にお伝えするなら、紅の瞳の権力を落としたい人達による策略にハマり、罪を擦り付けられた。ですね」

「「!」」


 策略…?罪を、擦り付けられた…!


「……君、ずっと前から知ってたの?」

「初めに違和感を感じたのは、ケイと出会った時です。ケイは、歴史書に書かれた、残虐な紅の魔法使いの描写と、瓜二つでした。更には、空間魔法の使い手」

 歴史書に記された通りの、エルフの特徴とされる長い耳、漆黒の髪、紅い瞳。そして、特殊魔法の空間。


「でも、ケイはおおよそ、歴史書に描かれた魔法使いとは異なる印象でした。歴史書に書かれた紅の魔法使いは、街の人達の善意を利用し、街へ上がり込み、手厚い歓迎を受けたのちに、高笑いをしながら、その場に住む人々を巻き込んで街を破壊し、死体を踏み荒らした残虐な性格だと」


 滅ぼされた街の人々は、冒険者であった紅の魔法使いを歓迎し、街へ迎え入れた。しかし、紅の魔法使いは、そんな善意を踏みにじり、街を滅亡させた。

 紅の瞳の主は、残虐だ。信頼し、一度でもテリトリーに招き入れれば、牙をむき、その残虐な性格を露わにするだろう。そんな内容が、歴史書には記されていた。

 貴重な歴史書を、一般人は中々閲覧する事は出来ないが、紅の瞳の噂は、街を巡るたびに、尾ひれが背びれがつき、紅の瞳の持ち主は人間を食べる。や、野蛮ですぐ暴力を振るう。など、様々な紅の魔法使いの悪評が広がる結果となった。


「…っ」

 そんな噂が流れてしまえば、人間は、紅の瞳を受け入れるのを恐れるのかもしれない。受け入れてしまえば、自分だけで無く、家族や、街の人々をも不幸にしてしまうのだから。


「ケイは、僕を紅の魔法使いの家に招き入れてくれたと思えば、温かく歓迎してくれました。とてもじゃありませんが、ケイがそんな非道な事をするようには思えません」


 ……いや、本っっ当に!よくそんな呪われた紅の魔法使いの家に単身来ましたね。ちょっとくらい、殺されるかもって警戒する所ですよ。


「そして……二回目に紅の魔法使いの家にお邪魔した時に、ケイの方から、過去の話をしてくれました」




 *****


『君の願いが中々上手くいかない理由も、妨害しているのが誰なのかも、俺は全部知ってるよーーー何故なら、俺も、当事者の1人。だからね』

『ーー当事者の1人ーーやっぱり、ケイがーーー紅の瞳が差別されるようになった原因ーーーなんですね』

 カトレアの台詞を、ケイは否定しなかったーーー。


『カトレア君、俺が歴史書に描かれた紅の魔法使いだって気付いてたよね?なのによく、そんな無防備で僕の前にいれるね』

『……きっと、何か理由があるのでしょう?』

『え?』

『キリアもクラもジュンも、とても楽しそうに、のびのびとここで暮らしているように見えます。残虐な魔法使いと言われる人が、そんな風に子供を育てられるとは思えません』




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